「がんばらずにニコニコする人ほど幸せになる」という記事を介護に当てはめて読んだ

入院中の妻(すでに退院しました)から、わたしのことが書いてある記事があるから読んでみてと、LINEメッセージをもらいました。

その記事とは、プレジデントオンラインにあった「頑張らずにニコニコする人ほど幸せになる」。

「がんばりすぎずにしれっと認知症介護」という本を書き、このタイトルで講演会もやっております。講演会にご参加頂いた方はきっと、わたしがニコニコしながら話していると思われたのでは?

ニコニコを演じているわけではなくて、簡単に言うと生まれつきこんな顔です。いいときは「ニコニコ」、悪いときは「ニヤニヤ」と言われるので、場面を間違うと大変なことにもなるのですが、人生トータルでみると、プラスに働くことのほうが多かったように思います。

そんなスタンスで介護をやって7年目になるのですが、この記事ののっけから、わたしがいつも考えていること、介護に取り入れていることが書いてありました。

山口大学国際総合科学部の小川仁志准教授は「幸福になるための一番の近道はポジティブになること。要はマイナス要素をマイナスと捉えない。そうすると落ち込むことがなくなり、常に幸福でいられます」という。

引用元:プレジデントオンライン https://president.jp/articles/-/26662

わたしも会社員時代は、こんな感じで振る舞うことができませんでした。どこまでも深く、ネガティブに考える人でした。それを必死にポジティブに変換するために、自己啓発書を読みまくり、から元気でリーダーシップを勉強しました。

今思うと、その経験はすべて介護に生きているなぁと感じます。そして哲学者のアランは、こんなことを言っているそうです。

「うまくいったからうれしいのではなく、自分がうれしいからうまくいったのだ」とも述べている。小川准教授は「これは“心と体は一体”というアランの考えを象徴する言葉です。私たちはうれしいから笑顔になると思っていますが、逆に笑顔になることでうれしくなることも成り立つのです」と解説する。

引用元:プレジデントオンライン https://president.jp/articles/-/26662

わたしの本を読んだ方なら、この話は初めてじゃないはずです。わたしもそうですし、アランも、それ以外の方も「まずは笑っとけ」と言っているのです。

そして記事にあった、他人との比較の話。これを止めるには「中庸」であることが、大切なんだそう。

「中庸」とは『ほどほどな状態』のこと。私流に解釈すれば『60点主義』です。常に100点を目指していては疲れて長続きしないので、ギリギリの合格点を狙うのです。

引用元:プレジデントオンライン https://president.jp/articles/-/26662

わたしがいつも切ないな・・・と思うのは、介護者同士の比較です。

あの人は施設に預けているから、あの人は元々の親子関係がうまくいっているからと、他の介護者と自分の介護を比較してしまい、自分の介護には当てはまらない、自分にはそんな介護できっこないと考え、シャットダウンしてしまう方が結構います。

自分よりもっと大変で壮絶な介護を見て、比較して、「自分のほうがまだましだ」と思って頑張る方もいると思うのですが、上を見て比較しても、下を見て比較しても、最後は自分がどう介護するか、そしてどう感じるのか・・・それだけです。

他の介護者との比較によって、自分がニコニコしなくなったら、認知症の母にも悪影響なので、この調子でがんばりすぎないスタンスを貫こうと思っています。この6年でいろいろな介護をしましたが、まずまずではないかと自己採点しています。

とはいえ、頑張りスイッチが入ってしまうこともあります。

それはお仕事。

今の仕事は本当に好きなので、つい頑張ってしまうのですが、常に力を抜く意識はしています。集中し過ぎて、昼間の噛みしめが強くなっていると歯医者で言われたので、たまに口を開け、力を抜く訓練(ノートPCなどにマーキング(しるしをつける)をして、そのしるしを見たら口の力を緩めるようにする)をしています。

人生も介護も仕事もふと力を抜く、このマーキングの意識が大切なのかもしれませんね。いい記事なので、読んでみてください。最後まで記事を読めない方もいるかもですが、いろいろ検索してみると糸口が・・・

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか