和田秀樹先生の日経ビジネスの認知症コラムがすごくよかったのでご紹介!

和田秀樹 認知症

精神科医の和田秀樹先生が日経ビジネスオンラインで書いた「認知症になり介護を受ける前にやるべきことは?」というコラムが、すごくよかった。読者自身が認知症になったときのことを想定して、どう準備しておけばいいかという内容だ。例えば、

私の見るところ、今の50代は将来自分がボケることは覚悟しておいたほうがいい。テストの結果だけでの判断であるが、85歳まで生きると約半数が認知症になってしまうからだ。
引用元:http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600095/013000023/

将来、認知症の根治薬が完成するかもしれない。またニュースであったように、アルツハイマーの原因物質であるアミロイドベータを血液で調べることができるようになったりしている。長生きすればするほど、認知症予防や認知症治療の恩恵を受ける可能性は高まる。

介護者の文化がホームによって違う。経営者の理念が大きいのだろうが、リーダーの優秀なナースや介護士が醸成していった文化が引き継がれることも多い。要するに入居金や月々の支払いが高ければ、建物や食事はその分いいかもしれないが、介護自体については高ければいいとは限らない。だから見学をマメにやっておいたほうがいいのだ。

そうなのだ、病院や介護施設のきれいな建物や設備、食事ではなくそこで働いている「人」なのだ。経営者の理念という話もそうで、そこで働いている人から「ここで働いていて、本当によかった」という話を聞けるようだといい。そして、一番心に響いたのがこれ。

 多くの人が「ボケだけはなりたくない」「ボケて死にたくない」と言うが、私はそれほど認知症を悲惨な病気と考えていない。

わたしも同じ思いだ。

今回の帰省でも、母の下痢で何度もズボンやパンツを洗濯をしたのだが、トイレ前では恥ずかしそうにしていたのに、数分後には忘れている。汚れたパンツやトイレットペーパーがそこらじゅうに置きっぱなしなのに、わたしがしれっと片付けると、母はすっかり忘れてくれる。

わたしがこうやってブログに書いていることを天国で知り、逆襲される可能性はあるものの、忘れてくれて助かるのだ。認知症じゃなかったら、うんこ漏らした・・と言って老いを受け入れられずに、何日も落ち込むかもしれない。それを励ましたり、慰め続ける時間や労力より、ササっと掃除を終わらせて、ケロッとして笑ってる母を見ていたほうが100倍いいとわたしは思う。

基本的には老化現象だとすると、原則的にはおとなしくなる病気なのだ。おそらくは異常行動型の認知症は全体の1割くらいで、逆に引きこもり型のほうが9割くらいのようだ。実際、日本中に400万人も認知症の人がいるとされるのだから、みんなが徘徊するのなら街中は徘徊認知症患者だらけになるが、そう見かけるものではない。要するに人が考えるほどカッコの悪い病気ではないのだ。

この割合が正しいのかどうかは分からないのだけど、おそらくテレビで取り上げる認知症の話の割合は異常行動型9割、ひきこもり型1割と逆転しているのではないだろうか?

そのほか、嫌なことが忘れられるとか、多幸的になる人も多く、周りはともかく、主観的には幸せになる人は珍しくない。

わたしの2作目の本「認知症介護で倒れないための55の心得」にも書いた多幸性。認知症だった祖母も母も、どちらかというと多幸的である。もちろんそうでないこともよくあるのだが、割合でいったら多幸的な時間が長いので助かっている。

引用しまくるわけにはいかないので、ほんの一部だけご紹介した。自分が認知症になったときのために、どんな準備ができるのか、一度よんでみて欲しいと思う。成年後見、介護施設、お金、相続などの話も分かりやすく書いてある。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

5件のコメント

母のいろんな行動、言動に振り回されてまだまだしれっとできない自分がいます。
先日も何故?と思い心身ともに凹んだ時に くどひろさんの、しれっとしれっと!と口に出して心を落ち着かせました。
そうすると気持ちが軽くなりました(^_^)

kazuminnさま

ありがとうございます!

自分に言い聞かせるつもりでブログに書いた「しれっと」という言葉なんですが、同じように言葉に出す方が結構いらっしゃいまして、それで気持ちが楽になったというコメントを頂くことがあります。

いつもありがとうございます!私も「しれっと」に助けられた1人ですよ~
初めて母を連れディサービスの見学に行った時、相談員サンの前で涙が止まらず…私はいっぱいいっぱいでした。でも母はすぐに楽しそうに皆さんと体操してました…それを見ても泣けましたが。色々ありますが母は毎日楽しそう、それは私達が「しれっと」頑張れてるからかなぁ❗くどひろサンに感謝デス❕

函館の女さま

こちらこそ、うれしいコメントで助けられております!
デイサービスの見学に連れて行くことも、簡単なことではないですからね。とにかくお母さまが楽しそうなのが、一番です!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか