「早期診断・早期絶望」
これは、NHK ETV特集で放送された 「私たちのことを私たち抜きで決めないで」 の冒頭に出てきた言葉です。
冒頭から 「がつーん」 ってやられました・・・ だって、そうでしょう?
認知症の診断は早めに受けた方がいい!って、わたし自身も強く思っていましたし、ブログにもそう書いてきました。ところが初期の認知症の人たちにとっては、早期診断が早期絶望につながるというのです。
これを言ったのは、認知症の人たち “自身”。「医療にも介護にも助けになる体制がない」 と自分が感じた結果、絶望に至るという日本の方の話です。
この番組は、スコットランドのジェームズ・マキロップさん(73歳)が59歳で脳血管性認知症になりながらも、ご本人の活動(スコットランド認知症ワーキンググループ)によって 「国の認知症の見方を一変させた」 ?という話です。番組のタイトル通り、初期認知症の ”本人が” どう活動していくか というお話でした。
初期認知症の人は、日本全国で160万人
初めてこの割合を知りました。日本全体の認知症の人の数が約500万人ですから、ざっくり3割ということになります。早期診断が進むことで、初期認知症にカテゴライズされる人の数は増えていくでしょうね。
認知症の人本人よりも、家族など周りが情報発信してる日本
日本では鳥取市のクローバー代表、藤田和子さんが紹介されました。藤田さんは元看護師で3人の娘さんがいらっしゃいますが、45歳で若年性認知症と診断されます。藤田さんがすごいのは医療機関でも介護保険の窓口でもない、人権福祉センターを訪ねたことです。
「認知症本人がどう生きて行けばいいかを、教えてくれる人がいなかった」 と藤田さん。
たしかに医療機関で教えてくれそうにないです、認知症ご本人の生き方アドバイスですから・・・スコットランドでは認知症の人同士、経験した人でないと分からない悩みを共有してます。生き方についてもです。
日本は介護する家族ばかりが “本人抜きで” 情報共有してますよね・・・わたしも含みます(涙)
にほんブログ村 認知症 という集まりにわたしも参加していますが、認知症の人ご本人が発信しているケースはほとんどなく、介護しているご家族のブログが多いです。しかし、認知症当事者研究 が日本でも増えているそうで、ご本人が発信し始めています。
認知症 「患者」 というコトバの中止を求めている
スコットランドでは2002年から、「認知症患者」というコトバを認知症の人たち自身が使用中止を呼びかけています。
わたしも2014年3月に発売された週刊東洋経済 「認知症を生きる」 特集を書いた編集部が、雑誌内で極力この表現を使わない!と言ったことに賛同して、ブログではこの表現を使わないよう意識しています。
Dementia という認知症の英訳に、精神の死 という意味があるんだそうです。この言葉も変えようと、初期認知症の人たちが議論するのですが、
「自分たちが苦しんでいると感じている限り、コトバを変えても何も変わらない!」
日常使っている言葉から、認知症に対するイメージもネガティブなものになっていくんでしょうね。こういう運動も地味ですが、とても大切です。
最後に
初期の認知症の人は、自分の想像(おそらくみなさんの想像も)をはるかに超えるレベルでいろんな事が分かっていますね。”本人抜きで” とつい考えてしまいますが、それはだめですね。本人の意思を尊重するってどういうことなのか、番組を見て分かった気がしました。何も分かってなかったな・・・
「社会の偏見は医療が先導している、医療の影響力の大きさを自覚してない」
という医師が言った言葉もとても印象的でした。
今日もしれっと、しれっと。
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