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ものわすれ外来でノーマスクのまま母に話しかけてきた女性の話

先日、母をものわすれ外来へ連れて行ったら、

女性

ちょっと、こちらに座っていいかしら

と威勢のいいシニア女性が、母のはす向かいに座りました。

女性の右手にはリアルゴールド、そしてマスクはしていません。母に向かって、どこから来たのか、何にし来たのかと質問を始めました。

すぐに話は終わるだろうと思いきや、5分以上経ってもまだしゃべってます。しかもここは、ものわすれ外来の待合室。きっとこの方も母と同じ認知症なんだろうと思い、受付にこのシニア女性はどんな人なのかを聞きにいこうか、悩み始めました。

次々と質問してくるシニア女性に対し、母は何も分からずとにかくその場しのぎの会話を繰り返しました。リアルゴールドも気になりましたが、ノーマスクが気になったので、

くどひろ

すみません、マスクをして頂けますか?

するとシニア女性はリアルゴールドを飲み干し、あっさりわたしの言うことを聞いてくれました。そして手元を見ると、新型コロナウイルスの4回目のワクチン接種券が。

なるほど!この方は認知症の診察で来たんじゃないんだ!とりあえずマスクをしてくれたので、次はこちらの事情を伝えなくてはなりません。なぜならこの時点で15分以上が経過していて、どうやら自分が呼ばれるまで母と話し続けるつもりです。

するとシニア女性が、

シニア女性

この病院はね、もの忘れの診察もしているからね。

これはチャンスと思ったわたしは、

くどひろ

あ、うちはそういう意味でも来てまして

シニア女性

あら、息子さんなの~、偉いわね~。会社休んで、お母さん連れてきたの。いや、言われるまで分からなかったけど、ようやく分かった。わたしだって80歳だけども、その可能性はあるからね~

フリーランスで会社に勤めてないと思いつつ、この手の攻撃はこれまで何度も受けているので、会社を休んだ50歳のサラリーマンでいくことに決めました。

母と1つしか違わないのに、偉く若い元気なシニア女性は会話に違和感を持っていたようで、わたしから言われて納得したようでした。

そして母が、同じ質問を何度も女性にしました。67歳のとき肺がんで亡くなった旦那さんの死因を、一番質問して欲しくないことを何度も何度も。

くどひろ

ごめんなさい、そういうことなので。申し訳ないです。

シニア女性

いやいや、全然いいのよ。誰だってその可能性はあるんだから。でもお母さん、ちゃんとキレイにしてるのね。

結局、1時間近くこの女性と母は話し続けました。旦那さんはなんで亡くなったの? ってそればっかり聞いて、一緒にいたわたしはハラハラしっぱなしで正直疲れました。

向こうは向こうで、わたしの父はどうなんだ? と聞いてくるわけですけど、30年近く別居していた夫婦のラブストーリーをその場で捏造する力も残ってなかったので、正直に別居してて面倒なことになったとお伝えしました。

知らない人と話す母の姿を見て、改めて短期記憶を全く保持してないことが分かります。だけど何がすごいって、このシニア女性に対して最初の数分間は認知症と感じさせなかったことです。すごい技術力で、変なところで感心しました。

後半は母のリピート話と、あれ、こればっかり言ってて、いったい何を話したいのかわたしにも分からなかったんですけど、たまにはこういう刺激があってもいいのかなと思った1日でした。最後は疲れたといってたので、取り繕うのも相当なパワーがいるんですね。

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今日もしれっと、しれっと。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(82歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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