1/18新刊発売のお知らせ

コロナ禍における認知症介護の影響レポート

先日、NHKのニュースでコロナ禍の認知症介護の話題が取り上げられていました。

映像がほんの少しだったので、ソースになっていた認知症関係当事者・支援者連絡会議の「新型コロナウイルス感染症影響下(コロナ下)に関する認知症の人と家族の暮らしへの影響」(原文ママ)PDF34ページを読み、感想をまとめました。

レポートの内容と感想

調査は2022年2月~4月にかけて、認知症の人と家族、支援者に向けてwebを使ったアンケートを実施しています。回答数は288件とそれほど多くはないものの、コロナ禍でお互いの介護状況が見えない中では貴重な意見だと思いました。

まずは認知症の人のコロナ禍の影響についてですが、

「認知症の程度がすすむなどの影響があった」32%、「心身機能の低下(認知症以外)の状態が悪化した」26%であった

引用元:https://www.alzheimer.or.jp/wp-content/uploads/2022/08/COVID19-ImpactStudy2022Details.pdf

うちもコロナの影響で認知症の進行が加速しているように思います。前ほど気軽に帰省できなくなってしまい、母と高頻度で接することが難しくなってしまったので、進行してしまったのかもと思うところもあります。

介護保険サービスの利用状況についての問いに対しては、

「介護保険のサービス利用を減らした時期がある/今も減らしている」26%,「利用している介護保険サービスの種類を変更した」11%,「介護保険サービスの利用を中止した」2%であった。また、その他の自由記載から「介護保険サービスの利用を増やした」人もいた

引用元:https://www.alzheimer.or.jp/wp-content/uploads/2022/08/COVID19-ImpactStudy2022Details.pdf

正直、コロナを恐れてもっと介護保険サービスの利用を控える人が多いのかと思いました。サービスの利用を控えると、それはそれで認知症の進行リスクもありますし、家族も休めないので、メリット・デメリットを考えながら、苦渋の選択をされたのだと思います。

わが家は濃厚接触等で減らされた時期はあったのですが、介護度が上がったのでサービスの利用はむしろ増えています。

介護保険サービスの利用を変更した理由については、

「感染蔓延により事業所が閉鎖・利用の制限が行われた」23%が最も多く,次いで「認知症の人が感染するかもしれず,怖かったから」15%,「施設から認知症の人の状況により断られたから」6%,「認知症の人の家族の経済状態がコロナ下で変化したから」1%であった

引用元:https://www.alzheimer.or.jp/wp-content/uploads/2022/08/COVID19-ImpactStudy2022Details.pdf

事業の継続が難しい事業所もあったでしょうし、やはり感染を恐れた家族もいたでしょう。特にデイサービスやショートステイの変更が多かったようですが、上記の11%の内訳だと思うのでコロナ禍でも既存のサービスで踏ん張ったご家庭が多かったようですね。

新型コロナウイルス感染症の感染状況については、

234 件の回答があり,そのうち 69%は新型コロナウイルス感染症の感染も濃厚接触にもなっていなかった。感染者もしくは濃厚接触者となったと回答したのは 31%であった。そのうち感染したのは 21%、濃厚接触になったのは 9%であった

引用元:https://www.alzheimer.or.jp/wp-content/uploads/2022/08/COVID19-ImpactStudy2022Details.pdf

国内の感染者数の累計が2千万人を超えていて日本の総人口の割合で考えると、感染している人の割合とほぼ近いですね。

認知症の人の中には母のようにコロナ禍を理解していない、なぜマスクが必要か分からずに外してしまうなどリスクの高い行動がみられるので、もっと高く割合が出ると思ってました。

入院や入所と家族の面会状況については、

「ずっと面会ができていない」21%,「オンライン面会で顔をみたり,話すことができた」22%であった。直接に会うことはできても「窓越しやガラス越しに離れてみる程度だった」18%で、「息づかいが聞こえるくらい近寄って会うことができた」5%,「身体に触れることができた」4%であった。それでも「受診時の付き添い等で寄り添えた」10%があった。

2割の人が未だに面会できていないというのは、驚きでした。施設側は面会できる環境は整えているけど、リスクを恐れて会いに行ってないとわたしは受け取りましたが、第1波のような面会制限をしている施設もまだあるのでしょうか?

2022 年 2 月時点(第 6 波オミクロン株)での交流会等の活動については、

「家族会(家族のつどい)を行っている」35%,「本人のつどい(オレンジドアや本人交流会など)を行っている」10%,「認知症カフェを行っている」21%,「ほとんど行えていない」34%であった.

厳しい環境の中、介護者を救うためにオンライン等を活用しながら介護のつどいや認知症カフェが行われています。コロナ禍で介護者同士のつながりも希薄化している中で、主催者の皆さまの苦労が伺えます。

こちらが基となったレポートのリンクです。割と個別のコメントが多く、各家庭によって状況は違っていると分かります。

音声配信voicyの最新回は、ある保険会社の認知症介護のレポートの紹介です↓

今日もしれっと、しれっと。

【2023年講演会予定】
1/29(日):埼玉県幸手市・杉戸町 → 内容の詳細


 


【2023.01.18発売、予約受付中!】
東京と岩手の遠距離「在宅」介護を、10年以上続けられている理由のひとつが道具です。わたしが使ってきた道具を中心に、介護保険の杖や介護ベッドなど福祉用具も含め、介護者の皆さんがラクになる環境を実現するための本になっています。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

くどひろさん、お久しぶりです。
私は数ヶ月に1回面会(現在はビニール越しで)しています。施設が気に入ってる母は、ずっと屋内で過ごしていても、特に問題なく元気(精神的に)なので一安心です。

面会の制限のバリエーションは、各自治体の個別の政策が大きく影響していると思います。
他の理由としては、スタッフの人数不足です。去年、入居施設側から聞いたのですが、昨年まではスタッフが県外に移動した場合、1週間休むルールを決めていたようです。個人的には、やり過ぎだと思っていました…。(現時点では流石に緩和されてそう)
また、リモートやガラス越し面会の場合、セッティングに人手が必要なので、1日の面会の回数が決められ、予約も要ります。

調査結果の数字からでは分からない、色々な理由があると思います。
私は「痛くない死に方」の著者の医師の考えに割と近いです。
ウイルスがゼロになることはあり得ないので、残りの人生をずっと怖がって過ごすのか、少しくらいリスクがあってもやりたいこと(家族に会いたい、外出したい等)をして過ごすのか、どちらを選ぶかは人それぞれ(生死観)だと思います。

お母様のブログでの様子から「よく1人暮らしできてるなぁ」と毎回感心します。身体がそこそこ元気であることも関係してるんでしょうね。

義両親もいよいよ介護サービスが必要そうな状況になってきました。私の介護経験が役立つ時が来そうな予感。くどひろさんのブログもまた直接役立ちそうです。
今後も記事を楽しみにしています。

はじめてコメントいたします。
いつも、ブログとボイシーで勉強させて貰っています。
読むたびに、うちの母と似てるなぁ~と勝手に共感して、なぜかホッとしたりもしてます。
母も79歳認知症で一人暮らし、今年の始めに要介護3になり、通い介護歴は7年目です。
見守りカメラやヘルパーさんも今年から導入し、デイサービスも週ニに増やして少し介護も落ち着いてた8月に、便秘に気づかす腸閉塞で緊急手術によりストーマになってしまいました。
状況を理解出来ない母に、このコロナ禍で術後1度も面会が許されず、認知症の進行に恐怖と不安の毎日でした。案の定、術後2日目に混乱と不穏で点滴や投薬を拒否、看護師さんが近付くのさえ無理な状況になり、一か八か携帯電話を買い個室で話せる状況にさせて貰いました。病棟にたまたま居られた認知症専門の看護師さんが色々と配慮してくださり、毎食後電話をさせてくれて落ち着いた入院生活を送ることができました。
その後転院した病院では、環境も変わり今は毎日のように不穏と混乱で帰りたいと電話で訴えてきます。
どちらの病院も面会は許されていません。
自宅で介護していた時には考えもしてなかった面会制限の実態。
データよりも多いと思います。
母は自宅にも戻れそうにないので、施設になると思いますが、そこでもきっと面会出来ず悪化が続くのかと、介護してた時より精神的苦痛があります。認知症の人はもっと…。
面会制限は人の心が置き去りにされてる気がして辛いです。
私は出来るまで、自宅で通い介護する決心をしていたのでこの状況を受入れられず罪悪感に苛まれています。
面会制限の緩和を切に願います。

みーしえるさま

ご無沙汰しております!

確かに介護職の皆さん、厳しいルール設定されてますよね。それに引きずられるようにわたしも・・・・・・。
セッティングの手間で回数が決まる、そうですよね。

せめて軽度でも気軽に飲めるコロナのお薬がもっと普及してくれると、ちょっとは違うかなと思うのですが。
いつもありがとうございます。

匿名さま

ブログ&voicyの組み合わせ、ありがとうございます!

確かに境遇似てますね、要介護度も年齢も暮らしのスタイル、介護スタイルまで同じです。
便秘は本当に侮れないですよね、不穏の原因が実は便秘で気づかずに他の理由を一生懸命探る方がいます。

そして自宅で可能な限りの通い介護の決心からの施設選択、よく分かります。わたしはなんとなく施設の覚悟を始めてます。
罪悪感を持つ必要はないといくら周りが言っても、やっぱり自分自身で気持ちと折り合いをつけるしかないですよね。なんとかいい方向に事が進みますように!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(79歳・要介護3)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて11年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか