ある中国人の女性が日本語の勉強サイトで、こんな質問をしていました。
認知症でない高齢者の中には、巧みに「ぼける」と「とぼける」を演じ分けるケースがあるようで、認知症の方でもこの2つを演じ分ける人がいるという話を聞きました・・・すごい!
Yahoo!知恵袋に、デイの介護福祉士さんのこんな実例が載っていました。
デイサービスで他のご利用者と帰りの車に同乗されていて、自分の悪口(この人、ボケてるからかなわん!)をあからさまに言われてもニコニコ笑って聞いてて、その方が先に降車している後ろから、思いっきりベーっと舌を出して『バーカ!』と!」→この方も、ご入浴の際など、他人の衣類を間違えて着ちゃうなどかなり認知症入った方だったのですが、ご自分の悪口はしっかり認識され、しかももろに言い返したらケンカになるので、わからないふりをしてニコニコしてたんですね。
しかも、わざとだということも悟られないよう、細心の(?)注意を払って演技なさってるんですね。長年の人生経験で培われた知恵だという気がします。
引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1384286923
この質問者は「都合ボケ」という表現を使っていて、都合のいい時にボケることはあるのか?と質問しています。それに対してこの回答なので、やはり認知症の方でも「ボケる」と「とぼける」を巧みに使い分けることがあるんですね。
わたしがまっ先に思い出すのは、ドリフのワンシーンです。志村けんが扮するおばあちゃんが
「あ゛~?なんだってぇ~?」
というヤツ。都合の悪いところは聞こえないフリをして、面倒なことを回避するというアレなんか、まさに「都合ボケ」の典型例だと思います。認知症の母は、これらとは少し違っています。
デイで転んだのに、喜ぶ母
母がデイサービスで転んで、ひざを少しすりむいてしまいました。
母は杖を使わず、人の腕をつかんで外を移動します。杖が恥ずかしいからそうするのですが、普通に支えていても「え、ここで?」というところで、母が突然転びます。心優しい母は家に帰ってきて、こう言い始めました。
まぁ、そうだよね・・・と母も一度は納得したのですが、突然ブラックな母が現れてこう言い始めました。
機能訓練と社会交流を兼ねたリハビリのための買い物なのですが、要は買い物に行きたくないのでこういう事を言います。転んでラッキーと喜んでいるのです・・・怖っ。
3日くらいこの話を続けるので、デイサービスの連絡帳の日付の順番を入れ替えて様子を見たら、きれいに忘れてくれました。昨日デイに行ったことは覚えてない、さっき何を食べたのかも思い出せない、でも自分に都合のいい材料だけは決して忘れない・・・これも「都合ボケ」の一種なのかな、そう思いました。
これに似た例としては、
- 学校が火事になったら、休校になる
- 台風が朝の通勤に直撃してくれたら、会社に行かなくて済む
何かのトラブルのおかげでハッピーになる・・・全くおんなじ発想です。
この話は認知症の人や高齢者だけでなく、わたしたちも日々やってますよね。わたしも、奥さまに都合の悪いことを言われたら、「え、聞いてなかった」って言いますし(笑)おそらく「巧妙さ」があるのがわたしたち、「純粋過ぎて」バレてしまうのが高齢者や認知症の人・・・ただそれだけだと思います。
ボケるに「と」を加えただけで、言葉の意味がこんなに変わる・・・中国人の女性も、日本語の難しさに驚いたでしょうね。
今日もしれっと、しれっと。