実際に 「認知症カフェ」 へ行ってみた のはなし

”認知症カフェ” が最近、全国に増えつつあります。

2012年に厚労省より発表された、認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)の中に、この ”認知症カフェ” の普及についての文言があり、認知症患者とその家族が地域の中で生活できるように、”家族も含めて” 支援する そのひとつとして、認知症カフェという場を使うということです。

なぜそんな事になっているの?

超高齢化社会にすでに突入している日本ですが、認知症の患者数も急増中です。この10年で患者数は2倍に増え、2012年で462万人まで増えました。認知症を介護する家族は在宅介護もありますが、在宅が難しい場合は特別養護老人ホームへ入居を考えます。が、満員で全国で40万人以上待機しているというデータもあります。 

国としては 介護保険制度自体を維持できるか? という状態で、財政はもちろんのこと、介護サービスも追いつかないという状態になっています。そんな中、施設介護から在宅介護へ ということが進んでいて、認知症カフェもそのひとつと言えます。

ちきりんさんの過去エントリ 『介護保険のからくり』 が最近ツイートされました。こういうムダなところにお金を使っているから、介護保険制度の維持も難しくなるんじゃない? そう思える内容なので、興味がある方はぜひ!で、本題に戻りますが、認知症カフェに突入です!

こんな偶然ってある?

オープン初日に認知症カフェに行きました。こちらの認知症カフェは、NPO法人が運営しています。そのNPOの代表と直接お話することができ、まずは名刺を代表から頂きまして、それを見ると、

「事務局 ××病院内」

と名刺に書いてあります。

ん?・・・・えっ?・・・・・ ××病院??・・・・・・・・・・・・・・・・・・、××病院は、わたしの母が通院している病院ではありませんか!さらに、

「代表 Aさん」

Aさん? ××病院のAさん?って、わたしがコウノメソッド実践医を見つけてびっくりして電話した際に、長い時間電話で親切丁寧に対応してくれたAさんではありませんか!

「電話でお話しましたよね!あの時は本当にありがとうございました!大学病院やらかかりつけ医に不満をもっていたところ、あの電話のおかげでうちの母はなんとか安定した毎日を送っております!」

こんな偶然もあるんだなぁ~、そう思いながら認知症カフェについていろいろと代表から教えてもらいました。

認知症カフェとは?

わたしが行ったところは参加費は200円で、月1回3時間の開催です。出入りは自由で、認知症介護で頑張っている人や、患者自身、ケアマネさんや作業療法士さん、看護師さんなどが参加なので、認知症介護に関する相談も自由です。お茶とお菓子が用意されていて、認知症関連の書籍や、パンフレット、NPOとしての活動が分かる写真などが飾られて、気軽に入れる雰囲気づくりがされていました。

認知症カフェは単なるカフェではなく、安心して地域で暮らし続けるためのものです。なので、そのカフェは商店街の中にあり、商店街からお茶やお菓子を購入してお金を落とす。商店街のみなさんは、認知症の人への気遣いや思いやりで、社会から離れがちになる認知症の方と接点を作る というwin-winな関係を目指しています。

代表が言っていたこの言葉が印象的でした。

意外とお話してみると、

『うちも実は家族が認知症でして・・・』 

という方が非常に多いと。やはり 認知症は気軽にいろんな人に言えるものではない!という風潮がまだまだ残っているんですね・・・・認知症を他人に言う=カミングアウト ぐらいのハードルの高さがあるんですね。

好きで認知症になる人なんて世の中いませんから、認知症も風邪と同じように病気のひとつなんだ、決して差別されるものではない というような世の中になればいいなぁ~そう思いました。そしてこの認知症カフェは、わたしのようにいいなぁ~じゃなくって、それを行動に起こしているんですよね・・・

こういう啓発活動がいつか大きくなって、世の中が変わっていくんだと思います。爆発的に認知症患者は増えてますから、すぐに認知症カフェはニーズにマッチするはずです。その発信基地である認知症カフェって、すごい拠点かもしれません・・・


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか