遠距離介護と生命保険と認知症とのはなし

いきなりですが・・・・

1.遠距離介護
2.訪問販売
3.認知症

この3つのキーワードで作文を作りなさいって言われたら、99%の人がこういう文を作るんじゃないでしょうか?

『認知症の家族が訪問販売を受けてしまって、高額なものを買ってしまった。遠距離介護なので、そこまで気づかなかった』

このような悩みを解消する手段として、わたしが現在なっている成年後見制度があります。例えば、認知症の家族が、100万円の宝石(例えが古っ)を買ってしまった場合、”判断不十分者契約の取り消し” が可能です。宝石を無条件で、成年後見人が返品できます。

でもでも・・・、わたしは ”祖母の” 成年後見人であり、祖母は病院にいます。高額の羽毛ふとんを買うチャンスも、健康食品を買うチャンスもありません。母も認知症なんですが、こちらは完全なるフリー。返品もなーんもできないんです・・・今回はその母について、さらに訪問販売を生命保険に置き換えてのおはなしです。

うぎゃ!2つの生命保険(10年満期)の更新が、こんなタイミングで!

母はなぜか2つも生命保険に入っていました。ちょうど10年満期だったので、保険の見直しが必要!と生保レディが突然現れたのです。

69歳高齢いうことで、レディが提示した月額生命保険料は、今までの倍・・・・月2万円です、高っ!年金暮らしな上に、父親が出ていた我が家にとって、2つの生命保険に加入するなど、あり得ないことです。わたしはレディに、

『あまりに高額なので、少し時間を頂けませんか?』

といって、一旦お引き取り願いました。10年前に契約した時とは状況がだいぶ変わっていて、

・59歳で契約した時には、認知症でもなかったし、シャルコー・マリー・トゥース病ではあったが診断はされてなかった
・もし契約を見直す場合、上記2つの病気がひっかかって保険料がUP、病気でも入れるタイプの保険のみしか選べない

レディの事など全く信用してないわたしは、保険診断クリニック的なところへ、母を連れていきました。で、保険コンサルタントの方に見て頂いたところ、

『1つで十分ですね~、年金生活という事も考えれば、減らして大丈夫です』

ということで、後日レディを呼んで、2つの生命保険のうち1つを解約、1つを更新ということにしました。更新で進めると、上記の病気2つは考慮されないというメリットがあって、新規で保険に入るよりも安いというコンサルタントのアドバイスで、そうしました。2つの保険を1つにしたんですが、保険料総額は現状維持・・・、年齢分保険料が上がるのはしょうがないとして、まぁ合格点かなと。

自分で自分を褒めてあげたい!と思っていたんですが、急にゾーッとしてきたんですよ・・・なぜか?

軽度の認知症の怖いところ

何が怖いって、 『軽度の認知症の母 vs 生保レディ の商談は、なんとなくでも成り立ってしまう』 んです!

生保レディとの商談は長くても30分。30分ぐらいでは、きっとレディは母が認知症と気づかずに、正常な人として生命保険を強く薦めてきたはずです。一方の母は、判断能力が落ちてますから、生保レディの言いなりです。そしてわたしは後見人の資格がない&遠距離介護だから、何も気づかないまま契約・・・そしてその契約は10年続く・・・

ホント、ゾッとしました。もし自分がいなかったら、生保レディは何の疑問も持たずに、母に対して2万円の保険を契約してしまったでしょう。一方の母も、『これで一安心』 とか言っちゃって、満足していたと思うんです、全然安心じゃないのに・・・

軽度の認知症って、第三者から見ると気づかない事もあります。そこがまず怖いのと、遠距離介護の難しさも痛感しました。わたしはまだ頻繁に足を運んでいるからいいものの、これがもし月1度しか帰れない人だったら・・・レディが来た事すら気づかないでしょうね。

そういう意味で、成年後見制度を利用して、もし高額なものを買ったり、契約した場合は返品できるようにする!そういう体制づくりは必要だなと思いました。ありがとう!成年後見制度!

この話、訪問販売編もありますので、これを次回書きますね。これはこれでゾッとします・・・・


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか