「タクティールケア」 は魔法の認知症ケアではない!

「タクティールケア」は、魔法のような手法ではナイヨ

これは週刊BS-TBS報道部で放映された、舞浜倶楽部という介護施設を運営されているスウェーデン人のグスタフ・ストランデルさんが話した言葉です。

ユマニチュードに注目が集まる中で、同じ触れるというアプローチで認知症ケアをする 「タクティールケア」 も比較されることが多いです。「ユマニチュードとの違い」 を検索される方が結構いらっしゃいます。

このグスタフさんは以前、日本スウェーデン福祉研究所にいらしたということで、日本における 「タクティールケア」 の中枢にいらした方なんですね。グスタフさんはこんなことも言ってました。

「魔法というのはアヤシイ」

確かにそのとおり。妙に期待させる認知症の本や番組が多いですが、魔法はないですからね。わたしはアホなので、とりあえず気になったら買ってみたり、試したりしてみるタイプです(笑)

タクティールケアの手順の一部

番組では 「タクティールケア」 の研修会をやっていて、参加者は介護・医療関係者ばかり。(家族向けのケアもあります)タクティールケアを行ったあと、どんな感じになるか参加者曰く、

「安心してお任せできて、終わってからも背中がほかほか」
「素人どうしでやってもリラックスできる そのあとの会話が全然違う」

タクティールケアのタクテイールって 「触れる」 という意味です。元々はスウェーデンの看護師さんが、未熟児に毎日優しく触れてケアしたら、症状が安定したところから来てます。認知症もそうですが、ガンの緩和ケアでも使われます。

指を閉じた状態で、かなりゆっくり服の上から背中をなでるように10分間触れます。必ずどこかに触れているようにする、離れると不安になる感覚 と施術する方が話されてましたが、ユマニチュード的な考えですよね。

「ユマニチュード」や「タクティールケア」に対する家族としての意見

わたしを例にすると、息子が母親に触れてなでる・・・日本人の感覚としてやっぱり恥ずかしいです。あと初期認知症ですから、きっと母はこういうでしょう。

「あんた、急にどうしたの?」

亡くなった認知症の祖母はやや高度レベルでしたが、こちらは結構触れてました。病院でベットで寝ていたからでしょうか、認知症が進行していたからでしょうか、なぜか祖母は抵抗がありませんでした。

特に初期認知症の人には、この欧米チックなアプローチはちょっと照れくさいんじゃないかなって思います。ハグやキスが文化として根付いている欧米とは、やっぱり違うんだと思うんですよね。介護職のみなさまはお仕事なので、視点はまた違います。あくまで家族としてです。

「タクティールケア」が認知症において最も効果を示すところとは?

浜松医科大学地域看護学講座が調べた結果、妄想観念、行動障害、不安・恐怖、攻撃性の4つで認知症の症状が改善されるか調査したところ、特に攻撃性に効果があるとのこと。

舞浜倶楽部では、徘徊の回数が大幅に減り不眠も減った人もいて、要介護度も4から3に下がった方もいるそうです。

最後にスウェーデンの税の考え方の話があって、直近の選挙で増税を訴えた野党が勝利したそうです。投票率は80%以上で、税は預けるものだと。使い方が透明なので、消費税率も25%にできるんですよね・・・

税を取られるという日本の言い方が信じられないんだそうですよ、あれれ・・・・

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか