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パーキンソン病と闘う新聞記者・三浦耕喜さんの本『わけあり記者の両親ダブル介護』から学ぶこと

わけあり記者の両親ダブル介護

西日本新聞のネットニュースを見ていたら、中日新聞記者の三浦耕喜さんの新刊『わけあり記者の両親ダブル介護』の記事があった。三浦さんは現在、体の震えや筋固縮など、体が思うように動かない難病、パーキンソン病を発症している。

コロナ禍の今、Amazonの在庫補充は追いついていないため、紙の本が在庫切れだった。それで、電子書籍で購入し、早速読んでみた。

「わけあり」とは?

本のタイトルでもある「わけあり」とは三浦さんならではの言葉。

介護や闘病、障害、子育てなど、この世で生きていく上でのハンディを抱えている人たちのことを意味しています。

引用元:『わけあり記者の両親ダブル介護』(春陽堂書店)

アルツハイマー型認知症を発症しつつあったお母さんが、足腰の弱った車椅子生活のお父さんを介護する老老介護から始まるが、最終的にはご両親は施設に入所する。三浦さん自身は東京からの遠距離在宅介護や両親のダブル介護の経験する。わたしと同世代で、あまりに似た介護境遇で驚く。

中日・東京新聞で隔週連載されていた「生活部記者の両親ダブル介護」を加筆してまとめた本で、ご両親が亡くなるまでの介護模様や介護者としての心の葛藤、ご自身のパーキンソン病の進行とその生活の様子が、文章から読み取れる。

隔週の新聞連載を楽しみにしていたファンがいて、そのやりとりなんかも本の中に登場する。

三浦さんが提唱する「です・ます介護」

この本を読むと、絶対に違和感を感じるはず。息子である三浦さんがずっと、ご両親に「です・ます」調で話しかけている。なぜか?

両親とも要介護となった今では、すっかり定着している。「です・ます」調の方が心理的に距離が置けて、一歩引いた冷静さを保てるからだ。

引用元:『わけあり記者の両親ダブル介護』(春陽堂書店)

介護には適度な距離が必要だと、わたしも思う。そう自分の本にも書いてきたし、わたしも自分の母を「お母さん」と20年以上呼んでいない。認知症の母の名前にさん付けで呼び、距離を保っている。

家族同士、距離が近すぎるがゆえに、感情をぶつけあう場面が増える。特に介護においては、子の理想と親の行動があまりに乖離しすぎていて、ケンカが増える。そんなとき「です・ます」調で話しかけることで、クールダウンできるのだ。

「です・ます」調での他人行儀な親子の会話がベースになっているのに、本の内容は介護「あるある」でいっぱい。共感もするし、親への愛情も感じられる。そのギャップについ笑っちゃうし、納得もする。そして温かい。

特に印象に残ったエピソード

三浦さんの著書『わけあり記者』(高文研)を、お母さんに見せる「母にほめられたい」というエピソードがある。

介護者として本を出す、NHKの取材を受けるところも、三浦さんとの共通点だが、わたしは本を出したことを自分の母に言っていないし、活動自体も伏せたままだ。

もし、自分が本を出したことを認知症の母に伝えたらどんな反応をするのだろうと、このエピソードを読みながら想像した。三浦さんのお母さん同様、きっとちぐはぐな反応をすることだろう。

執筆風景を想像する

パーキンソン病の三浦さんは確か、右手指1本でキーボード入力していたと思う。それでも新聞記者として取材をして、発信を続けていらっしゃる。本当に魂のこもった介護エッセイなのだ、かっこいい。

三浦さんの前作である、わけあり記者(高文研)の最後の部分をご紹介したい。

「わけあり人材」とは、人生の経験値が高い人のことではあるまいか。職場においても組織においても、最も大切な「気付き」をもたらす宝ではないのか。「わけあり」とは人生を制約する鎖に見えて、実は多くの人を励ます翼になり得るのではないか。

引用元:わけあり記者(高文研)

この言葉は、どれだけわたしを勇気づけたか。介護中の本の読者も、同じ思いだったと思う。介護という人生を制約する鎖を、ブルーザー・ブロディのように振り回していきたいと誓った。

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皆さんの介護と重ねながら、本を読むといいと思う。介護への不安や苦労が、軽くなるはず。

今日もしれっと、しれっと。

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介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。認知症の祖母(要介護3)と母(要介護2)のW遠距離介護からスタート、悪性リンパ腫の父(要介護5)の在宅介護も経験。現在も東京と岩手を年間約20往復、遠距離在宅介護8年目。NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」で介護の模様とブログが紹介される。著書:ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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