音声で配信済みの母がトイレの前で倒れた話

音声配信では、感情的に話したのですがブログにも残しておきたいと思います。

今週月曜日の19時頃、母がトイレの前で倒れました。実家には母ひとり、しかも重度の認知症。わたしは東京で、どのような対応をとったのでしょう?

トイレの前で倒れ、くの字で「痛い痛い」という母

実家のトイレの前には、見守りカメラがついています。トイレの前につけた理由は、母がリハパンや尿パッドをトイレに流した実績があるからです。トイレから出てくる映像や滞在時間からリハパンを捨てているかどうか、ある程度判断できます。

この日の母はトイレからお尻丸出しで出てきて、トイレの電気を消したあと、そのままひざから崩れ落ち、くの字に横になって倒れてしまったのです。

東京にいたわたしが異変に気づいたのは、母が倒れた直後。なぜすぐに気づけたかというと、母がトイレに入ると、わたしのスマホに通知が来るからです。リハパン大丈夫かなぐらいの気持ちでカメラを見たら、母が倒れてました。

トイレの前でうずくまる母に、わたしは見守りカメラを通じて「どうした? 大丈夫?」と声を掛けました。すると母が「痛い、痛い、おなかが痛い」というのです。

これはやばいと思って、わたしは24時間対応の訪問看護か岩手の妹かに電話しようと考えたのですが、今回は医療優先と思って訪問看護へ電話をしました。しかしタイミングが悪く、留守番電話に。次に妹に連絡するも、こちらもつながりません。

どうしよう。再びカメラで母に声を掛けると「いてー、いてー、お尻がいてー」とうめいてました。他に誰かいないか、ケアマネさんか、デイサービスかといろいろ考えていたところに、訪問看護から折り返し電話がありました。

「母がトイレの前で倒れて、ずっと痛い痛い言ってます。意識はあって声掛けを続けてます」
「近くにいるので、15分くらいで到着すると思います」

安心してもらうために15分と言ったのかもしれませんが、実際は30分。とてもとても時間が長く感じられ、その間ずっと「今看護師さん来るからね、ちょっと待っててねー」と声を掛け続け、母は弱々しく「いてー、いてー」を繰り返していました。

いつもの迷走神経反射? 盲腸?

この時点でわたしは迷走神経反射の疑いがあると思っていて、看護師さんもそのつもりで駆けつけてくれたと思います。便が大量に出て血圧が急低下して、フラフラになって倒れるのですが、母は何度も経験していました。ただ痛がり方がいつもと違うので、盲腸とか他の可能性も考えました。

夜だったので、家の鍵はすべて閉まっていましたが、ある方法で看護師さんに家の中に入ってもらい、すぐ体温や血圧を測ってくれて異常なしと判断してくれました。その様子は見守りカメラの映像で確認できていて、わたしと看護師さんはカメラを通じて会話したのです。

看護師さんが母を起こそうとしたとき、残っていた便がまた大量に出てしまい、トイレ前のじゅうだんは便まみれに。看護師さんはその後始末に追われることになったのです。

出た便の状態から、看護師さんの見立ても迷走神経反射でした。母はトイレで溜まっていた便を出したあと、血圧が急低下してトイレの前で倒れ、その段階では便がまだ詰まっていたので「いてー、いてー」と言っていたみたいです。

先週わたしと一緒だったときは、毎日便が出ていました。だから大丈夫と思っていたのですが、どうやらそれがいけなかったようです。硬い便が栓のようになっていたため、その栓から漏れ出した便をわたしは見て、大丈夫と考えていました。

でも実際は便がしっかり出ていなくて、どんどん腸の中に溜まっていてそれが大量に出て、倒れてしまったようです。

最悪、緊急で盛岡へ帰ろうかとも考えたのですが、訪問看護のおかげで何とかなりました。母が骨折したときも、だいたいこんな感じで対応しましたが、その時は妹がすぐに駆け付けてくれました。

こういうことがあるとやっぱり介護施設に預けるべきでしょと言われるのですが、残念ながらわたしはそうはなりません。見守りカメラがあって本当に良かったと思いましたし、もしなかったらと思うとゾッとします。遠距離介護にはやっぱり、必須のアイテムです。

よく高齢者がベッドから落ちて、3日後に訪問看護師さんやヘルパーさんが発見したとか、そういう話は山ほど聞いてきましたからね。

7月は本当に忙しい月で、なんでこんなにも仕事や介護に追われるのだろうと思ってます。本の執筆があると、わたしのキャパは激減します。とりあえず母は元気で、何事もなかったかのように普通に生活しております。

今日もしれっと、しれっと。


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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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