何時間も棚の整理を続ける認知症の母に楽しみを仕掛けた話

居間にある飾り棚には、母が集めたこけしとか、亡くなった父がゴルフで入賞したトロフィー、亡くなった祖母が旅行に行った先のものなど、いろんなものが飾られています。

母はその棚にあるものをキレイに並べるのが好きで、2~3時間夢中になって整理する日もあって、リハパンから尿漏れして畳が汚れてもやり続けます。

棚の下に引き出しがあるのですが、中の整理整頓もよくやります。30年前の家電の説明書やネジやくぎがたくさん入った引き出しなどがありますが、どうせ整理するならもうちょっと面白いものを整理してもらおうと、ある仕掛けを施しました。

引き出しにも楽しみを

家電説明書を片付けて、新たに母が大好きだった舟木一夫さんの写真集を入れてみました。ファンであったことはもう忘れているのですが、寝室に埃をかぶって置いてあってもったいなかったので、引き出しの中にそっと入れておきました。

もう1つは、母や亡くなった祖母の若い頃の写真です。祖母のことも忘れつつありますが、自分の若い頃は覚えているはず。昔懐かしい写真を、引き出しの中に仕込んでおきました。

こんな仕掛けをすると、ますます飾り棚の前から動かなくなる可能性はありますが、あまり意味のないように思える家電の説明書の整理整頓をするくらいなら、自分の若い頃の写真でも見てもらって、少しでも昔の記憶を思い出したほうがいいと思っています。

仕込んだあと、見守りカメラで母の様子を見ようと思ったら、ちょうど死角になっていて見えません。ただわたしが整理整頓したときと配置が違っていたので、おそらく母は若い頃の写真を見ていると思います。

舟木一夫さんの写真集を見て、ファンだった当時を思い出して欲しいところですが、こっちは厳しいかもしれません。でもこれからは何度も見ることになると思うので、急に思い出してくれるかも?

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしが書いた最新刊】
「老いた親の様子に「アレ?」」と思ったら」(PHP研究所)

これから親の介護が始まるかもしれないと不安に感じている人に向けた入門書です。目次や本の内容はAmazonに掲載されています。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(82歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

【音声配信Voicyパーソナリティ】
ちょっと気になる?介護のラジオ