認知症の母が緑内障の検査をしてみた結果

緑内障 高齢者 認知症 転倒

認知症の母(74歳)の白内障の目薬をもらおうと眼科へ行きました。

はじめて「視野検査」なるものを行ったのですが、これは緑内障の可能性を調べるためのものでした。10分程度の検査を行った結果、母は緑内障の初期と診断されました。

70代、80代の緑内障の割合

緑内障について、日本眼科学会のホームページからいくつか引用します。

緑内障は、厚生労働省研究班の調査によると、我が国における失明原因の第1位を占めており、日本の社会において大きな問題として考えられています。しかも最近、日本緑内障学会で行った大規模な調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の日本人における緑内障有病率は、5.0%であることが分かりました。つまり40歳以上の日本人には、20人に1人の割合で緑内障の患者さんがいるということになります。引用元:http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp

そしてこんな記述もありました。

緑内障の有病率は、年齢とともに増加していくことが知られており、日本の少子高齢化に伴って、今後ますます患者さんの数は増えていくことが予想されます。しかも上記の調査では、発見された緑内障の患者さんのうち、それまで緑内障と診断されていたのは、全体の1割に過ぎませんでした。つまり、緑内障があるのにもかかわらず、これに気づかずに過ごしている人が大勢いることも判明しました。
引用元:http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp

多くの人は緑内障と気づかないうえに、失明の可能性もあるという・・・たまたま新しい眼科に変えて、緑内障を初期で発見できた母はラッキーだったのかもしれません。

80歳を過ぎると、ほぼ100パーセントの人が「白内障」になるという知識もなかったし、今回も「緑内障」について何も知りませんでした。70歳以上で緑内障の人の割合は10人に1人、80代で7人から8人に1人ということで、白内障ほどではありませんが緑内障の割合もそこそこいます。

視野障害が進行していく緑内障は、両目でカバーしたり、目を動かしたりして気づかないことが多いというやっかいな病気です。ということもあって、こうやってブログに書くことで、緑内障の検査のきっかけになることを期待しています。

しかし、この視野検査というのがなかなかの難関でした。

視野検査とは

「視野検査は難しい」と眼科医から言われました。何が難しいのかを調べてみると、眼科医のこのような記述を見つけました。

視野検査は人気がありません。検査計画を立ててお勧めしても、「視野検査はやりたくない」と拒否されてしまうこともあります。不人気の理由は、検査が難しいからです。特に高齢者には難しい。閾値検査の原理からわかるように、『見えるか見えないか境界の明るさの光』を神経を研ぎ澄まして見つけるわけですから、誰にとっても難しく、疲れます。この検査が得意な人なんていません。
引用元:http://www.kawamotoganka.com/tayori/2852/

ちなみに母はというと、視野検査の難しさから「もう1回」検査を2か月後くらいにやることになり、そこで改めて緑内障を確定させるということになりました。

この視野検査、例えばわたしが受けた場合は「慣れ」があるので、2回目の検査は精度が上がっています。しかし、認知症の母は視野検査したこと自体忘れています。というか、眼科に行ったこと自体、覚えていません。

なので、次回視野検査の予約をするときは、認知症であることを伝えることにしました。新しい検査法として、「OCT検査」というものがあるそうです。この検査でできないかについても、確認しようと思っています。

認知症と緑内障

見えてないのに見えていると錯覚してしまう緑内障ですから、認知症でもそうでなくても、転倒や骨折のリスクが高まります。認知症だった祖母の大腿骨骨折で経験しましたが、認知症の人がリハビリをして歩けるようになるというゴールが、とにかく難しいのです。

なぜ自分はリハビリをしないといけないのか、そもそも骨折したのかも祖母は覚えていません。車椅子をゴールにしなければならないという選択をしたときは、これは病院を訴えるべきなのかと悩んだほどです。

あの時の祖母の老眼鏡、たぶんピントも合ってなかったと思います。それほど、高齢者の眼に関してノーマークだったので、母に関してはそれがないように白内障はカバーできたのですが、緑内障の可能性もあるかもしれません。

白内障で病院に通っている80代以上の方はたくさんいると思いますので、ぜひうちと同じように緑内障の検査もしてみてください。前の眼科はそういう提案がなかったので、どの眼科を選ぶかでもこんなに違うんだな・・・

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか