認知症の母を初めてお泊りデイに預けた日の夜

母が自費のお泊りデイサービスを利用するきっかけは転倒による骨折で、常に誰かが見ていないと、骨折したことを忘れて包帯を外してしまい歩き出すので、急きょ利用が決まりました。

初回利用の夜、わたしは東京に居たのですが、正直ここまでの解放感になるとは予想していませんでした。

わたしの夜の見守りは、母が寝室の布団にきちんと入ったかの確認です。もし入らなければ、見守りカメラや電話で声掛けをします。昼夜逆転の防止と、冬にコタツで寝て、風邪をひかないようにするためです。

朝の見守りは、デイに行くために起こす、あとは早起きし過ぎて、デイサービスの送迎を3時間前から外で待とうとするのを阻止します。

裏を返せば、それだけ夜や朝の見守りにも負荷がかかっていたわけです。あとは解放感から、久しぶりの爆睡。やはり知らないうちに、気を張っていたのかもしれません。

実家で迎えた2回目の夜

2回目のお泊りデイの利用の時は、実家に居ました。

正直、骨折の介護でわたしは何もできなかったので、ストレス解消のために飲みに行くぞ!と思っていたのですが、たまっていた仕事や家のことをやっていたら1日が過ぎ、結局コンビニでお酒とつまみを買って、ゆっくりしました。

アルコールで一息ついた夜

介護が始まった2012年から、ゆっくり実家でお酒を飲んだことがあっただろうか?

他にも、夜と朝に母が居ないと分かる解放感がいろいろとありました。例えば冷蔵庫。いつもはまめにロックしておかないと、過食、異食、誤飲などが起きることもありますが、開けっ放しでもいい。台拭きも隠さないと、床を拭いたり顔を拭いたりするけど、隠さなくていい。

料理をするにも、調味料は使ったら片づけないと誤飲や誤食、過食につながります。そういったものを出しっぱなしにしておけるだけで、すばらしいと思ってしまいました。

洗濯するにも、液体洗剤を隠さないと誤飲の可能性がありますが、それも出しっぱなし。

いかに警戒して在宅介護をしていたのかと、思い知らされるお泊りデイの夜でした。デイサービスもありがたいのですが、朝の送り出しまでの準備や帰ってきてからの在宅介護はあるので、自分のために使える時間はせいぜい2時間~3時間くらいと、意外に短いのです。

前回の記事で大爆発した話を書きましたが、その直後にお泊りデイがあったので、わたしはだいぶ穏やかになりました。

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今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか