他人の幸せを願う介護者になれるかどうか?

「他人の幸せを願う人ほど、幸せになれる。一方で、嫉妬しやすい人ほど健康を害する」という東洋経済オンラインの記事を読み、認知症に関する話を見つけました。

イェーテボリ大学のヨハンソンらによる、スウェーデン在住の女性800名(研究開始の1968年時点で平均年齢46歳)を38年間追跡調査するという貴重な研究があります。この研究によると、怒りや不安や嫉妬などを抱きやすい傾向を持つ女性は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まるという結果が報告されています。ヨハンソンらは、男性も同じ傾向にあるとみており、嫉妬心が長期的な健康に大きく影響する可能性を示唆しています。

引用元:https://toyokeizai.net/articles/-/535057

他の研究でも、他者に不信感を抱く傾向がある人は、認知症のリスクが約3倍になると記事にありました。

「認知症のリスク」に関する部分はあまり興味はなくて、注目したのは「嫉妬心」です。2018年9月にブログに書いた、こちらの記事をすぐ思い出しました。

認知症介護 嫉妬
この記事では、認知症介護をしている人が介護してない人をうらやましいと嫉妬するのではなく、介護者同士の嫉妬の話に触れました。

認知症介護で大変な思いをしている人に対しての嫉妬って、正直よく分からなかったのですが、自分の介護よりもいい環境で介護できている人に対して、うらやましい気持ちがあるようです。

人間誰にでも嫉妬心がある一方で、まさか認知症介護で嫉妬して、しかもそれが介護者自身の認知症リスクにつながるなんて、皮肉な話だなって記事を読んで思ったんですね。

わたしが他の認知症介護者に対して、どんなときに嫉妬するかを考えてみたのですが、認知症の人に100回同じことを言われても平気な人がいまして、その人たちはうらやましいと思いました。自分にはできないことだなって。

でも、施設に預けるお金があってうらやましいとか、きょうだいが多くてうらやましいとか、家族関係が良好とか、そういうところでうらやましいと思ったことはないです。

おそらく、今の母の介護にあまり不満がないから、嫉妬もないと思います。また、自分の介護の話ばっかり発信していて、他の介護者と比較する暇がないから、嫉妬心が芽生えにくいのかもしれません。

前のブログ記事の最後で、嫉妬心を何に変えるかが大切というツイートを引用しました。その嫉妬のエネルギーを他人の攻撃に使うか、自分の成長に使うかの違いの話だったのですが、使い方次第ではものすごい成長の機会が得られますよね。

会社員時代、自分が昇進すると思っていたのに、後から入社した人が先に昇進して、ものすごい嫉妬しました。その方が会社を辞めるときに、自分の嫉妬を正直に打ち明けて、スッキリしたのですが、確かにそのあと成長しました。

ホント器の小さい人間でしたが、のちにある裏工作が分かって、人が信じられなくなった時期もありました……。穏やかにしれっと、自分の認知症介護とだけ向き合いたいものです。



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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか