「介護は大変だよ」という人よりも、「何とかなるよ」という人に話を聞いたほうがいい

サンデー毎日

「介護は大変だよ」 という人よりも、「何とかなるよ」という人に話を聞いたほうがいい

現在発売中のサンデー毎日で紹介されている、介護を 「逆手」 に人生を切り開いた介護離職者、中村和仁さん(56)の金言です。

サンデー毎日

中村さんは49歳のとき、認知症の母の介護のため出版社を辞め、フリーになったお方。ご自身が体調を壊して入院されたとき、

「もともとフリー志向だったこともあり、それなら独立しよう、と。フリーになれば母と一緒に過ごす時間が増えるとも思いました」

わたしと全く同じ発想です。わたしもいつかフリーになろうと思っていたら、まさかの介護離職で背中を押されてしまいました。

人はどうしても比較をしてしまう生き物

突然ですが、介護ブログで人気のある条件のひとつ、知ってますか?

それは 「介護の大変さ」 です。介護が大変であればあるほど、そのブログへのアクセスが集まる傾向にあります、なぜか?共感したいから?いいえ、違います。それは、

「この人はわたしよりもっと大変な思いをして頑張っている、わたしなんてまだまだ」

と比較し、自分を励ますためです。でもわたしは、こういったブログに目を背けるタイプで読めません。理由は、

「自分の介護の未来を想像してしまうから」

です。認知症はある程度キープできても、少しずつ悪化していくわけで、ムダに未来を悲観的に見て落ち込むのがもったいないのです。もし、悲観的な未来を想像してしまったら、名著 「嫌われる勇気」 にあるこのコトバを思い出すようにしています。

もし「いまここ」に強烈なスポットライトを当てていたら、過去も未来も見えなくなる。今ここに真剣に生きる。

このコトバを体得できたら、認知症の人に同じことを何回言われても、それはすべてただの過去。その瞬間瞬間では、すべて1回目の話です。体得できたら、そうなりますが山ごもりしないとダメかな・・・

「介護は大変だよ」 という人はきっと、「未来の大変さ」 を切々と語るでしょう。「過去の大変さ」を語ってしまうでしょう。だから常に、「何とかなるよ」 と言える介護者であり続けたい、中村さんのコトバに心動かされたのでした。

コトバの持つ魔法の力、恐るべしです。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか