認知症の母のために裁縫が必要になって壁にぶつかり解決した話

昨年末に音声配信voicyのほうで、こんな配信をしました。

要約すると、母は料理も裁縫も得意でしたが、認知症が進行してできなくなりました。代わりにわたしがやっていて、料理はネットを見ながら何とかクリアしているけど、裁縫はどうしても克服できないという話をしました。

袖口のボタンをずっと触っている母

母は手の筋委縮があるのですが、なぜかボタン付きのシャツを好んで着ます。ボタンのほうが面倒なはずですが、それ以上に首から通して着る衣服のほうが大変なのかもしれません。

時間がかかってもすべてのボタンを留める母の問題は、袖口のボタンです。認知症で同じことを何度も繰り返すため、手を洗ったばかりなのにまた手を洗う日もあります。その都度、袖口のボタンをつけたり外したりを繰り返すため、すぐにボタンが取れてしまうのです。

わたしの裁縫が下手すぎて、強度が弱いのも理由の一つです。針と糸を持つのは小学校の家庭科以来で、Youtubeでボタンのつけ方を見てやるのですが、何度も取れます。にしても、母はボタンを触りすぎで、ずっと袖口のボタンをテレビを見ながら触っています。

何度もボタンが取れるし、裁縫に興味が湧かないしで、裁縫は克服できない!そんな話をvoicyでしたところ、リスナーさんからいろいろ案を頂いたのです。

voicyリスナーさんからのアイデア

裁縫を知らないわたしが衝撃を受けたのは、ボタンつけ糸の存在でした。何も知らず、母の裁縫箱の糸を使っていました。実家近くの手芸店に行ったら、確かにありました。

でも母がボタンを触る習慣はおそらく変えられないので、もう1つリスナーさんから頂いた、マジックテープを探しました。最初は100均に行ったのですが、手芸店で探してみるとマジックテープのボタン『マジックボタン』なる商品がありました。

これならアイロンで付けられるし、母がボタンにこだわらなくなるかも!

マジックボタン
マジックボタンを袖口にアイロンで接着

何も言わず、しれっと洋服ダンスのハンガーにかけておきました。すると後日、母がマジックテープ付きのシャツを、着ているではありませんか! しかも袖口もちゃんと留まってる!

ボタンがマジックテープに変わって戸惑うかと思ったのですが、問題なく使えるようです。ただアイロン接着が甘かったのと、洗濯の時に糸がついてしまって、1回ダメにして付け直しました。家にあるボタン付きシャツの袖口だけ、すべてマジックボタンにしてきました。

他に裁縫の機会はないので、リスナーさんのアイデアに感謝したいです。

音声配信voicyの最新回は、母との食事のお話です↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか