尿便失禁に悩む介護者が読むべき一冊『排泄介護のお悩み解消ブック』の感想

排泄介護のお悩み解消ブック

「いつまでこのニオイと汚れに向き合えばいいんだろう……」

在宅介護で、精神的・肉体的に削られる排泄の処理。私も日々格闘中で、昨年12月に発売になった日本コンチネンス協会名誉会長・西村かおるさんの著書『排泄介護のお悩み解消ブック』(翔泳社)が気になって購入しました。

コンチネンスとは「失禁」の反対語で、日常的に排泄をコントロールできている状態「禁制」を意味します。

排泄専門の看護師であり、ご自身も介護経験者である著者の言葉には、綺麗事ではない重みがありました。介護者に読んでほしい本書の魅力と、私が実践で確信した「排泄介護を乗り越えるコツ」についてお話しします。

『排泄介護のお悩み解消ブック』本の構成

本のサイズが変わっていて、PC判でしょうか? 認知症など、はじめての在宅介護シリーズすべてがこのサイズで、図や写真が多い場合はこのサイズが読みやすいと思います。

6章で構成されていて、排泄介護の悩み、おむつに頼らない排泄介護のキホン、おむつ・パッドを使った排泄介護、認知症の人の排泄介護、下痢・便秘があるときの排泄介護などなど、どれもわたしが在宅介護で悩んでいる話ばかりでした。

またおむつ・パッド交換の動画がついていて、QRコードを読むと見られます。わたしが失念している可能性もありますが、最初役者さんがおむつ交換をされていて、介護経験のある俳優さんもいらっしゃるだと思って見始めました。

でもこれって著者さん? と思い、画像検索してみると西村さんご本人による動画解説でした。排泄介護する前に、一度動画で確認しておいたほうが絶対にいいです。わたしは実践で身に着けたタイプで、かなり遠回りしたと思います。

『排泄介護のお悩み解消ブック』の感想

最も共感した部分はここです。

先輩介護者はどうやって嫌悪感を乗り越えながら排泄介護を続けられているのでしょうか。その理由は、身も蓋もありませんが、”慣れ”です。

引用元:『排泄介護のお悩み解消ブック』

わたしは自分が書いた認知症の本の中で、「慣れ」の大切さについて説いたのですが、実は排泄介護も同じだと思っていました。

自分の場合、目の前に尿や便があって、しかもそれがトイレ以外の場所だったら、誰でもすぐに処理しようとするじゃないですか? 1分1秒でも早く処理したい、でもニオイがきついし汚い。

どうしたらストレスなく、手早く処理できるかを考えつつ、一方で排泄介護の回数はどんどん増えていく。そういう場面に何度も遭遇し、何度も処理を続けていたら慣れてしまって、今は何とも思いません。

排泄介護はネットで調べたり、訪問看護師さんの所作を観察したり、おむつメーカーに問い合わせたりして、独学でノウハウを身に着けました。でも、最初からこの本を読んでおけばいいです。

本当に偶然なんですけど、自分は本に書いてあることをしっかり実践していたみたいです。だから自分の排泄介護に自信が持てたし、母が寝たきりになって次のステージの介護が必要になったときはこの本を頼って実践すると思います。

著者として感じた「本当に求められている介護の本」

実はわたしも、こういう本が書きたかったんですよ。というのも、出版社からくる介護本のオファーは、だいたい介護初心者やこれから介護する人に向けの企画ばかりです。

自分はもうそこは書きたくないと思っているし、同じような本がたくさんあるので、少しずらして書いています。介護の実体験は、ずらしの要素として効果的です。

とはいえニーズは圧倒的に介護初心者向けなので、この傾向は今後も変わらないと予想していますが、介護中級者やベテラン向けの本が、世の中にもっとあってもいいかなと個人的には思っています。

今日もしれっと、しれっと。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(82歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて14年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント(翔泳社)、老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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