ゆっくり認知症の症状が進行していると感じている介護者にオリンピックは役立つかもしれない

遠距離介護生活を始めて、3度目のオリンピックが終わりました。

ソチオリンピック、リオデジャネイロオリンピックの時の記事は、こちらです。

認知症の母と見た、ある方の平昌オリンピックの表彰式は、こんな感じでした。

この人、いくつなの?
くどひろ
(スマホで調べて)31歳だって
あんや、若いこと~ 童顔なんだね
くどひろ
確かに小平さんは若いよね
これ、どこでやってるの?
くどひろ
韓国
なんで、世界中の人が集まっているの?
くどひろ
オリンピックだからね
この人、いくつなの?
くどひろ
31歳だって
あんや、若いこと~ 童顔なんだね
くどひろ
そうね
これ、どこでやってるの?
くどひろ
韓国
この人、国からいくらかもらうの?
くどひろ
もらうんじゃない
ところでこれ、どこでやってるの?
くどひろ
韓国
あ、そうなの。ところでこの人、いくつなの?
くどひろ
31歳、若いよね~

ここまで3分かからず話してますから、恐ろしいペースで母は同じ質問をしてきます。ソチオリンピックから4年経ちましたが、オリンピックの会話の中身は変わってない、そのかわり同じ質問してくる間隔がかなり短くなっています。

1時間オリンピック中継を見れば、上のやりとり×20回ということになります。さすがにわたしが疲弊するので、近くにあったチラシの裏に殴り書きしたのがこちら。

質問されるたびに、この紙を見せることで返事の回数は減りました。この紙はパシュートの先頭の選手みたいなもので、わたしのストレスの風除けとして大活躍してくれました、お疲れ様!

オリンピックと紐づけてみる認知症の母の症状

認知症の症状の変化は、急激に悪化するケースもありますが、母のようにゆっくり進行しているケースもあります。

ゆっくり進行すると、認知症の症状がどこで悪化したかよく分かりません。でも、4年に1回しかないオリンピックはすごく印象に残るので、この時の会話の内容や同じことを何度も言う回数、競技の理解度で、過去の母と現在の母を比較できるなと今回思いました。

ソチオリンピックと平昌オリンピックを見ながら話す内容は、4年経っても変わってません。でも、同じ質問をするまでの時間の間隔が短くなっています。

当たり前だけど、4年経てばそりゃ認知症も進むよなぁという思い、このレベルで留まっているのなら、ラッキー♪という両方の思いが交錯したまま、オリンピックは終わりました。何よりソチの時より、自分の認知症介護の技術がレベルアップしています。成長しました!

もうひとつ感じたのは、母の多幸感です。「同じことを何度も言われた時、5回超えたら介護者もストレスを感じるから指摘してもいい」という現実的な対応法の話は、本やコラムでも何度もご紹介しておりますが、こんな感じなので数分で5回に到達してしまうのです。

だから、「それ、さっきと同じ質問」と指摘するのですが、その指摘の回数も当然増えます。それで怒り出す認知症の方もいると思うんですが、うちの母の場合は割とケロッとしています。「歳を取れば、誰でもそうなる」くらいの強い気持ちを持っているようで、認知症になる前の母よりもたくましくなってます。

本人が苦にしていないし、わたしもうまく順応できているので問題視していませんが、お薬以外で認知症関連のいろんなものを購入し始めたので、近く記事にしたいと思います。パラリンピックは3月9日からです!

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか