認知症介護の方針変更の象徴であるベビーガードを使った感想

2023年2月に、わが家の今後の介護の方針について書きました。

要約すると理想や尊厳を重んじるよりも、現実路線に舵を切って在宅で粘ると書きました。

その象徴として、洗濯機や冷蔵庫にベビーガードをつけた話も別記事で書きました。認知症の母の行動を制限するけれども、これからも母の希望である住み慣れた家で生活してもらうためにはやむを得ないと。また介護する側の負担を減らすことも、長く介護を続けていくには大切です。

今日はベビーガードを、半年近く使ってみた感想です。

わが家で使っているベビーガード

洗濯機につけたベビーガードの感想

ベビーガードは赤ちゃんのいたずら防止に使われる道具で、わたしは認知症介護に応用しました。

母の認知症は重度まで進行していますが、今でも自分は何でも家事がこなせる、ヘルパーさんなんて必要ないと思っています。それは気持ちだけでなく、実際の行動にも表れます。

例えば洗濯だったら、リハビリパンツを洗濯機に入れて洗剤を入れて回します。すると洗濯槽の中は吸水ポリマーだらけ。洗濯槽の掃除ともう1回の洗濯が必要で、復旧に2時間以上かかります。今までやってきた口頭や貼り紙の注意喚起は効果がないので、ベビーガードを使いました。

リハパンを常時履くことになり、本気で対策が必要と考えていたところで、ベビーガードをAmazonで見つけました。そしてリハパンを入れる洗濯かごを洗濯機横に設置したところ、わたしの想定どおり母は汚れたリハパンをかごに入れるようになり、大惨事はなくなりました。

母から洗濯を奪う形にはなってしまったのですが、洗濯物についたポリマーを手で取ったり、洗濯槽の掃除をしたりしてイライラしていたあの時間はなくなりました。

使っている洗濯かご。注意喚起の貼り紙も残っていますが……

冷蔵庫につけたベビーガードの感想

次は冷蔵庫。

食事の準備は自分でできると思っている母に料理を任せると、冷蔵庫の中の食材をお盆の上に並べます。ただ常温に戻して、食事の準備は完了。夏場は食材が腐るし、お腹を壊す可能性もあります。また冷凍食品は、溶けてしまいます。

さらに2つ問題があって、1つは過食です。食事をしたことを忘れるので、冷蔵庫に何度も行って食べてしまいます。母の血圧は一時190になったこともあって、食事のコントロールが課題になっていました。

もう1つは、整理好き。冷蔵庫を開けっ放しにして、警告音を鳴らしながら冷蔵庫の中の整理をするのです。電気代は上がり、食材も冷えない。しかも1日1回ではなく、何度も何度も繰り返してしまいます。

こうした問題をすべて解決したのが、ベビーガードです。冷蔵庫、冷凍庫、野菜室とありますが冷蔵庫を母に開放し、冷凍庫と野菜室はロックしています。ロックした野菜室等に食材を保管し、必要に応じてわたしやヘルパーさんが冷蔵庫に食材を移しています。

ただ1つだけ欠点が。それは母が何度も野菜室や冷凍室を開けようとするため、両面テープで固定しているベビーガードが耐えられずにテープが外れてしまうのです。半年以上、1日10回近く力が加わるため、耐えきれなかったのかもしれません。

冷蔵庫のベビーガード2か所

たまにベビーガードをし忘れる

わたしがベビーガードをし忘れる日もあります。そんなとき母の行動は、どうなるのか?

野菜室を開けっ放しにしながら、何分も食材を整理してました。また食材を台所や居間に移動し、常温に戻す行動が復活してしまいました。

Amazonで購入したベビーガードは8本入りだったので、冷蔵庫のほうは新しいものに替えました。ちなみに100均で売っているベビーガードで別の場所をロックしてみましたが、そちらはすぐに外れてしまったので、amazonのこちらのほうがいいかもです。

苦肉の策ともいえるベビーガードでしたが、介護的にはとてもうまくいってます。最初はちょっと罪悪感もあったのですが、夏場になって食中毒の心配も出てきた今、これでよかったと思っています。

音声配信voicyの最新回は、あまり知られていない認知症テストをご紹介してます↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

ベビーガード!
我が家も BABAAガード に使いたい!

うちは工藤さんのお母様とは真逆で、食事を用意して出すと「さっき食べたばかりでしょ」と言ってなかなか食べてくれません。
デイサービスでも色々工夫して下さっているようですが、あまり食べていないようです。
スイーツ系はいつ出しても喜んで食べるんですけどねー(笑)

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか