認知症の母が真っ暗な居間でひとり過ごしたある夜のこと

真っ暗な居間

母が町内会の班長になっていたGW(元記事:GW中に認知症の母が町内会の班長になっていた!に、もうひとつの事件が起きていた。

東京のスマホを操作して、スマカメ(見守りカメラ)で盛岡の居間の写真を撮ったものがこちら。

20時の盛岡の居間は、ご覧のとおり真っ暗。

その日の18時に、東京に居たわたしの携帯が鳴った。

どうやら蛍光灯が切れ、ペカペカいって気になるから、どうしたらいいかという相談だった。

長く遠距離介護をしていると、こういった電化製品トラブルによく巻き込まれる。

遠距離介護の場合、すぐに対応できないという問題がある。

わたしは2週間に1回は盛岡に帰省しているので、対応できるほうだが、数か月に1回ペースで遠距離介護している人にとっては、本当に大きな問題である。

もうひとつ、母が認知症という問題もある。

テレビが故障したとき、「テレビがつかない」と何度も何度も東京に居るわたしに電話をしてきた。

電話で説明しても、母は途端に忘れてしまう。電話を切り、テレビをつけると、テレビが故障したと思い、またわたしに電話してくる。これがエンドレスに続く。

くどひろ
いい、今から言うことを紙に書いて、テレビに貼ってもらえる
分かった。なに、言ってみて。
くどひろ
明日、ようこ(妹・仮名)がテレビを直しにくる

今回の蛍光灯も張り紙で対応しようと思ったが、母が隣にある台所の蛍光灯の明かりで、一晩過ごすと言ってくれた。

東京に居るわたしは、スマホ越しに真っ暗な盛岡の居間にひとりで座っている母の様子を見ながら、以前あった切ない朝食(元記事:認知症の母が準備したせつない朝食)を思い出した。

しかし、蛍光灯が切れた翌日にわたしが帰省することになっていたので、母には、隣の部屋の明かりで、1晩過ごしてもらった。

その日は不思議と、エンドレスに電話がかかってくることはなかった。

わが家の電化製品トラブルベスト3

わが家で多い電化製品トラブルのベスト3は次のとおり。

  1. テレビ
  2. 照明器具
  3. 見守りカメラ

3位の見守りカメラのトラブルは、母が抜いてはいけないコンセントを抜いてしまい、映像が突然映らなくなる。これに関しては、母はノーダメージで、わたしが都内でソワソワした日々を送るだけ。

1位のテレビは、母がテレビリモコンのBSボタンを間違えて押すというトラブル。BSアンテナが設置されていない実家だと、画面が真っ暗になってしまう。

前はテレビが壊れたといって、東京に居るわたしの携帯を何度も鳴らしていたのだが、今はスマートリモコンを設置したので、わたしのスマホアプリを使ってテレビリモコンを操作すれば、東京に居ながら盛岡のテレビを操作できる。

今回は2位の照明器具。なぜかうちは、照明のトラブルが多い。

照明器具のトラブルの原因

照明器具のトラブルは、大きく2つ。

1つは照明器具のひもを、中腰の体勢で母が引いてしまうので、ひもが切れたり抜けたりする。足が不自由なのと、しっかり立ってひもを引くのが面倒らしい。

照明をつけたあとで、ひもが切れたり、抜けたりするので、昼間もつけっぱなしで過ごしてもらい、後日わたしが帰省したときにひもを補修する。

もう1つのトラブルは、蛍光灯切れ。

蛍光灯には寿命12000時間と書いてあって、1日6時間の転倒でも2000日(5年以上)は持つはず。

なのに、やたらと蛍光灯を変えている。どうやらこの数値は理論値で、実際は5年も持たないらしい。

実家の蛍光灯は、小さい輪の蛍光灯と大きい輪の蛍光灯の2つがついているのだが、GWは、2つの蛍光灯の寿命が同時に来てしまって、真っ暗になったのだ。片方だけでも生きていたら、こうはならなかったのに・・・。

岩手に居る妹も、車で1時間近くかかる場所にいるし、子育てもあって急に駆けつけることができない。まずは自分がなんとかして、次に妹、最終手段として、介護保険外サービスで、居宅介護支援事業所を頼ると思うが、今まで利用したことはない。

体が不自由な高齢者にとっての電化製品トラブルは、生活を不自由にするし、認知症の場合はさらに大変だったりする。

遠距離介護をしている人は、故障期間が長期化する。毎日出入りするヘルパーさんでも、短い時間の滞在では、故障に気づかない可能性もある。

電化製品が故障したときのサポート体制づくりは、しっかりしたほうがいいと思う。遠距離介護歴7年目のわたしが、強く思うことがこれ。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

6件のコメント

 蛍光灯が切れたら、ヘルパーさんにお願いして買ってきてもらって、取り付けてもらうのがいいと思います。その際に、有料で別枠でお願いすれば時間超過でも大丈夫です。我が家の場合45分1200円なので、それくらい付け足せば、やっていただけます。新幹線代金より破格に安いです。
 以前母が電気屋さんに来ていただいて蛍光灯変えたら取り付け代金はサービスでしたが!この家は掃除機がないですね、と、掃除機持ってきて母は言われるままに掃除機買っていました・・・もう、そこには頼んでいません。

トトさま

保険外サービスでという記述が、トトさまの話と同じになりますね。
掃除機の話はひどいですね、近所の電器屋の出張サービスの盲点、勉強になりました!

リモコンとコンセントと照明問題は認知症介護が始まってから今に至るまで、ちょっと大袈裟ですが、解決策が見当たりません。うちは小規模多機能を利用していて、ヘルパーさんが積極的に直していますさすがに真っ暗では仕事ができないし テレビの音が出てないとおかしいと思ってくれるのでしょう。
助かってます。

我が家は、取り換え可能なところを蛍光灯からLEDに変えました。それからはほぼ,電灯切れ問題はなくなりました。

南の9月さま

小規模多機能だと、ワンストップな分融通がきくのかもしれませんね。介護保険的にどうかという話もありますが・・・。

だいちゃんさま

そうですね。うちもLEDが設置できる廊下の電球だけは、LEDに変えました。
しかし、LEDで長寿命なはずなのに、廊下のLEDが早々に切れたときは驚きました。わたしのような方、ネット上にも結構いらっしゃいますね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか