「氷点下の真冬に薄着で雪かき!」認知症の母とその対処法

雪かき 認知症

こちらが岩手県盛岡市の気温(Yahoo!天気)です。

盛岡天気

雪国以外の方が見れば、「寒っ!」と思う気温ですが、わたしは「暖冬だな」と感じます。今のところ雪もかなり少なく安心しているのですが、毎年この時期に苦慮することが「母の薄着による雪かき」です。

厚手のコートを羽織らず、薄着でサンダルのまま雪かきをします。いろいろ問題があって、

・サンダルなので、足が雪で濡れる
・足が不自由なのに、足元が悪いところへ行くので転倒の可能性がある
・風邪をひく
・CMT病のため、かなり重度の冷え性。なのに足をさらに冷やす

北国は真冬日(日中の最高気温が氷点下)になることも多く、そんな極寒の中に飛び出します。原因は認知症による「判断力の低下」、あるいは見当識障害(日時や場所が分からなくなる)と言われています。

わが家の対処法

くどひろ
風邪ひくから、コート着て!

と最初の頃は言い続けましたが、当然効果もありません。息子としては、風邪をひいて欲しくないし骨折も困ります。コートを着せに行ったことも何度もありますが、

汗かくからイヤ!

お風呂に入らない母は、汗はかきたくないのです。極寒で汗がひいてちょうどいいと思ってます。そんな事を何シーズンか繰り返すうちに、こういう方法をとる事にしました。

「わたしが先回りして雪かきをする」

人を変えるのは難しい、でも自分を変えるのは簡単 という認知症介護とは関係ないところでも使える発想をここでも試しました。朝起きて、うっすら雪が積もっていたら母が朝食を作っている間に雪かきを一気に終わらせます。

母が朝食を食べながら外を見たときには、雪がない状態にする。こうすることで、母が極寒の外へ薄着で飛び出すことは激減しました。

最後に杉山孝博先生のお言葉を

認知症のある状態では、薄着でもかぜもひかないし、寒さも感じないこともある。だったら、そのままにしておけばよい。半年経過すれば真夏になって 「冬の薄着」の問題は解決する。「認知症になることは、様々な規制・規範から抜け出て自然人に戻ることである」と考えれば、エアコンのある今の生活のほう が異常で、認知症の人の世界の方が自然であるととらえられるのではないだろうか。
引用元:http://www.alzheimer.or.jp/?p=3383

認知症の方を「自然人に戻る」と表現するあたりが秀逸です。こういう表現されるお医者さま、あまりいませんよね。

母は真冬に薄着で外に出ることをなんとも思ってないので、わたしの真冬の常識を押し付けることなく、「そう思っているんだなぁ・・・」と思いながら、朝の雪かき頑張ります!

暖冬だと思っていると、3月ぐらいに突然大雪降ったりするんですよね。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか