認知症の当事者である佐藤雅彦さんが自ら語った「生活の工夫」とは?

認知症ワーキンググループ(認知症当事者の集まり)の活動に注目しているのですが、先日のBS日テレ深層NEWSに共同代表である佐藤雅彦さん(60歳)が出演されていました。

佐藤さんは1954年生まれの60歳。アルツハイマー型認知症と診断されて、9年が経過しています。以前は中学校の数学の先生をやっていらして、そこからSEに転職されますが、2年間休職します。

議事録をまとめられなかったことが、最初の異変だったようです。1対1なら大丈夫でも、複数の人の意見がまとめられなかったと。その後復職されて、配送業務の仕事をされるのですが、都庁で迷ってしまって仕事にならなくて辞められたんだそうです。

そんな佐藤さんはおひとりで生活されているんですが、生活の工夫についてお話されていました。それらがなるほどな~と思うものだったので、ご紹介します。

佐藤さん
電車に乗る時はタイマーを設定してから、乗る

認知症の人はどこで降りたらいいかを忘れてしまう。そこで乗車時間を調べて、タイマーをセット。降りる駅でアラームが鳴るように設定してから、電車に乗るんだとか。なるほどー

佐藤さん
2つのことが同時にできないので注意する。テレビを見ながら、お湯張りをすると忘れてしまうので、アラームを鳴らすようにする

何がすごいって、ご自分で気づいて実行していることです。うちの母は忘れちゃうのよね~ で終わってしまうんですが、それを改善しようという意欲があることに驚きです。

佐藤さん
買い物に行くときは、“買い物リスト”“買い物してはいけないリスト” の2枚を持っていく

買い物してはいけないのは、買い置きできない牛乳や卵などです。ここでもすごいと思ったのは、リスト化して買いだめを防止しようとしていることです。うちは買いだめしてしまう意識はあるんですが、リスト化しようという意識はないんですよね。すごい!

佐藤さん
カレンダーの予定は3つまでしか把握できないので、googleカレンダーを使っている。その日を表示してくれる

普通の人は無意識で何曜日、何日という事が分かると佐藤さんが言ってました。確かになんとなくアタリはつきますよね。佐藤さんはそのアタリがつかないので、googleカレンダーを使っているんだそうです。時間もセットされてましたよ。

SEという経歴があったとしても、認知症になってからメールやタブレット操作をマスターされています。すごく意欲的で、本当に驚きです。他にもたくさんの気づきがありましたので、また次回ご紹介しますね!

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか