10分で聴ける介護ラジオ放送中!

認知症の親の行動を止めるか黙って見守るかの微妙な判断

先日、岩手に居る認知症の母の様子を日課である見守りカメラで東京から見ていたところ、靴を持って外に出る準備を始めました。

母がこの行動をする日は、デイサービスに行く日だけです。しかし、この日はデイサービスのない日。いつものように曜日を勘違いしているのだろうと、コードレスの固定電話を片手に持ち、東京から電話して曜日間違いを指摘するつもりでした。

ところが靴のあとに持ってきたのは、ほうき。

ん? デイサービスに、ほうきを持って行こうとしているのか? カメラを見ながらそう思ったのですが、理由があります。

過去にデイサービスへエアコンやテレビのリモコンを持って行って、リモコンが消えた!と騒いだあと、デイに行くときに持って行くバッグの中から見つかったことがあったからです。

電話せずカメラを見続けていたら、デイサービスに持って行く連絡帳の用意もしてないし、外出時の服装でもありません。どうやらガチで、お掃除をしようとしています。車庫に外から砂やホコリが入るので、それを掃こうと思ったようです。

認知症になる前、あるいは軽度の認知症だった頃、母は自ら掃除をしていました。しかし今は、頭の中では自分が掃除したつもりでいるのですが、わたしが掃除しています。

カメラを見ながら、さてどうしようか悩み始めたのです。電話をして掃除を止めるべきか、このまま黙って見守るか?

すべての行動がリハビリ

母が久しぶりに掃除を始めたのは、喜ばしいことです。居間で寝てばかりいるよりも、お掃除してもらっていたほうがいいです。ただ、母は手足が不自由で、誰かの支えがないと外は歩けません。

そんな母がほうきを持って、車庫の掃除をしようとしているのです。おそらく左手を車庫の壁に当て、自分の体を支えながら、右手にほうきを持って掃除します。

カメラの位置の関係で、母の掃除の様子までは見えません。かろうじて、母のほうきの音「シャッシャッ」という、コンクリートを掃く音だけが聞こえます。

まず転倒の心配があり、大腿骨骨折は大丈夫か不安になります。そしてこの日は朝から暑くて、もうすぐ30℃。熱中症の心配もあります。

電話をして掃除を止めさせるか、そのまま黙って終わるまで待つか。

一旦、待つことにして、東京のスマホで岩手の掃除のほうきの音を聞き始めました。2分くらいで終わるかと思いきや、10分経っても終わりません。15分経っても、シャッシャッって音が続きます。

転ばないかな、熱中症は大丈夫かな? ソワソワしながら、結局掃除は20分以上続いたのです。

一緒に居るときは、こうした行動はそのままやってもらうようにしています。すべては手足のリハビリのため、認知症のリハビリのためで、多少おかしなことになっても、近くにいれば、すぐリカバリーできます。

しかし遠距離介護の場合は、すぐ駆けつけられないので同じ行動であっても、ハラハラするし不安ばかりが募ります。

子育て中に、子どもが危ないから取り上げるのか、そのまま黙って見守るか問題。介護でもよくありますが、子育てなら危ないとしつけしたら、学習能力が高いので次回はやらない確率が上がります。

しかし認知症介護の場合は、基本は学習しない前提なので、注意書きを壁に貼ったり、危ないものを見えないところに置いたりしなければなりません。怒ってしまうと、怒った事実は忘れても、怒られたイヤな感情だけは残るので、できればそれも避けたいのです。

わたしは電話の準備をしながらも、結局電話はしませんでした。何をやったかというと、スマートリモコンで、居間の冷房をつけて部屋を冷やし、掃除で疲れた母の熱中症対策をしたくらいです。

何でもやってあげるだけが介護じゃない、だけど黙って見守るのもなかなか骨が折れるというお話でした。

音声配信voicyの最新回は、新人、中堅、ベテラン、介護のプロに頼るならどれ?というお話です↓

今日もしれっと、しれっと。


【10分で聴ける音声配信】 → 『ちょっと気になる?介護のラジオ』

【重版3刷しました!】
近距離、遠距離に関わらず、親と離れて暮らして介護している方やこれから介護が始まる方に向けた新ジャンルの本です。図表とカラーで分かりやすく仕上げ、多くのメディアに取り上げられました。

2件のコメント

工藤さんのブログを見て、近距離別居母宅に見守りカメラをつけて、玄関に新聞を取りに行く姿で安否確認をしていました。
ある夜母は、23時過ぎにお風呂に入る準備をして浴室に行き、なかなか出てくる気配も無く、見に行くべきかとヤキモキした事がありました。
1時間くらいで浴室を出て来るまで寝る事も出来ず、転倒してないか気が気じゃありませんでした。
カメラでの見守り出来ていてもあらゆる有事の覚悟をしなきゃいけないんだなぁと改めて感じた事件でした。
工藤さんでもヤキモキする事があるんですね。

ひろ子さんの娘さま

はい、ヤキモキしますよ。

そのヤキモキをカメラの台数を増やしたり、ヘルパーさんなど介護保険サービスを活用したりすることで、減らしてます。見守りカメラがあると余計な心配も増えますが、何か起きてから後悔するよりはいいので、ヤキモキとうまく共存しながら長いことやってます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US

工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(78歳・要介護2)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて9年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか