認知症介護中大声で思わず「ギャーー!」と叫んだ話

8年半の遠距離介護の中で、母の認知症の症状をたくさん経験してきました。

最初はどれも驚くけど、あとはその繰り返しになるので、いかに介護者として感情の起伏を平坦にして、しれっと対応できるかの勝負だと思っているのですが、それでも久しぶりに「ギャーーー!」と叫んでしまったお話です。

タオルの使い分けができない話を書いたが

1年ほど前に、こんな記事を書きました。


母はタオルの使い分けができないので、手を拭くタオルを使って、シンクの水しぶきを拭きとり、そのタオルで食器も拭きます。食器拭き用のタオルが、手拭きになるのも日常です。

実家のタオルは何ひとつ信用ならないし、さっきまで乾いていたタオルは水をたっぷり含んだ状態で、台拭きに変わっていることがほとんどです。

なのでわたしは、タオルの状態がちょっとでも変化していたら、すかさず洗濯機に投げ込んで、常に新しいタオルにしておくのが日常です。

それでもささやかな抵抗として、台拭きはニトリの使い捨てのものを使っています。母にタオルの違いに気づいてもらうための工夫でしたが全くダメで、使い捨て台拭きはタオルだと思っているのか、よく洗濯機に入っていて、わたしがそれをいつも取り出します。

ギャー!と叫んだ日の朝も、タオルを一通りキレイなものの変えたあと、ホッとしていた時の出来事です。母は顔を洗い終わって、「今日は何か予定ないの?」とわたしに話しかけてきたときに、ギャーってなったのです。

ニトリの厚手台拭き

濡れた顔を使い捨てのニトリの厚手台拭き(上の写真が現物)で拭こうとして、しかも目やにまで拭き取ろうとするではありませんか!そんな汚いもので目やにを取ったら、目が病気になってしまうと思い、

「あーーー、ダメダメダメーーー。それ、台拭きーーー!」

思わず、反射的に大声を出してしまいました。

台拭きで目やにを取ろうとしても諦める

わが家は遠距離介護。わたしが居るときは止められますが、母がひとりで生活しているときは、どうしようもありません。台拭きで拭いた食器でご飯を食べますし、洗ってない包丁を再利用して料理をします。

清潔に保ちたいと思っていますが、これは諦めるしかありません。清潔より大切なのは、たとえハチャメチャでも、自分で考えて自分でやってもらうほうが大切で、ある程度犠牲はやむを得ません。

病気の心配はゼロではありませんが、清潔を優先するあまり、母から家事を奪ってしまえば、本当に1日何もしないボーっとする認知症の人が完成してしまいます。そうならないために、多少のことは目をつむり、諦めます。こういう話、増えてきました。

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今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

タオルあるあるですね

我が家も 風呂上がりに雑巾で身体拭いてたので ぎゃー!となりましたが、目につくところに置いとかなければ問題ないんですよね。 まさかと思う行動に 驚く事ばかりです

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか