服薬支援ロボット『FUKU助』を3週間使ってみた感想

認知症の人に限らず、高齢者がお薬をきちんと飲んでいるかどうかを心配しているご家族はたくさんいます。

認知症の母(要介護3・78歳)も同様で、これまでさまざまな服薬管理の工夫をしてきました。今回、服薬支援ロボット『FUKU助』を使う機会があり、母が忘れずにお薬を飲めたのかどうかをまとめました。

服薬支援ロボット『FUKU助』とは?

FUKU助を開発したのは、東京にある(株)メディカルスイッチさん。

服薬支援ロボットFUKU助(母がシールでかわいく装飾しました)

わたしはテスター(製品評価者)として、仕事を請け負いました。なので、ブログや音声配信で発信する仕事は含まれていないのですが、使用感をブログ読者の皆さまにも伝えたいと思ったので、許可を得て記事にしました。

写真の通り、正面に大きなディスプレイがあります。ここに日時や次の服薬時間、ごみの予定日や訪問予定などが表示されるのと同時に、音声でもお知らせがあります。

服薬時間になるとディスプレイに「押す」ボタンが表示され、ディスプレイ右上の「手を入れないで」のところからお薬が出てきます。

わが家では、ヘルパーさんや訪問薬剤師さんを主体とした人力による服薬管理を行っています。訪問薬剤師さんが週1回、家に来てお薬をセットしていきますが、現在はお薬カレンダーを使っておらず、薬を隠して保管しています。

というのも、母はお薬を見つけると飲み忘れだと思って、あるだけ飲んでしまうのです。それでわたしやヘルパーさんが保管場所から必要な分だけ取り出して、母に飲んでもらう運用になりました。今回はそれをFUKU助に置き換えて、3週間テストしました。

FUKU助のテスト開始

FUKU助は、4回分×最大1か月分のお薬をセットできます。わが家では薬剤師さんが持ってきた1週間分×1日2回のお薬を、わたしがFUKU助にセットしました。

おくすりケース①に薬を積んでいきます
おくすりケースをFUKU助の背面から入れて、鍵をかけます

鍵が掛けられますし、母にはお薬が見えない状態になるので、飲み過ぎ問題はクリアできました。

次に飲み忘れですが、FUKU助で設定した時間になると音声と光とディスプレイで「お薬の時間です」と声を掛けてくれます。仮にその時間にいなかったとしても、設定した時間と間隔で何度もお薬を取り出すまで声を掛けてくれるので、飲み忘れがありません。

母はFUKU助の声と光に導かれ、FUKU助に言われるがまま、ディスプレイの「押す」のボタンを押し、FUKU助からお薬を取り出しました。認知症が進行しているので、母に使い方を説明しても覚えられません。それでも言われるがまま、毎回お薬をきちんと取り出しました。

最初は立ち会いましたが、あとは隠れた場所で母の様子を見ていました。それでも自分で操作して、お薬を取り出して飲めていました。

あとFUKU助と話していた母の姿が面白くて、なぜか愛おしく思えました。ロボット相手でも普通に会話しちゃうのは、FUKU助が流暢に話すからかもしれません。「お薬をお飲み頂き、ありがとうございました」とFUKU助に言われた母は、こう答えてました。

はいはい、どうもどうも。どういたしまして。

想像していなかった問題

想定していなかった問題も発生しました。

母はFUKU助が服薬支援ロボットだと分からないので、最初は口頭で何度も説明しました。それでも理解できないので、貼り紙を何度も貼りました。お薬が出てくること、購入ではなくいずれ返却することなどを紙に記載したのですが、母はなぜかはがしてしまうのです。

さらに模様替えが好きな母は、手足が不自由なのにFUKU助を動かしたのです。借り物なのに壊したらだめ!ということで、貼り紙の口調がどんどんきつくなって最後は『動かすな!』って書いてました。

あとはコンセントを抜いてしまう問題です。水場の近い台所に置きたかったのですが、場所がなくやむを得ず居間に置いたのですが、気になったのかコンセントを抜いてしまいました。

さらにお薬を取り出して安心してポケットに入れ、そのままデイサービスに持って行って飲み忘れるという想定外のことも起きました。

FUKU助はどんな人にオススメか?

うちぐらい認知症が進行していても、母が飲み忘れなかったのは驚きでした。ポケットに入れてしまうことはありましたが、9割以上の確率で母はきちんと服薬ができました。

他人を家に入れたくない、だけどお薬をちゃんと飲んでもらいたいと思っているご家族に特にいいと思います。あと、わが家のようにお薬が見える場所にあると飲んでしまう家にもいいです。鍵を掛けて飲めないようにする仕掛けも助かりました。

他にもクラウドサービスがあって、FUKU助からお薬を取り出したかどうか、また取り出した時間がクラウド上で確認できますし、メールでお知らせも来ます。母がコンセントを抜いたときも、通信が切れたという通知が来たので、電源を入れに行きました。

ネット回線が実家になくても大丈夫なので、薬を通した見守りツールとして使うのもいいかもしれません。

文字や写真だけだとイメージできないかもしれないので、実際に動いている情報はFUKU助の紹介動画(Youtube)をご覧ください。

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4件のコメント

おはようございます。

数ヶ月前、父が手の指のひび割れで化膿し、抗生物質が出たのですが、服薬することができませんでした。「1日3回食後1錠」だったのですが「1回3錠」と勘違いして、いっぺんに3錠服薬してしまいました。
今後、過剰な服薬や飲み忘れが増えた場合FUKU助にお願いすることがあるかもしれません。
FUKU助を記事にしていただきありがとうございました。

ウチはペット用の自動給餌器での代用を検討しました。
時間になると薬がセットされたトレイが開く扉の位置まで移動する仕組みでした。
タイマーはもちろん、6回分セットできてメッセージも録音できたので購入&テストまでしたのですが、誰に薬をセットしてもらうか問題など家族の反対でで結局1度も利用せず訪問看護の利用での服薬管理になりました。(もちろん訪看さんが来ない日に飲み過ぎ飲み忘れ頻発)
4000円くらいで安価でナイスアイデアと思ったのですが。f^_^;)
我が家は去年で遠距離介護が終了したのですが、知識更新の為にいつも拝見しています。

alohaさま

その発想、めちゃめちゃ面白いですね!
ペット用は思いつきませんでした、なるほどその手がありましたね。本当にナイスアイディアだと思います。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(79歳・要介護3)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて10年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか