テレビ番組『オモウマい店』を見ていると必ず昔の母を思い出す

皆さんは、日テレ系列で火曜日19時から放送されている『オモウマい店』見てますか?

採算度外視の店主たちが、アホみたいな量を信じられない値段で提供したり、その定食にこんなに品数いる?ってくらいの料理を提供したりして、とにかく笑っちゃう、だけどどこか温かい気持ちにもなる番組です。

どういう思考でそういうサービスになるんだろうって、いつも思いながら見ているんですけど、身近なところに同じ感覚を持つ人がいました。そう、母です。

料理が大好きな母は、料理番組をヒントにアレンジを考えたり、外食に行ったら調味料の配合を頭にインプットして、自宅で再現して息子のわたしに感想を求める、そんな人でした。

わたしの祖父はコックだったので、母曰く父親の血を継いでいるから料理がうまいそうです。

実家で繰り広げられるオモウマい店

わたしが東京から友人を連れてくると、オモウマい店が開店します。

都内の友人の旅行目的は、スキーとスノーボード。岩手最大のスキー場である安比高原にだいたいの人が行きたがるので、盛岡の実家をホテル代わりに使って、安比へ行きます。

1日中スキーを楽しんで、温泉に入って、最後は実家で夕食を食べるわけですが、そこであり得ない量の母の手作り料理が振舞われます。

2つの大きなテーブルをつなげ、そこにテーブルが見えなくなるほどの品数の料理が並びます。食べ終わって少し皿が減ったなと思ったら、さらに別料理が追加されます。さすがの友人たちも、これは全部食べられないってなって、ギブアップするのです。

2007年当時の母の全盛期の手料理

ギブアップして残った料理は、母が何日もかけて自分で食べるのが好きで、大変だぁとか言いながらも、どこかうれしそうでもありました。

もう食べられないとお腹をさすっている友人に母は、「ピザ、取りますか?」と声を掛け、頼むからもう止めて!と盛り上がるわが家はまさに、オモウマい店でした。

友人たちの中には、何年か連続して実家に泊まった人もいるのですが、母の料理のすごさを覚えていて、移動中の東北新幹線では一切食べない、間食すると料理が食べられないとか言って、妙なプレッシャーを与えていました。

認知症が進行した今、わたしのサポートなしではほとんど料理はできなくなってしまいましたが、母の頭の中では今でも、オモウマい店が毎日開店されてます。

音声配信voicyは、母が要介護3になった話をブログとは違う視点で語ってます。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか