遠距離介護で利用した深夜高速バスに潜んでいた人生終わるレベルのワナ

高速バス

わたしが遠距離介護を始めた2012年当時は、都内企業に勤めていました。

子宮頸がんで余命半年の認知症の祖母、同時に母の認知症も見つかり、東京と盛岡を何度も何度も行き来しながら、介護と仕事の両立をしていました。

わたしのプロフィールに、東京と盛岡を年間約20往復していると書いてあるのですが、おそらく介護1年目は30往復以上していたと思います。そのため、交通費がえらくかかりました。

仕事の都合で、ギリギリで新幹線チケットを取ることが多かったので、割引が効かずに交通費が月10万円を超えた時期もありました。また、祖母の財産状況が分からず、介護費用をわたしが立て替えていたので、交通費の節約のために、高速深夜バスも利用していました。

8時間移動の深夜高速バス

渋谷や東京駅発の盛岡行き深夜バスは、23時台に出発して、朝7時前に盛岡に到着します。帰京のときは、盛岡を22時台に出発して、朝5時台に到着する便を利用していました。

今は、高速バスとえきねっとを使った新幹線の割引チケットの値段がそれほど変わらないと分かっているので、新幹線を利用しているのですが、当時は時間がなく、寝ている間に移動のほうが効率的だったので、深夜バスを今よりも多く利用していました。

わたしが利用していた深夜高速バスは、独立3列シートでした。実はこのバスの中で、さらに運賃が安くなる席があるのです。さて、どこでしょう?今も安いか分かりませんが、正解は1番後ろの席です。

なぜ、1番後ろだけ安いかというと、後ろの席だけ「独立していない4列シート」だからです。わたしはその席を利用するまでは、安くて、1番後ろで最高!と思っていました。しかし、安いのにはワケがありました。

後部座席に潜むワナ

わたしはバス入口から見て、左端の1番後ろのシートを予約しました。

独立していないのだから、バス会社も1席ずつ開けて座らせるようにしているだろうと思ったら、週末ということもあり、その日は満席でした。

独立していないのに、隣に誰か来る?

そう思って隅っこで小さく丸くなっていると、隣の席に、まさかの若い女性が着席しました。

くどひろ
嘘でしょ!普通、こういうときはオッサンが隣に座るものでしょ!

真冬の東北自動車道でした。窓際でした。窓は閉まっているとはいえ、微妙にすきま風が入り、とにかく寒いのです。かといって、窓ではなく車内側を向いて寝てしまったら、若い女性がいます。

女性とわたしの間には、薄いカーテン1枚の仕切りがありました。しかし、わたしは気が気ではありません。

くどひろ
あぁ、もし間違えて女性側に寝返りを打ってしまったら、人生終わりだ!
くどひろ
「キャー、この人、わたしに覆いかぶさってきましたー」って騒ぎになったら、どうしよう。
くどひろ
「工藤。お前、何をしたか分かっているね。懲戒解雇処分が決まったよ」

あらゆる妄想が頭をよぎりました。そして、

「寝返り。ダメ。ゼッタイ。」

冷たい窓に体を押し当て、少しでも若い女性と距離を取って、横になったのですが、この状況では一睡もできません。当たり前です、自分の人生が寝返りひとつで吹き飛ぶのです。

結局、冷え切った体で一睡もできずに、盛岡に到着。そのまま祖母の病院へ行ったり、成年後見人の申立で家庭裁判所に行ったりして、ヘロヘロになりました。

今は性別も考えて、座席の配置をしてくれると思うのですが、あれからというもの、高速バスは独立シート以外には乗るまい!と決めました。

交通費の安さを追求した結果、本当に地獄を見ました。

今日もしれっと、しれっと。


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5件のコメント

あはは、深夜高速バスの一番後ろの席でのハプニング?楽しく拝見しました。
私も21年前より、夜行高速バスを利用しています。
新宿から松山まで約12時間。いつも利用するのは自分が夜勤明けだったので、寝ている間につくのでラクでした。
2,3ケ月ごとの帰省でしたから少しでも安くしたく、ネットで早割だと片道7000円くらいで行けたのです。
JRバスと伊予鉄バスの2本ありましたが、JRは今年2月末、中止になり、頼みの伊予鉄バスもこのコロナ禍で当分の間、今年いっぱい?走行中止だそうです。
仕方なく、飛行機にしましたが、介護割引でも高いですね。
遠距離介護は交通費がかかり、頭が痛いですね。(泣)

先ほどコメントしましたが、うまく送信出来たかどうか?
またダブっていたらごめんなさい。
一番後ろの座席でのハプニング、楽しく拝見しました。
想像すると笑っちゃいます。失礼!
私も21年前から夜行高速バスを利用しています。
新宿から松山まで12時間、いつも自分が夜勤明けに乗車しましたから、寝ているまに着いてラクでした。
3か月毎の帰省でしたから少しでも安くしようとネット早割で、片道7000円位だったので、助かりました。
JRと伊予鉄バスの2本ありましたが、今年2月JRは廃止となり、頼みの伊予鉄バスもこのコロナ禍で当面の間、走行中止とか。
しかたなく今月末は飛行機にしましたが、介護割引でも高いですね。
遠距離介護は交通費が高くつき、頭が痛いです。(泣)

みかんの花さま

12時間バス乗車は、本当に大変ですね。
わたしはジェットスター(LCC)で松山に行きましたが、だいぶ安くて驚きました。成田までと、着いてからの出発ロビーまでが遠いのが難ですが・・・。

工藤様
先日はお返事ありがとうございました。

長距離バスは確かにしんどそうですね。
私は大阪で父は長崎ですが、飛行機でも空港までと空港に着いてからが遠く、鉄道も新幹線と特急を乗り継ぐためどちらも5時間ほどかかります
普段読めない本を読むのにはいい時間ですが

恥ずかしながら骨盤を痛めていて整骨院に通っているので、新幹線でも時折歩いて運動し、腰を冷やす氷のうを持参しています

はまーさま

最近はほぼ新幹線の利用ですが、わたしも5時間ほどかかります。(交通費節約のため、普通より多く時間がかかってます)
おっしゃるとおり、読書できますよね。コロナの影響で帰れず、読書量が激減しました。腰やっかいですよね、ご自愛ください。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか