8年の介護で後悔している3つのこと

後悔

わたしが書いた1冊目の本のタイトルは、認知症介護を「後悔しない」ための54の心得です。

それもこれも介護でたくさん後悔してきたからですが、今日は看取った祖母と父、介護中の母の8年の介護の中で、今の自分ならこう介護していただろうなぁと後悔している3つのことをご紹介します。

祖母は在宅介護にするべきだった

1つ目は、祖母を在宅で介護すべきだったという後悔です。

2013年当時、89歳・要介護3で認知症で子宮頸がんで余命半年だった祖母を、療養型病床にお願いして、週2回から3回のペースで通っていました。

祖母の主介護者になったとき、意思疎通はすでに微妙で、医師、病院のソーシャルワーカー、ケアマネの言われるがまま動きました。その当時は、従うことが正解だと思っていましたが、今ある知識なら在宅介護の道を選んでいたと思います。

祖母の死期を早めてしまったのはきっと、療養型病床のベッドから転落したあと、ベッドで1日中寝かせてしまった廃用症候群が原因で、子宮頸がんは直接的な原因ではないと7年経っても思います。

認知症の母の介護が始まったばかりで、ダブル介護は大変でしたし、遠距離だったこともあり、病院に任せて安心でした。しかし、1日中ベッドで寝ていては、人間どんどん弱ります。在宅で介護してれば、あと2年くらいは生きられたかもと今でも後悔することがあります。

元気だった頃の祖母とエンディングノートを書きたかった

2つ目は、元気だった頃の祖母とエンディングノートを書いておけばよかったと後悔しています。

祖母とは仲良くなかったのですが、4年絶縁状態だった亡くなる前の父と命の最期について話し合ったくらいなので、おそらく自分ならやり切るだろうと思います。

認知症が進行したら、どこで生活したい? 延命措置はどうする? 葬儀は誰を呼ぶ? そういった話を、認知症が進行する前にやっておけばよかったです。命の代理判断をいろいろやりましたが、あれは正解だったのか、不正解なのか、答えは永遠に分からないので後悔しています。

介護が始まる前からもっと情報収集しておきたかった

最後は、介護が始まる前にもっと情報を集めておけばよかったと後悔しています。

介護離職の可能性は30代から想定していたので、副業や貯金の準備はしていました。しかし、介護保険サービスには全く興味がなかったので、そちらの準備は怠っていました。

もし知識があれば、病院選び、ケアマネ選び、ケアプランの作成など、全く違う介護が展開されていたように思います。

そして今

いずれも、祖母の介護での後悔です。祖母で後悔したことを父で取り返し、父で後悔したことを母で取り返すようにして、後悔を繰り返さないようにしてきました。

常に後悔を回収し続けているので、後悔がさらに大きくなることはありません。父や母の介護で後悔したことはないかと言われれば、いっぱいあります。100%の介護は始めから目指していないので、許容範囲内ではありますが、あれをやっておけば、こうしておけばといつも考えます。

でもそうした後悔や引っかかりが、このブログや出版、講演の原動力になっています。だから8年も続けられるのだと思います。

わたしと同じ後悔をする方もいますし、介護が始まっていない人も通る可能性もあります。早めに事例を提示して、アラートを出しておけば、誰かが救われると思えばやる気になるし、わたしの後悔も和らぎます。

後悔で学び、後悔で自分を強くし、後悔で人にやさしくなれる。これからも後悔を燃料にして、発信と遠距離介護を続けていきます。コロナ禍の今、やることは限られていますが、後悔のない介護を目指してください!

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか