通いの介護で見守りカメラ越しに見る認知症の母をどんな気持ちで見ているのか?

スマカメ

わたしは「スマカメ」というネットワークカメラ(記事タイトル下の写真)を利用していて、東京から岩手県盛岡市の母をカメラ越しに見ています。

このカメラは遠距離介護だけでなく、近距離でも通いで介護をしている方や、在宅介護で職場でチェックしている方など、いろんな方が使っています。

今日はわたしがこの「スマカメ」を使って、1日をどう過ごしているのかというお話です!(ちなみに「スマカメ」は居間の高いところについていて、母は1日の大半を居間で過ごしています。)

わたしの「スマカメ」1日のスケジュール

朝:都内に居るとき

わたしは6時から7時に起きることが多いのですが、まず朝起きたらスマホで「スマカメ」を起動します。これが1日の中で最も大切な瞬間でして、わたしはこんな思いで毎朝スマホを見ます。

くどひろ
さぁ、今日も元気に目覚めているかな~

74歳の母ですから、朝起きてこない可能性もあります。(年齢に限らず、誰もがそうですが)だから、祈るような気持ちでスマカメを起動、居間のカーテンが開いているのを確認できただけで、ホッとします。

「今日も無事に生きてる~」

そんな気持ちです。

朝:一緒に盛岡で生活しているとき

デイサービスやものわすれ外来に行く日の朝は、2階の自分の部屋から1階の居間をチェックします。もし母がいつもの時間に起きていない時は、そこそこ物音を立てながら1階に降りて、「息子がいるよ~」というアピールをします。

なんでそんなことをする必要があるかというと、前日夜に母と一緒にご飯を食べ、テレビを見ていたとしても記憶はありません。朝起きたらすべてリセットされて、「東京に居るはずの息子が、盛岡にいる!」と驚くので、わざと物音を立て、「いるよ」アピールをするのです。

日中:都内に居るとき

日中に関しては、平日はあまりチェックしていません。というのも平日は、訪問看護師さん、ヘルパーさん、理学療法士さん、デイサービス職員の誰かが、家に来てくれるからです。緊急事態の場合は電話が来ますし、誰かがいる状態というのはむしろ安心な時間だからです。チェックするとしたら、無事にデイに行ったかどうかの確認くらいです。

日中:一緒に盛岡で生活しているとき

仕事をするために2階へ移動したときは、1階の居間をチェックすることもありますが、同じ家の中なのであまりチェックはしません。

夜:都内に居るとき

夜は数回チェックします。夕ご飯食べているかなとか、居間で寝ているなというチェックをするくらいで、朝のような緊張感はありません。

夜:一緒に盛岡で生活しているとき

特に冬は居間のこたつで寝てしまうので、起こしに行ってふとんで寝てもらうように促します。

スマカメで母をチェックする回数は、少なくて1日2回、多い日で5、6回ということになります。1回に見る時間は長くても30秒くらいです。よく、携帯の通信量が気になるという質問を受けるのですが、わたしはそんなに長時間母の行動は監視してません。だから、通信量はほとんど気になりません。

離れていては手出しは出来ない

家にいらっしゃる医療・介護職の方は、ひょっとしたら息子が東京からチェックしているのでは?と緊張感を持たれているかもしれませんが、9割の確率で見ていません。来て頂いていること自体で安心してますので。

ただ、何か用があった場合は、カメラで顔をまず確認して「Aさんだ」というのを分かったうえで、母の携帯を鳴らすようにはしています。今まであったのは、財布を家の中で失くしてしまい、訪問リハの支払いができないことがありました。翌日ヘルパーさんが買い物に来ることは分かっていたので、

くどひろ
Aさん、昨日財布なくしたみたいなので、わたしの言う場所の引き出しを開けてください。封筒ありましたよね、そこに1万円入ってますよね?そのお金で、お買い物お願いします!

こうやって、ヘルパーさんにお買い物をしてもらったことは、6年で5回くらいかな・・・

カメラは便利ですが、本当の緊急事態には実はどうすることもできません。在宅でも目を離すことはありますし、距離は実は関係ありません。わたしは何かあったとしても、これは運命でしかない!と思うようにしています。

「介護者がどんなに頑張ったとしても、どうしようもないこともある」と、自分に言い聞かせておくことも大切なように思います。でないと、亡くなったあと長く後悔を引きずったりするので、わたしはこの言葉を自分自身に言い聞かせています。死期が迫った時には、より強い催眠を自身にかけておくことで、深い悲しみに包まれないように予防しています。

5円玉に糸を通し、自分の目の前で振り子の原理で潜在意識に働きかけ・・・あ、そこまではやってませんでした。でも、自己暗示はかけてます。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

簡単に出来る自己暗示法あったら、教えて下さいませ。すんごく大事です。24時間365日そばにいても、どうしようもないことは必ず起きます。それでも、自分に何が出来るか考え続けて…本当にこれでいいのか、彼女にとってベストか、いつも思っています。近頃は、どっち向いてるの?っていう人多くないですかね。親が身を持って見せる最後の仕事、老いること病むこと、寄り添って向き合って終わるその時迄。ただこの手を動かし続けましょう。この季節の変わり目を乗り越えられる様、今日もしれっといきましょう‼

群青ブルマさま

どこまで介護を追求しても100はあり得なくて、どこに妥協点を見出すのかは個人差が大きくあるように思っています。わたしは70くらいまで達成できれば、それでよしという考えです。
その70に達する努力をしておけば、割とわたしの場合は達成感があります。それすら努力できない方もたくさんいるので、努力できる環境にあるわたしは幸せです。

近々この話に近い記事がアップされます(どれ?と思われるかもですが)ので、そちらも合わせてご覧ください!
ありがとうございます。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか