【危ない!】認知症の母の料理を食べる時の注意点

今日はうち特有のネタなので、認知症介護している方の役に立つ情報ではないんですが、どの家庭にも妙な習慣ってあるはずです。そんなお話です。

2013年は祖母と母、両方の介護で、地方都市と東京を約30往復しました。

「30往復もしたの?大変だったよねー」

と言われますが、すでにサラリーマンでないわたしなので、移動自体はそんなに大変ではありません。ただ、東京にいる方がやっぱりラクで、一番ホッとするのが、自宅でごはんを食べる時。認知症の母とごはんを食べる時は、いろいろと用心しないといけないんです。例えば、

1.みそ汁は 「何時のものか」 具を確認する

節約が美 と思っているのはいいんですが、にぼし出汁のみそ汁を1度作ったら2日、3日と飲み続けます。初日はおいしいんですが、2日目になるとにぼしの臭みが強烈になり、3日目はもうアウト!何度も3日目のみそ汁を飲んでは、

「ぎゃーーーー」

って言って、台所に走って吐き出すというのを繰り返しました。とにかく臭くて、口の中に魚臭さが充満します。

最近は母がトイレに行った隙に残ったみそ汁を捨てます、そうすると新しいみそ汁が飲めます。数日前にどんな具が入っているかを確認しておくと、何日前のみそ汁か判定できます。

この前出てきた4日前の豚汁と3日前のわかめのみそ汁のコンボは、死ぬかと思うぐらいまずかったです。名誉のために、うちの母は大変料理が上手でした。今でも料理はできます、味も大丈夫です。が、残り物を変に処分してしまいます。

2.パンを食べる時は、温かいかどうかを確認する

パンを冷蔵庫にいれておく習慣がある母。トースターはきらい!というこだわりを持っているので、電子レンジで温めるのですが、しょっちゅう温めるのを忘れます。冷蔵庫からすぐ出した食パンを、そのまま食べると、当たり前ですがつめたい!!

パンが出てきたらまず、パンに手をかざし温度チェックをする

これが朝の日課です。

3.牛乳は必ず温める

冷たい牛乳なんて飲めない! これもどうしてそう思っているのか分からないんですが、牛乳をお願いすると100%温かい牛乳が出てきます。わたしはホットミルクがあまり好きでない(胃がもたれる)ので、牛乳は自分で用意します。

ちなみに母はコーヒーが好きなんですが、コーヒーにはクリープでないとだめです。ブライトではだめです。

4.ご飯は1人暮らしでも、必ず3合炊く

1人暮らしなんだから、毎回1合だけ炊けばいいのに 

と当初は説得を試みてましたが、当然聞く耳を持ちません。だから3合を炊いたご飯を、2日間かけて食べる。パサパサでも消化します。

5.ガスの魚グリルは洗うのが大変なので、フライパンで魚を焼く

グリルを洗うのは大変ってのは、わたしも分かるのでフライパンで魚を焼いてもいいんですが、中が生焼け・・・ってことがしゅっちゅう。魚焼きシートを導入したんですが、認知症の母は覚えられず。魚が生焼けの状態で口に入れると、なんていうんでしょう・・・

「あ゛ーーーーー」

ってなるんですよね。くっさいんですが、母は平気なようです。

最初の頃はこういった習慣を直してもらおう・・・ そう思っていたんですが、相手は認知症。そんなことをしても意味がないので、わたしがその生活習慣に合わせるようにしています。

東京に戻ってきて家でごはんを食べると、自分にいかにストレスがかかっているか分かるんです。

「あぁ~、なんの用心もなくご飯を口に運べるぅーーーー」

という、普通の事がとても幸せに感じる。認知症の人に生活パターンを合わせるというのも、大変ですよね。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか