不正防止のため?「後見制度支援信託」とは?

後見制度支援信託

久々の成年後見制度ネタです。産経ニュースの成年後見の話題に目が留まったので、ご紹介します。

「後見制度支援信託」とは?

産経ニュースの引用で、「後見制度支援信託」を説明します。

後見人は被後見人の財産について、生活費などを口座で管理し、それ以外のまとまった財産を信託銀行に預ける。入院や家のリフォームなど急な支出が必要になった場合は、後見人が家裁に申請。家裁から許可に当たる「指示書」を受け、信託銀行から払い戻しを受ける。
引用元:http://www.sankei.com/region/news/150219/rgn1502190018-n1.html

さいたま家裁は1000万円以上の財産を持っている場合は、これ使ってね!と促し、家裁がそういうならと使う人は多いと思います。事実、2年で2件の利用が、220件となんと110倍も拡大したのです。

なぜこの後見制度支援信託を推奨したのか?

制度は後見人を務める親族らによる財産の不正流用が全国で多発したことを受け、24年2月に導入。だが、同家裁管内では24、25年の利用が各1件にとどまり、県内では25年に親族後見人らによる不正が23件発生、被害総額は2億8090万円に上った。

埼玉では不正がこんなに増えてしまったので、平成25年夏より「後見制度支援信託」を使うように促したんだそうです。親族後見人の不正流用が多発したとありますが、弁護士、司法書士といったプロの横領も多いです。

支援信託を利用すれば、専門職後見人は信託銀行との契約締結後に辞任し、新たに選任された親族後見人や各自治体が養成を進める市民後見人に引き継ぐことができる。

この制度がいいのは、一番大変な契約部分を専門職後見人(弁護士、司法書士)に任せることができるので、その後自分(家族)がラクに引き継げるということです。ブログでも電子書籍でも書きましたが、後見人の職務で大変なのは最初です。後見人として選ばれるまでの書類集めが大変なので、そこを任せることができるのはメリットです。

家族によるお金の使い込みがなく、さらに一番面倒な部分はプロに任せて後で引き継ぐことができるこの「後見制度支援信託」という制度。いい制度だって思いながら、デメリットもあるよな?きっと・・・ということで調べると、面白い記事を見つけたので、こちらをご紹介して終わります。

記事を要約すると結局、裁判所の事務手間を改善するためのもので、マジメに後見人をしている人にもこの制度の利用を促しているケースもあるとのこと。件数が急激に増えている理由はここにもあるんだなと。急に弁護士や司法書士へ後見人を変更すれば報酬を支払う必要があるし、金融機関を変更させされるというのは手間です。(http://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/120943が参考になります)

わたしの場合はそんなに財産がなかったのと、後見制度を利用している人が少ない都道府県だったのでこの制度の利用を推奨されませんでした。たしかに私も裁判所には何度も足を運んだので、親族後見人が押し掛けると手間なんだろうな・・・と思いました。電話で日時予約してから行ってましたが、みんながそうではないですよね。

後見制度支援信託を扱っている銀行一覧

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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか