認知症治療研究会で紹介された薬「シロスタゾール」に要注目!

認知症シロスタゾール

3月13日、14日と認知症セミナーを合計9時間、受けてまいりました。全体の流れについては、鹿児島認知症ブログを運営されてる平山先生の記事が分かりやすいので、こちらをご覧ください。

うちのかかりつけ医である松嶋先生のことも書いてますので、ぜひ読んでみてください。9時間全部はもちろん書けないので、初めから狙いをつけていた「シロスタゾール」のお話だけ書きます。

医者ではないので、本のタイトルになってます「医者には書けない!(要は簡単なコトバしか使えない)」感じで、ご説明いたします。

そもそも「シロスタゾール」って、なに?

2014年7月20日に放映されたNHKスペシャルで、脳梗塞のお薬である 「シロスタゾール」が認知症進行を遅らせる効果があると発表されたこと、覚えてましたか?

プラセプラス

シロスタゾール(商品名プレタール他)は、血液が血管の中で固まり、血栓(血の塊)ができるのを抑える薬です。動脈の壁に血栓ができるときには、そこにたくさんの血小板が集まってきます。シロスタゾールは、この血小板の働きを弱めることで、血栓をできにくくし(血液をサラサラにし)、主に脳の血管が詰まる脳梗塞の再発を予防する薬として、現在使われています。 引用元:http://dobashin.exblog.jp/20021616/

仙台にある土橋内科医院のブログを引用しています。こちらの病院はNスぺ後、シロスタゾールの反響を察して、Q&A を記事にされました。うちのブログも結構アクセスがありまして、興味がある人多いなぁと当時思いました。

その効果を誠弘会池袋病院 副院長 脳神経外科医の平川亘先生が、プレゼンしてくださいました。

シロスタゾールの効果の結論

まずどういった方に「シロスタゾール」が効くかというと、

  1. コリンエステラーゼの過量投与されていない人
  2. 過去に認知症治療を受けてない人
  3. 高齢者(65歳以下の若年性には効きにくい)
  4. 最近、認知症になった人(突然発症した人)

コリンエステラーゼの過量投与とは、アリセプト、リバスタッチパッチ、レミニールを必要以上に飲んでしまった人のことです。アリセプト10mgを1年以上飲んでいるとダメ、5mgでもダメだそうです。

次にどの認知症に効くかというと、

レビー小体型 > アルツハイマー型 > 脳血管性認知症

ピック病も変化しないという意味では効果がありますが、上記3つほどではありません。さらに、

  • 長期の効果が期待できる(悪化しない)
  • 軽度認知障害(MCI)にも効く(認知症の予防になる可能性)
  • 急性期病棟の「せん妄」予防も可能

シロスタゾール単独治療で411例、上記のお薬(アリセプトとか)と併用でも273例もあっての結論です。Nスぺ放送時はふわっとしてましたが、すでにこんなに実績があるんですね。

長谷川式認知症スケールで10点以上の改善も珍しくなく、しかも効果が長期間持続するとのこと。諸条件ありますが、とにかくシロスタゾールがやばい!と素人のわたしは興奮したわけです。

介護家族はどうしたらいい?

こちらの病院に行けば、シロスタゾールを使った治療は受けられます。池袋病院というので、東京の池袋にあるのかと思ったら埼玉県川越市でした。東京ドイツ村が、千葉にあるぐらいの違和感です(笑)

救急病院の認知症外来らしく、救急車を受け入れながら認知症治療をやっているそうです。認知症やものわすれ外来の看板がないけど、毎日何十人も診ているとのこと。予約なしと言ってたような・・駆け込み寺みたいですね。

うちもそうですが、川越まで連れていけないですよね。認知症治療研究会(わたしは会員です)という団体が主催した研究会でしたので、少なくともこのイベントに参加した医師(病院)には、聞いてみる価値はあると思います。

注意

わたしみたいな素人も参加して、ブログに書いてしまう時代です。それを読んで参考にされる方もたくさんいらっしゃいます。なのに、肝心な医師がこういった情報を追跡してなかったりするんですよ。

まさか家族からそんな話されると思ってないから、全く聞く耳持たなかったりするんですよね。素人が何言ってんだって。せめて興味を持ってくれればいいのですが、ダメな人はホントダメです。コウノメソッドの河野和彦先生はこう言います。

「素人の知識を見くびってはならない」

あの研究会に一般参加した方は相当いらっしゃいますから、医師や薬剤師さんもNスぺ放送時並みに質問を受けているかもしれません。

うちは条件から見ると、試しても大丈夫だと思います。ただフェルガードで安定してますので、選択肢として持っておいて先生と相談してみようかなと思います。相談できる環境にあるってだけで、恵まれてます!

今日もしれっと、しれっと。


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12件のコメント

平川亘先生の発表を聴いて、私も興奮してしまいました。
シロスタゾールで症状の改善もしくは安定が長続きする。
それは患者と患者家族にとって、どれだけ幸せな事でしょう!

昨年7月にアルツハイマーとの診断を受けた71歳の母は
大学病院での診療を受けて現在アリセプト5mgを飲んでいますが、
投薬だけなら開業医の先生のところに行って『かかりつけ医』になってもらい、
お薬を処方してもらいなさいと言われて
明日、開業医さんのところに行く予定です。
『アリセプトを飲んでいても、一年経ったら進行が進むから』
『いつまでも安定した状態が続くわけでは無いですよ』と、
医師やケアマネージャーさんに言われて
不安を抱えていたのですが、
少しでも安定した状態が続く可能性があるのなら
病院に会誌も持って行って、
シロスタゾールの処方を出来ないかとお願いするつもりです。

もーさま

講演会お疲れ様でした!
マニアックな研究会ですが、素人でも毎回「気づき」があります。翌日の河野先生のセミナーのほうが、正直家族向けで分かりやすいです。

医師やケアマネさんの言葉って重いですよね。うちの母はそろそろ73歳になりますが、3年間でそんなに進行してませんし、波はあっても安定しているほうです。全員が1年で進行するわけでもないし、安定する人は安定します。アルツハイマーからピックに変わって(講演会でもあったとおり、変わるという発想がない医師が多い)、今はアルツハイマー寄りの症状を示しています。

理解ある開業医であることを願っております!そしてシロスタゾールをもし始めたら、もーさまの観察力がとても大切になると思います。

シロスタゾールは、動脈硬化による壁在血栓を抑制してくれます。
この事により、脳の血流改善→酸化ストレスの緩和により、脳の機能改善を図っていると、私は考えています。この点では、脳の血流を改善する薬剤で、効果があるケースがいる事を、確認しています。
さらに、シロスタゾールは、イソプロテレノールの活性を高める事で、脳内のタウタンパクの蓄積を抑制してくれる可能性が有ります。
血流の改善から抗酸化ストレス作用がありますので、フェルガードより根本的な改善効果が有ると言えるかも知れません。シロスタゾールとフェルガードの併用は、全く問題がありません。
シロスタゾールの効果は、50mg2錠でも良いようなので、導入可能な方は、検討されると良いでしょう。
足の血流が悪くなり、冷感や痺れが有る閉塞性動脈硬化症で、使用できます。高齢者では、下肢の閉塞性動脈硬化症が存在する方が多いので、この病名で処方して貰えば良いと思います。
私は、レビーに対する効果を期待して積極的に導入を始めたところです。血流不全を改善し、抗酸化作用を緩和してくれるという事は、生じた酸化ストレスをフェルラ酸で抑制するより、より良いと考えています。
さらに、最近イソプロテレノールが、タウの蓄積を抑制してくれる事が分かり、シロスタゾールにイソプロテレノールの効果を高める作用がある可能性が高い事から、導入に踏み切りました。
平川先生の発表は、私の考えを裏ずけてくれるタイムリーな発表でした。

こんにちは、くどひろさんのブログに出会ったのは、昨年末のTHE PAGE(?)の抜粋記事がYahoo!ニュースに紹介されたことがキッカケだったと思います。
それから、書籍を購入し、「スマカメ」も購入いたしました。

また、ブログの記事をランダムに読んでいるうちに、母の心情や考え方が、なんとなく理解できるようになり、最近では、とにかく(良い悪いではなく)、本人が安心するように、受け応えをするようにしており、その結果、以前より母とのコミュニケーションが取りやすくなったように思います。
いろいろと助けられています。本当にありがとうございます。

今回、初めてメールさせていただいたのは、平川先生の講演が取り上げられていたからです。
「池袋病院」は、母の住まいから車で10分の距離……。昨年末辺りから、池袋病院への受診を勧めているのですが、首を立てに振ってはくれません。。。本人にしてみたら、「認知症」という診断が下るのが、怖くてこわくてたまらないのだと思います。

思いあまって、2週間ほど前、私が母の受診券を持って、一人で平川先生の外来を受けてきました。
「ご本人がみえないことにはね‥」と言うことで、もちろん、投薬等はありませんでした。「脳ドックとか、健康診断とか説明したら、受診する気持ちになるかもしれませんね」との会話にて終了いたしました。

帰りに受付に寄ると、「本日のお支払いはありません」とのことでした(平川先生、グッジョブ!)

川越市は、急速に高齢化が進んでいる地域でもあり、平川先生はもちろん、同病院は、他の先生の外来も、とても混んでいます。
もし、受診されるお気持ちのある方は、事前に病院に問い合わせてみられたらよいと思います。
(脳外科は、新患の受付は、午後だったと思います)。

「プレタール」のことは、とても興味深く読ませていただきました。
私の記憶違いかもしれませんが、「保険適応外ですが効果あり」という補足情報が付くと思います。

私も後ほど、確認してみたいと思います。

長々とスミマセンでした。

これからも、ブログを楽しみに……いえ、いろいろと活用させていただきますね!

*上記のコメントでいきなり「プレタール」と書いてしまいましたが、「シロスタゾール」(商品名 プレタール等)のことです。

小関先生

詳しい解説ありがとうございます!会場にいらしてたんですね。

コメントまで読んでない方が多いかもしれないので、記事に昇格させます。フェルガードより根本的改善効果、併用が問題ない、どうやって処方してもらうかなど、ものすごく貴重な情報ありがとうございます。そして導入に踏み切ったということで、記事に昇格した際は小関先生の病院もご紹介させて頂きます。

ほなねさま

コメントありがとうございます。本も購入して頂いて、こちらもありがとうございます。

The pageにコラムを寄稿したものが、Yahooニュースに流れました。わたしはスマカメなしでは生きられない体質になっております(笑)

ブログがお役にたてて、本当にうれしいです。こういったコメントが、わたしのモチベーションになっております。

わたしも最初は自分だけで病院に行き、2つとも納得がいかず、3つ目で今の先生に出会えました。

コメント欄にあります小関先生の方法ならば、保険適用できるのでは?と思います。池袋病院のお話、こちらも大切な情報ですので、小関先生とほなねさまの情報を合わせて記事に昇格させたいと思います。

か、川越ですって? 
今川越の違う病院で診察受けてますよおおおお! 母にはラクナ梗塞があって感情失禁、夜間せん妄などの脳血管性認知症もあるのですが、今の病院にはMRIがないのでなんとか地元でMRIをとって診察してもらおうといろいろやっているところです。 とりあえず近いうちにMRIをとって、それでもプレタールやサアミオンなどが処方されないのであれば池袋病院にいくのもありですねえ・・・。

syumitektさま

記事発信してよかったです!
あとで記事に昇格させますが、池袋病院について「ほなねさま」よりコメントを頂いてますので、コメント欄チェックしてみてください。小関先生のコメントもためになります。

こんにちは、プレタールについて、補足の質問( 要望?)をさせていただきます。
⚫️ひと月ほど前、平川先生の講演会を聞きました。認知症に関する基礎知識のレクチャーだったのですが、最後にお薬の話もあり」プレタールについても、少し触れられていました。その時のお話では、50mg × 2 という処方を紹介されていたと思います。私のつたないメモ書きでは、「30mg × 2でも効果のあった例あり」とあります(未確認情報です!)。
⚫️平川先生は、「適用処方を実現する会」に参加されており、天秤処方を重視していることから、このような用量になるのかな ?と思います。
⚫️(上記の「会」については、コウノ先生のブログにバナーが貼ってあります。この中に、「医療タイムズ」の記事がありますが、これは一見の価値ありです)
⚫️ 小関先生の上記のメールを読み、「このような方法もあるのか」と驚いた次第ですが、もし、今回の勉強会について、全く知らない先生に処方をお願いすると、100mg × 2 という処方になる可能性があるかと思います。(50mg×2 × 朝、晩)。
ここは、用量について、処方する側、あるいは処方を受ける側も、知識が必要だと思います。
⚫️このあたりを、分かりやすく整理して書いていただけると、とてもありがたいです。
⚫️良質な情報がたくさん集まって、使いやすい環境がはやく整うとよいですね〜〜^ ^

工藤様の54の心得を読みました。77歳の夫の認知症に良い物は無いかと日夜認と言う字を見るだけで、本に飛びつき、健康食品を取り寄せる毎日です。
シロスターゾルはNHKの番組を見て直ぐに、かかりつけ医に相談してみました。脳に未破裂瘤も有りますので快く?出して貰えました。効果は有ったと思います。知能的には大分劣っていますが、周辺症状は殆ど見られなくなりました。生来の穏やかさを保っています。

星野ヨシさま

コメントありがとうございます。

本を読んで頂いて、こちらもありがとうございます。

分かります、わたしも認という字で100冊ほど本を読みました。周辺症状が見られなくなったというのは、ものすごい改善ですね。NHKは1年以上前なので、長い間試された結果ですね。

今後ともよろしくお願い致します。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか