認知症の母が食器用洗剤を誤飲してしまった話

その日は朝から失禁の処理に時間を取られてしまい、その後も訪問看護、訪問リハビリと立ち会ったので、本を書く時間を全く捻出できませんでした。

わたしの作った夕食を食べてもらったあと、1時間だけ時間ができたので本を書き始めましたが、思ったよりも進捗しません。今日は朝から噛み合わない1日だったなぁなんて思いながら書くのを止め、19時ちょっと前に1階の居間へ移動しました。

居間に入るなり、誰も居ないコタツの上になぜか食器用洗剤の開いたふたとボトルが置いてあり、新聞の上には少しだけ液体洗剤がついていました。

何で洗剤が居間に? 

意味が分からずフリーズし、その後冷静になって食器用洗剤を戻そうと定位置である台所に持って行くと、母がうがいを繰り返していました。

なんだか、喉がイガイガしてからい、からい~

何度もうがいし、咳払いを繰り返す母。まさか、食器用洗剤を飲んでしまったのか! 状況証拠から、それ以外考えられません。すぐに、誤って洗剤を飲んだ理由が分かりました。

誤飲の原因となった1枚の写真

2021年6月のブログにアップしたこちらの写真が、誤飲の原因です。母はこれまでも、食器用洗剤を冷蔵庫に入れてしまうことがよくありました。

冷蔵庫に入っている食器用洗剤

理由は分からないのですが、流しに謎のボトルがあると違和感があるのでしょう。ボトルは冷蔵庫に入れるものと、思っているようです。

家族やヘルパーさんが冷蔵庫で洗剤を見つけたら、しれっと元の位置に戻せば問題ありませんでした、これまでは。ところが今回は違っていたのです。

  1. 母が自分で食器用洗剤を冷蔵庫に入れ
  2. 冷蔵庫に入っている物=飲み物と勘違いし
  3. 居間に持って行って、飲料のように洗剤を誤飲する

どうやら、このステップを踏んでしまったようです。あとで見守りカメラの映像を確認したところ、母が居間に洗剤を持って行く姿が映っていました。

食器用洗剤を誤飲・誤食したときの対処法

冷静にスマホで「食器用洗剤 誤飲」と検索しました。すると花王のホームページがヒットして、こう書いてありました。

すぐに水で口をすすいでから、コップ1~2杯の水または牛乳を飲んでください。牛乳には、胃壁を保護し、成分の影響を弱める働きがありますので、あれば牛乳を飲むほうが効果的です。また、飲んだ洗剤を無理に吐き出そうとしないでください。嘔吐物が気管に入って、窒息や誤嚥性肺炎をおこす可能性があり、危険です。

引用元:https://www.kao.com/jp/qa/detail/21868/

早速、牛乳を母親に飲ませました。収まるかと思いきや、咳が止まりません。母はなぜ自分の喉がイガイガするのか、咳が出るのかこの時点で忘れてしまっています。

この応急処置で大丈夫と思いつつも、念のため訪問看護の24時間緊急連絡先に電話。母は横で咳払いをしながら、まだ牛乳が飲みたい、水が飲みたいを繰り返します。

飲んでしまった洗剤と対処した牛乳

わたしの中では、もしも何か大変なことになったときに、あの時訪看さんに電話しとけばよかったとなるのがイヤなので、とりあえず電話しました。症状を伝え、もし何かあったら夜中でもいいから電話してくださいとの回答が。

さらにケアマネさんに連絡し、妹にもLINEで連絡。妹からはもう自宅での介護は無理なのか? との返信があり、確かにこういう事件も施設入所のきっかけにはなると思ったのですが、まだ大丈夫と返事をしました。

誤飲と同じくらい心配した失禁

わたしはこの期に及んで、別の心配をしていました。それは失禁です。この時点で2日連続、布団カバーとシーツを全部洗って、布団も干していたからです。

応急処置として、牛乳や水を飲ませるのはいいのですが、花王のホームページ(1杯~2杯)以上に飲みまくるのです。おそらく喉の辛さが収まらないから、どんどん飲んでしまうのだと思います。

でもそんなに飲んだら、確実に夜間に失禁します。悩んだ挙句、普段は寝るときに履いていないリハパンを用意し、さらに汚れてもいい布団にチェンジして、準備はバッチリ。

あまりに長くなってしまったので、久しぶりに次回に続きます。

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今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

見当違いだったら申し訳ありません。

洗剤のボトルと牛乳パックの色使いが(青と白)似ていませんか?

お年寄りには、同じ感覚に見えるのかな?と思ってしまったのですが。

匿名さま

確かに色は似ているのですが、理由は別のようです。明日のブログ記事に答えを書いたので、もしよろしければそちらをご覧ください!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか