東京に居るわたしは、頻繁に岩手の母の様子を見守りカメラで見ているが、認知症の進行とともに見る頻度もカメラの設置台数も増えている。だから、母の様子がいつもと違うときはすぐに分かる。
今回はいつもいるはずの居間の座椅子に母がおらず、その近くで横になっていた。日曜日の夜はスマートリモコンで設定したナニコレ珍百景からポツンと一軒家を見る流れだが、この日はテレビも見ずに横たわっていた。
おかしいと思い、録画されていた見守りカメラの映像を10分前から確認。母は台所から居間に移動したとき、居間の電気のひもを引っ張ろうとして、イナバウワーのように後ろに反って転倒し、尻もちをついた。
何かにつかまらないと立っていられないのだが、つかまった相手が頼りない電気のひもなら当然転んでしまう。ちなみにいつもは座った状態で、電気のひもを引っ張っている。
自分の痛みをうまく説明できない母
転倒した原因はすぐに分かり、そのまま母の様子を見ているとゴロゴロ動いて痛そう。状況確認のため、東京から電話をすると母は「しばらくすると、痛みが出てくると思う」と。それっぽいことは言っていたが、何分か会話をしてもよく分からない。
認知症で自分の状態をうまく説明できないので、また見守りカメラを使うことにした。もしも1時間後に様子が変だったり、痛い顔をしていたりしたら、捻挫以上のケガと判断することにした。
その間に岩手の妹にLINEをして、見守りカメラの録画映像を見てもらった。やりとりが終わり母の様子を見ると、しかめっ面をしていて痛みはまだ続いている感じ。
結局、妹が車で1時間弱かけて実家へ行った。移動中、わたしは日曜日の夜間診療をしている病院を検索してLINEした。
実家に着いた妹がその病院に連絡すると、外科は外科でも脳外科で対応できないと。その病院から紹介された病院に連絡すると、外科だったが日曜夜はレントゲンは取れないし、湿布ぐらいとの回答が。
結局その日は諦め、翌朝に病院へ連れて行くことになった。ここまでの流れを、岩手のケアマネさんに電話連絡。妹がそのまま泊まることになり、翌朝のヘルパーさん(デイの送り出し)は急きょキャンセルして、妹が仕事前に外科へ連れて行くことになった。
認知症と骨折は相性が悪い
診断結果は、左足親指の付け根の軽い骨折(ひび)。シーネと呼ばれる添え木のようなものと包帯で処置をして、妹は仕事へ、母はデイサービスへ行った。
重症ではなかったので一安心だが、問題は認知症。母がデイから帰ってきて、ケアマネさんと今後の予定について話し、すぐに盛岡行きの東北新幹線のチケットをネット予約している間に、母はシーネも包帯も取ってしまった。ギャー!本当に取っちゃダメなやつ!!
デイに居たときから、包帯のかゆみなのか、痛みの違和感なのか分からないが、何度も外そうとしていたそう。ひとりになった瞬間に、全部取ってしまった。
そこからは母が立ちあがろうとしたら、カメラを使って「骨折してるから、立っちゃダメ」と2時間近く声掛けを続け、なんとか阻止した。でもこれは、ずっとは続けられない。しばらくして仕事から帰ってきた妹に、包帯を巻き直してもらった。
白内障の術後に認知症の母が違和感からガーゼを取ろうとして、それを徹夜で阻止したあの悪夢がまた始まりそう。
骨折は軽いが認知症は重いので、他の人のように安静にできない。言っても理解してもらえないし、本能のまま動いてしまうので、なかなか治らない可能性もある。
ということで、この記事のアップ日である本日、急きょ盛岡へ向かっている。しばらくこの話をブログと音声配信を使って発信する。文字だけでは書ききれないと思うので、音声配信と分けてお伝えしようと思う。前回の記事で遠距離介護のペースを落とすと書いたばかりだが、逆になってしまった。
音声配信voicyの最新回は、母の一言に本当にびっくりした話です↓
今日もしれっと、しれっと。
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