骨はよくなるけど、認知症はよくならない現実

母の転倒骨折から、3週間が経過しました。このブログがアップされる今日、整形外科でレントゲンを撮って骨の状態を確認します。

母の骨の状態を見ながら、ふと思ったこと

くどひろ

骨はくっつくけど、認知症は治らないよな~

介護タクシーに車椅子で乗る母

正常圧水頭症とか慢性硬膜下血腫など、治る可能性のある認知症もありますが、基本認知症は治りません。母の認知症が進行する姿を、11年も見てきました。

一方で家の中をハイハイで歩いていた母が、少しずつ立てるようになってきて、着実に骨の状態はよくなっているように見えます。そんなとき、冒頭の言葉が頭に浮かんだのです。

「いっそのこと、骨みたいに認知症も治ってくれたらいいのに」と思いながら、改めて認知症介護の大変さの本質を確認できたような気がします。

骨折からの回復プロセスには期待があります。また立てるようになるかもしれない、車椅子もいらなくなるかもしれない、そんな期待です。

でも認知症には、そういう期待が持てません。特に母は発症から11年以上が経って、重度まで進行しているので、尚のことです。状態がよくなる日はもちろんありますが、基本は下降の一途をたどるだけです。

とはいえ、そんなことはだいぶ前から分かっていたので、そこには葛藤はありません。むしろ、何かがよくなるプロセスが、この段階になってもあったのかと思ったから、冒頭の言葉が頭に浮かんだのです。

何かが回復するとか、期待するとか、久しぶりの感覚でした。どちらかというと諦めを活用しながら介護を続けてきたので、たまにはこういうのもいいですね。

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今日もしれっと、しれっと。


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2件のコメント

こんにちは。voicyを聞いて久しぶりにブログに来ました。認知症が進んで大変そうです。。
お疲れ様です。
お母様は遠距離介護でも1人暮らしの限界は超えている様に見えます。
それでも施設入所をせずに頑張っておられるのはなぜですか?
大変失礼とは思いましたが疑問に思いました。

ケイさま

いえいえ、失礼なことはないですよ。

シンプルにまだ在宅介護でいけると思っている、ただそれだけのことです。わたしだけでなく在宅介護に協力してくださっている介護職の皆さまも、同じだと思います。とはいえ、デイサービスやお泊りデイの時間は相当増えています。まだ工夫の余地はあると思っていて、万策尽きたら施設という考えはずっと持っています。それがいつになるのかは、正直分かりません。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか