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認知症の母の通院がつらくて訪問歯科を利用したレポート

訪問歯科 体験談 ブログ

先日、歯科通院がつらいと記事に書きました。

実家から自転車で1分の距離にある歯科なのに、なぜつらいのか。

それは手足に障害のある母が介助なしでは外を歩けないので、毎回気をつかいながらワンメーターのタクシーを呼ばなければならず、しかも朝に入れ歯を預けて、夕方取りに行くこともあって、気疲れと移動疲れに加えて、治療費以上の交通費がかかることも気になっていました。

また入れ歯がないと固形物が食べられないので、遠距離介護の滞在中に緊急対応を迫られるなど、歯医者には7年近くお世話になったと思うのですが、訪問歯科を利用することに決めたのです。

入れ歯の破損原因と訪問歯科選び

母の入れ歯がよく破損する原因は、入れ歯を雑に扱うからかもしれませんし、それ以外の原因かもしれません。今月は2か月前に治したばかりの上の入れ歯が再び部分破損したあと、夜中に外した下の入れ歯を寝返りで割ってしまい、イチから作り直しに。

昨年1年がかりで作った入れ歯だったので、作り直しには最低でも半年の通院が必要です。また通院地獄が始まるのかと頭を抱え、わたしの心はポキッと折れてしまいました。

訪問歯科の存在はずっと前から知っていたのに、習慣って恐ろしい。常に緊急対応だったから、そっちまで頭が回らなかったのかもしれません。ケアマネさんも同じく知識があったはずですが、わたしが常に慌てているから提案する余裕がなかったのかも。

それでケアマネさんや訪問看護師さんから訪問歯科を教えていただき、正式に予約。わたしが実家に帰省したときに、初受診となりました。

写真で紹介する訪問歯科

わたしの訪問歯科のイメージは、専用車が自宅に来て、車の中で治療するものと思っていました。歯医者独特のリクライニング椅子や照明があるので、そういうものかと。

先生に質問すると、「昔はやっていたけど、今は専用車に乗れる人は通院できると判断される」とのことで、専用車ではなく軽自動車で訪問していると言ってました。

ではどこで歯の治療を行ったかというと、実家の居間のコタツです。下の写真のように、母はいつもテレビを見ている座椅子に座って、紙エプロンをして治療開始です。

初診なので歯の状態チェックから始まり、次にレントゲンを撮ると先生が。どこで撮影するのかと思ったら、やはりコタツでした。上の写真が、まさにレントゲン撮影しているところです。

母の下の入れ歯は、前の入れ歯を作り直したときに捨てずに保管しておいたもので、1年以上使っていなかったので合っていなくて、歯茎に傷がついていたようです。それでも入れ歯があるだけよくて、下の写真のように先生がコタツの脇で、ドリルで入れ歯の調整をしてくれました。

入れ歯をドリルで削っている歯科医

介護者にとっての訪問歯科は心強い存在

「訪問美容師さんが自宅にシャンプー台を持ってきたときくらいワクワクした」と伝えると、先生はそう言ってもらえてうれしいと。訪問歯科を世に伝えたいので、写真を撮ってブログにアップしていいかと聞くと、OKでした。

先生曰く、インプラントと手術以外、だいたいのことは訪問で対応できるとのこと。亡くなった父が悪性リンパ腫(血液のがん)で訪問診療を利用したときも、先生がだいたいのことは家でできると言っていた、あの話を思い出しました。

訪問歯科の先生は、寝たきりの方や認知症の方の歯の治療もするので、動きや話し方が慣れているなとすぐ分かりました。訪問でない歯医者さんは、こうはいきません。

わたしのように、追い詰められてから訪問歯科を頼る人は本当に多いとのこと。患者さんが重症化する前に、介護者が追いつめられる前に利用して欲しいと言ってました。

認知症の人が、入れ歯をティッシュにくるんでゴミ箱に捨てる話。わたしにはあるあるですが、先生も当たり前のようにありますねと。そもそも入れ歯自体なくしちゃうとか、予約を入れて自宅に行ったら、予約入れてないと言われたとか。先生、その話めちゃくちゃよく分かりますよ。

訪問歯科で入れ歯調整を終えた母は

朝食は入れ歯が合わなくて、もやし炒めを恐る恐る食べていた母が、昼にはパスタをモリモリ食べていて、本当に助かりました。夜はお祝いで、すき焼きにしました。

これから4か月かけて、抜歯や入れ歯の作り直しを行います。でも歯医者に通わなくていいので、気持ち的には本当にラクになりました。抜歯も高齢なので避けていたのですが、訪問歯科の先生から見た母は元気だから、抜歯もいけるでしょうと。

訪問歯科における介護保険は、訪問時の居宅療養管理指導のみでこちらは契約書を交わしました。支給限度額に含まれないので、安心です。歯科の所在地から半径16㎞以内というルールがあるので、申し込む際はその点を確認するといいです。

今日もしれっと、しれっと。


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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(82歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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