親が認知症になると「ふるさと」が変わってしまうはなし

可愛いゆきだるま

多くの人が想像する「ふるさと」って、こんな感じではないでしょうか?

ほら、お風呂沸いたわよ、入りなさい!
くどひろ
分かったー、入るー
ほら、ご飯できたわよ、起きなさい!
くどひろ
え、もうそんな時間?
荷物になるけど、ほら、これ新幹線で食べなさい
くどひろ
こんなにいっぱい、いらないって・・、でも、もらっとく

実家に帰れば、親がいろいろやってくれて、子どもは何もしなくていい。

お風呂もご飯も準備できていて、ふとんも敷いてあって、至れり尽くせり。帰るときには、持って帰れないほどの地元の果物やら野菜やらを持たせてくれる親。たまに宅急便で、ふるさとの食べ物が大量に届くことも。

わたしも2010年くらいまでは、ゆっくりするために帰省していましたし、実際このとおりでした。

今はというと、都内で新幹線に乗る前から、実家でゆっくりしようではなく、実家で何をするかを考えます。

今回の帰省では、ものわすれ外来に連れて行こう。ケアマネと話をしよう。家の掃除と補充と、毎日の緑内障の目薬は忘れちゃダメだ!などなど。

お風呂は自分で沸かして、自分で入って、自分で掃除をします。ふとんは母の分まで敷きなおし、寝る前には電気毛布のスイッチを、母が忘れないようONにします。

わたしの中の2010年のふるさとはもう、どこにもありません。

いつのころからか変わったふるさと

ふるさとに帰れば、街並みを見ながら、中学や高校時代を思い出します。

自分の部屋は、高校時代のままだし、机も当時のものを未だに使っています。

そんな懐かしい思い出も、家についた瞬間から現実へと引き戻されます。当たり前ですが、今の認知症の母は至れり尽くせりなんてことはなく、むしろわたしのほうが至れり尽くせりな状態です。

通いで認知症介護している方の多くはきっと、ふるさとのカタチやあり方が、いつの日からか変わっていく感覚をどこで感じていることでしょう。

街も変化しますが、親もどんどん変化していくので、ふるさとに居た頃の思い出と今がどんどん乖離していくことに、寂しさや虚しさを感じる方もいるかもしれません。

わたしは割り切って実家に帰るので、しれっとしていられるのですが、東北新幹線で東京に着いたときの安堵の気持ちは、もはやふるさとに帰ってきたような感覚です。

くどひろ
とりあえず終わったなぁ、次帰ってくるときまで無事で居てくれるだろうか

安堵の気持ちと同時に、ひとり認知症の親をふるさとに残してきた不安が襲ってきます。

それでも、都内で過ごすなにげない日常の中で、徐々に盛岡への意識は薄れていって、母を見守る意識とわずかな不安だけを残しながら、気持ちのほとんどは自分中心の日常生活へとシフトしていきます。

読者の皆さまは、認知症介護の中で変化した「ふるさと」を受け入れていますか?それとも、まだ葛藤がありますか?

今日もしれっと、しれっと。

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14 件のコメント

  • くどひろ 様

    変わりゆくふるさと、変わりゆく親。

    老いは誰にでも来るものと知りつつ、嫁いでからも実家に帰ったときには、食事の用意・風呂洗い・布団敷き等々あらゆる家事はせず、全部母におんぶにだっこしてました。
    そんな母が変だなと思ったのは、父が亡くなった後、料理を作る速度が異常に遅い・品数が減る~果ては『泊まらないで〰️』と言ってきたとき。変だな、と思っても横着なだけ、と、徐々に迫っていた認知症への序章を見逃してました。
    今は2度の骨折・入院を経てやっと特養に入居し穏やかに過ごしている様子。自宅が1番好きだった母を施設に入れたことは本当は私の心に罪悪感を残してます。
    普段はしれっとしてますけど(^^)
    くどひろさんを見習って

  • 奈都さま

    そうですね、認知症への序章は見逃しがちです。そういえばあのとき!と、誰もが思います。
    施設に預ける罪悪感・・・、わたしも祖母を病院に残して帰るときの罪悪感ありました。
    しれっとするしかないですね、しれっと。

  • くどひろサンおはようございます
    いつも前向きになる言葉ありがとうございます!

    「ふるさと」切ないですね。
    2016年に父が急死し、すぐに母は私のもとに、実家は処分、一気にすすめました。
    後悔は色々あり別の選択はなかった⁉️と今でも思いますが…
    やり直しできない事に思い悩むのはダメですね、しれっといきますよ(^^)
    でも実家 大好きだったな~

  • 函館の女さま

    実家大好きだったのですね。

    母の実家をもし処分することになったらきっと、わたしもいろいろ考えると思います。
    しれっと、いきましょう!

  • くどひろさん
    初めてコメントします。くどひろさんと同年代です。私は実家の変わりようが哀しく、周りの友人の帰省がうらやましくてうらやましくてしょうがありません。
    2010年までそのふるさとがあったくどひろさんもうらやましいです。私は2003年に変わったかな。哀しさが消えるときはあるのかな、、、、。

  • ふんわりさま

    初コメントありがとうございます!

    ふるさとも変わっていくし、自分自身も変わっていく。諸行無常とはよくいったもので、世の中のものすべてが変わっていくのだと思います。

  • くどひろ様
    私は現在65歳 ふるさとそのものを営んでいます。この連休に娘一家が連泊させて♡とラインが入り、okサイン&笑顔マークで即返信。80歳までは、料理の腕もあげながら歓待しようと企んでいます。お正月もきてくれていた娘一家。おせちのメニューも来年はちょっと増やしたいなぁと考えられる自分は幸せですね。仕事もフルで継続中。義父母の通いの在宅介護も今は義母だけの施設介護となり…。ふるさとが私達老夫婦だなんて、考えると元気がでます。

  • 上田さま

    ステキですね!

    おせちメニューを充実させすぎて、娘一家に「もういらないよ」と言われないよう注意してくださいね(笑)

  • くどひろさま

    はじめまして!
    変わってしまうふるさとと親…
    私もいつもしみじみ感じています。
    関東から大阪へ老老介護の両親のもとへ2ヶ月に1度ほど、通っています。
    2014年のお正月から実家は寛ぐ場所ではなくなってしまいました。
    でも、それまで充分甘えさせてもらったので、今度は私ががんばる番だ!と思えています。むしろ母が認知症にならなければこんなに頻繁にふるさとに帰ることも出来なかったと思うと嬉しい気持ちもあります。
    毎回ショック受けたり、フル回転で疲れますが、一緒に食事したり笑ったり、親子で過ごす時間は有難く幸せな気持ちになります。
    この先不安もありますが、くどひろさんのようにしれっと構えず過ごしていきたいと思います(^-^)

  • りすぱんださま

    初コメント、ありがとうございます!

    2014年からだったのですね。たしかにわたしもこんなに頻繁にふるさとに帰ることはなかったので、これはこれでいいのかもと思える部分もあります。
    どうぞ「がんばりすぎずに」通ってくださいね。

  • くどひろさん
    いつも介護の参考にさせて頂いてます。
    ふるさとの変化しみじみ感じています。数年前までは実家に見守りと言いつつ実は息抜きに帰ってましたが今は本当の見守り(笑)になりました。
    以前は2人して駅まで必ず見送りに来てくれてましたが、今は2人を残し後ろ髪を引かれつつ帰ります。
    当初は帰り道に切なくて泣いた事もありました。
    今はすこしずつ「しれっと」できるようになってきました。
    先日は実家に「スマカメ」も設置して見守りはじめました。これからもしれっとふたりを応援して行きたいと思ってます。笑

  • たんたんさま

    ブログ読んで頂き、ありがとうございます!

    後ろ髪をひかれつつ帰るきもち、よくよく分かります。
    スマカメ設置されたのですね、わたしの周りでは使っている介護者が多いですよ。スマカメなしでは、介護ができないくらいです。

  • くどひろ様

    いつもブログを読んで勇気を貰ってます。

    私もくどひろさんと同じ盛岡出身です。
    高校卒業後、上京し、今では盛岡に住んでいた年数の倍になりました。
    上京以来、盛岡に帰省するのが楽しみで、東京生まれの妻には「盛岡大好き人間」と言われ、私自身、空気が綺麗で、食べ物も美味しく、人も良い盛岡が1番居心地が良いと思ってました。

    しかし、今はそう思いません…
    昨年、両親とも施設に入り、空き家となった実家からは、少しでも早く離れたい。1ケ月に2、3度帰省し、借りたレンタカーを返しに行く時の街の寂寥感を味わう度に、前とは違う感慨を持つ様になりました。

    そこで気付いたのは、私にとって実家やふるさとは、親が元気でいたからこそ居心地が良いものだったんだなと。

    今では、東京駅に着くとホッとします…
    複雑な気持ちですが、最近は、これでいいんだとも思う様になってます。

  • 細川さま

    ブログ読んで頂き、ありがとうございます!

    あら、盛岡出身でしたか!わたしも住んでいた年数の倍を軽く超えてしまいました。
    確かに親が元気だからこそのふるさとなのだと思います。

    そしてレンタカー、わたしも母を病院に連れていったあとで車を返しに行きますが、なんとも言えない気持ちになります。
    そうです、これでいいと思いながら遠距離介護しております。今後ともよろしくお願いします!

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    ABOUT US

    介護作家・ブロガー
    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。認知症の祖母(要介護3)と母(要介護2)のW遠距離介護からスタート、悪性リンパ腫の父(要介護5)の在宅介護も経験。現在も東京と岩手を年間約20往復、遠距離在宅介護8年目。NHKニュース「おはよう日本」と「あさイチ」でブログが紹介される。著書:ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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