酔っ払った自分が認知症の母と話して感じたこと

酔っ払う

10月最終週は、母の眼科通院と祖母の7回忌があり、なおかつ新刊本の締切が重なるという、なかなかヘビーな週でした。

母と一緒に居る時間も長く、合間で本の執筆を頑張ったので、自分へのご褒美として、盛岡・材木町の商店街で開催される「よ市」(歩行者天国)で、1人地ビールや郷土食を堪能しました。

「よ市」は わたしが生まれた頃からやっていて、 4月~11月の毎週土曜日の15時~19時くらいまで開催しているのですが、わたしが「よ市 」デビューしたのは、父が倒れた2017年からです。

父を看取ったあとも、遺品整理などやることがたくさんあったので、父のマンションに何泊かして、近くでやっていたのが「よ市」でした。とにかく安いし、おいしいし、外で飲み食いできるので、盛岡へ遊びに来たら、ぜひ行って欲しい場所です。

11月頭のよ市は寒かったので早々に切り上げ、やきとり屋でホッピーセットを飲みながら、たまたまやっていたワールドカップラグビー決勝戦を見ました。

昔はひとりでお酒は飲めないタイプだったのですが、最近はひとりで飲めます。お酒を飲むとごきげんになるタイプで(←しらふでもごきげんですが)、よ市から帰宅後、酔っ払った状態で認知症の母と話してみました。

酔っ払ったわたし vs 認知症の母

母は、わたしがスイーツ大好きで、お酒は飲まないと思い込んでいるのですが、実際はスイーツも好きですし、お酒もそこそこ飲みます。

酔っ払って帰宅しても、家のことは気になります。母は布団を敷いているか、認知症の薬やサプリはちゃんと飲んだか、フライパンは洗ったか(←油が残ったまま棚にしまうため)、洗濯機に汚れ物はないかなど、一通りチェックしました。

母はわたしの酔っ払った姿に、亡くなった夫を重ねたようで

うちのお父さん、飲んだら会社の人連れてきて、ホントやんたった(嫌だった)。飲むとなんで、あんなにくどくなるんだか

会社の同僚をしょっちゅう家に連れてくる夫。令和の今なら、離婚に発展してもおかしくない話です。

認知症の母は作話率が高いのですが、この話は合っていて、父はいつもは寡黙なのに、酔うと面倒な感じに変わる人でした。

目の前の息子が酔っ払っているためか、母の同じ話は何度も何度も何度も続きます。夫のあの行動がイヤだったと。

わたしがシラフだったら、さすがにしつこいと思うレベル。でもその日は、母の通院も終わり、祖母の7回忌も終わり、執筆も一区切りついた。お酒も回って、とてもハッピーな気分でした。

だから、母が同じことを何度も言おうが、全く気にならない!それどころか、わたしがごきげんなので、かえって話が弾みました。

くどひろ
分かる。確かにおやじは酒飲むとダメだった。それはそれはご苦労さまでした。亡くなったから、許してあげてよ~

結局は受け手側

母はいつも通りで、受け手であるわたしだけが異様にハッピーだったというだけの話です。

認知症介護の講演会で「人の心は変えられない、でも自分の心を変えるのは簡単 」という話をします。酔っ払ったわたしだけが大きく変化したことによって、母の凄まじいリピートも、懐かしい父の思い出話に変わってしまいました。

日頃から、淡々と自分を変える努力はしているのですが、お酒が回った状態で母とじっくり話したことはなかったので、「なるほど。ここまで振り切れれば、もっと介護がラクになるのね」と自分で気づきました。

酒飲みながら、認知症介護だ!ではないのですが、それくらい介護者側のゆるさ、いいかげんさも大切だなと。やっぱり認知症とか意識しすぎず、いつも通りでいいのだなと。

今月はあと1回、そんな状況になる予感です。飲みすぎに注意します。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか