介護した分はお金でもらおう!「有償介護」という考え方

東京・品川で、NPO法人パオッコさんの遠距離介護セミナーがありました。介護・福祉系に強い弁護士、外岡潤先生の講演の中でこれは面白いなぁと思ったものをご紹介します。

有償介護という発想

家族で介護した時間は、いわゆる無償の愛ですよね? 1円にもなりません。これを時給500円や1000円と評価して、介護の労に報いるという考え方です。そんなに新しい発想でもないよ そう思われるかもしれませんが、これに相続が絡むと話は全く変わってきます。

  • 介護してたとはいえ、実家にタダで住んでずるい!
  • 認知症だからって、財産いいように使ってたでしょ!
  • 介護してたとか言って、たいしたことしてないでしょ!
  • 今住んでる家や不動産も売却してよ、価値が一番あるんだから!

どんなに一生懸命介護をしても、どんなに長い期間介護しても、どんなに自己犠牲を払っても、最後に相続でお金が入りそうになるとこう言うんです。相続を受ける権利がある人は、”介護してなくても” こう主張します。

「相続を受ける権利は、うちにもあるよな!」

介護していたという実績を、相続の際に特別ボーナスとして判断されるかというと、そういうのはありません。算定方法も不確定なんだそうです。

外岡先生は相続をシャンパンタワーに例えてました。どこに流れるか分からないという意味で、相続人がどんどん広がっていって収拾がつかなくなるんだとか。想定外の人が登場したり、本人以上に配偶者が頑張ったり・・・怖っ!

こうやって相続の権利を主張してくる人には、有償介護を生前に提案してもおそらく聞く耳持たないでしょう。

「わたしの相続分が減っちゃうじゃない!」

って、言うでしょうね。資料には、”自分の介護については” とあります。これ自分のエンディングノートなどに書いておくと、すごくいいですよね。相続する側の意志には、受け取る側は口出しできませんから。

仮に時給500円で1日介護しているとみなすと、1日12,000円。これが365日あると、438万円になります。線引きが難しいですよね・・・睡眠時間は考慮しないとか、ヘルパーさんの単価を考えれば時給500円は安すぎるとか。財産金額にもよりますよね。

いくら介護で頑張っても、評価されない!という事だけ、介護している人は覚えておいたほうがいいです。

まだ先の事と考えないで

介護が始まった時も、いきなりのスタートでしたよね?亡くなるのもホント突然で、相続問題もすぐにやってきます。1年前の今頃のわたしが、まさにそうでした。

祖母が亡くなった後、落ち着いた時に母のエンディングノートを作成しました。遺言書の作成が遅れてますが、エンディングノートの作成は終わってます。

1周忌なので、母に再確認するのが今週のわたしのお仕事です。下記でエンディングノートの大切さを、力説してます!

エンディングノート もしもの時に役立つノート
介護しても評価されないと書きましたが、あくまでお金の面です。わたしは評価は気にしてなくて、”自分自身が後悔したくないから” ってところが一番の基準になってます。余命半年って言われたら、何より優先順位高くなりますよね・・・


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか