年1回の認知症テストで母が言った衝撃の回答

1年に1回、認知症の母に長谷川式認知症スケールを受けてもらっています。

テストを受けるタイミングは、「1年経ったので、テストお願いします」という感じで、いつもわたしのほうから病院側へ打診しています。2013年から受け始め、12回目となった今回のテストの模様をご紹介します。

2022年のテスト結果

結果からいうと、30点満点で8点でした。長谷川式認知症スケールの判定では10点以下は重度の認知症となり、昨年の9点から1点減点となりました。

母の認知症テストの結果の推移(2013~)

わたしはいつも母の回答の様子を、母が見えない位置に立って聞いていて、点数だけでは分からない「答え方」に注目してます。

今回は1年で1点減点したのではなくて、3点近く減ったような答え方でした。母のどんな答え方から、そう感じたのでしょう?

衝撃の回答に度肝を抜かれる

今回は1問目から、度肝を抜かれました。

看護師さん
まずは年齢から教えて頂けますか?
えっと、35歳かな?

わたしは、『家政婦は見た!』の市原悦子的な場所で聴いていたのですが、本当に立ちくらみしそうになりました。

亡くなった認知症の祖母が89歳のときに60代で答えて、そりゃ若すぎるだろ!って思ったのですが、母はそのレベルをはるかに超えてます。息子のわたしよりも若い母親が、この瞬間誕生しました。

年齢は、まともに正解できないのは分かってます。去年は72歳と答えていて、割と72とか83とかいう回答が多い母が、今回はまさかの35歳。外し方にも程度があるって話です。

他にも何月、何日の質問には、「それはダメ」と謎の回答を連発。何がダメなのか分からないのですが、おそらく取り繕いすらできないという意味だとわたしは思いました。他の質問は、例えばこんな感じで取り繕います。

看護師さん
野菜の名前、10個分かりますか~
あら~、毎日やっていることなんだけどね~

料理をする機会は激減しているのですが、やっている感じはしっかり出します。回答は出てこないけど、言い訳や取り繕いはたくさん出てきます。なんとかその場をやりすごそうという能力は残っていると考えると、ポジティブにも見えてきます。

今までのテストでは、今日に限って答えられるみたいな奇跡が何度かあったのですが、点数が1桁になってくると奇跡すら起きない印象です。10時10分の時計描画テストも、もはや書けませんでした。

テストの点数は1桁でも、続けようと決意した遠距離在宅介護。介護職の皆さんの力を借りながら、どこまでいけるのか? 母の望みでもあり、わたしの望みでもあるので、さらに頭を使いまくります。

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今日もしれっと、しれっと。


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4件のコメント

工藤さんへ

こんにちは。
1月の遠距離介護お疲れさまでした。

私の父もコロナワクチン3回目の接種をしました。
父もこの一年ほどでかなり症状が進んんだようで、会場を出た後に
「で、今日は何しにきたんだっけ?」
と言われました…
接種後、待機している間に注射したことを忘れていたのです。
次の日も特に体調に変化はなかったのですが、腕に少し痛みがあったことで注射したことや私が付き添ったことを覚えていました。
最近、覚えていることにびっくりすることがあります(^^;

今 まさにくどひろさんと同じ状況です。
すでに3年前に「重度のアルツハイマー型認知症」と言われ 昨年の認定調査では 主治医から「もうここまでになったら長谷川式のテストする必要もないし…」とまで言われた父。
新幹線と在来線を乗り継ぎ5時間かけて愛媛まで通う事7年。年末にガタガタっと来て ヘルパーさんからは「もうこれでは私達ではカバーできないです」と言われ急遽有料老人ホームのショートにお世話になりました。
先月、オミクロン株の感染爆発寸前に戻り区変申請、調査の結果介護度が一気に2つ上がり要介護4に。

まだまだやるよ〜 重度だしこんなモンだよ〜半年前まではそう言えたのに

介護者は私1人です。
自宅で最後まで、、ずっと思っていたのに。
選択の時が来たようです。

sakoさま

痛みで注射したこと、付き添ったことを思い出してよかったです!
ワクチン3回目を何事もなく終えられたことも、いいですね。うちもホッとしています。

伊予っこさま

ヘルパーさんも、すごい発言しますね。うちのヘルパーさんもケアマネさんも、父の要介護5で在宅で頑張ったメンバーなのでまだ余裕あるかなと思ってます。
急にガタっとくる可能性は十分あるので、ケアマネさんや妹と介護施設に入るとしたらのシミュレーションもしてます。さて、どこまでいけるのか??

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか