想像もしてない大きなストレス「親家片(おやかた)」ってなに?

親家片とは?

親家片(おやかた)とは、親の家の片づけのことで、これが本当に大きなストレスになるんです!

元ネタはBusiness Journalさんの記事です。どういうストレスかを記事より抜粋しますと、

「自分の気持ちのコントロールが大変でした。どうしてこんなにゴミがあるのだろうと思うと、怒りが抑えられなくなることもありました」

私から見れば不用なものに、なぜ父があれほど執着するのか全く理解できませんでした。ものを捨てると怒り出す父を、私はすごく責めてしまい、父はすっかり意固地になってしまいました」

ただの片づけと思うなかれ!ここからは、わたしの「親家片」体験談です。

一昨日の我が家の親家片

まずはこちらの写真をどうぞ!

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30年前から使っていた食器棚です。ガラスは1枚はずれ、ゆがみがひどく、外れたガラスを戻せません。下段の扉は、手足の不自由な母にはきつく、毎日苦しそうに開閉しています。そのゆがみの原因を作った、食器たちがこちら。

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「どんだけ詰めてんだーーーー」

奥に写っている段ボールの中もぎっしりで、この写真以外にも、まだ食器はあります(笑)。家族5人で過ごしていた頃は、これら食器は結構使っていましたが、

・父親が家出して
・息子が上京して
・娘が結婚して
・祖母が亡くなって

今は、認知症の母 “ひとり”?が住んでいます。ひとりでこんなに食器は使いませんし、認知症で料理のレパートリーも激減したので、さらに必要ありません。大量の箸やフォーク、ナイフ、お茶漬け椀、名前入りの引き出物、錆びついた茶筒、不思議な空き箱・・・・どれも要りません。

ところが母が、

「誰か来るかもしれないから、これは取っておいて」

「これはいずれ使うものだから、捨てないで」

わたしがゴミ袋に入れたものを、母は戻します。ふだんはコーヒーしか飲まない母が、茶筒を4つとも必要と言います。

わたしが整理する → 母が戻す → わたしがまた捨てる

こんな事をやっていると、さすがにイラッときます。上記にあるコメントと、本当に同じ気持ちになりました。でもここでイラッとすると、認知症にはよくないので、とりあえず母のいう事を聞いて、後日分からないように廃棄していく事にしました。でもイラッとしていたと思います。 食器のやりとりをしていると、今度は食器 「棚」 について、

母: 「この食器棚、誰か引き取り手がいるかもしれないから、捨てないで」

わたし: 「こんな壊れた30年前の食器棚、だれも欲しいと思わないって」

とにかく捨てたくないんですよね・・・・、でも食器棚を変えないと、母が、

「食器棚が開かないから、開けて!」

って何回も何回も言います。我が家の場合は、”ただの” 食器棚の整理で、思わぬ大きなストレスになってしまいました。記事にはこの「親家片」のストレスの理由はこう書いています。

「しかし、「親家片」は「断捨離」とは全く異なります。「親家片」とは、「二度と帰らない親との日々の反芻」であり、「ものを処分してすっきりする」ことが目的ではないからです。 だからこそ、今まで胸の奥におさめてきた親に対する感情が剥き出しになることが多いのが、この「親家片」の大きな特徴です。」

わたしの場合は、「親家片」 プラス 「認知症」 というシチュエーションがストレスをMAXにしてしまいました。この「親家片」の実例が67人も載っている本が、つい先日発売になりました。一番上が最新刊、真ん中がシリーズ第1弾で、一番下が土地・建物・相続問題です。

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今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか