認知症の親とケンカしたら、進行は早まりますか?
声掛けを間違えたら、症状が悪化してしまいますか?
私は認知症介護を始めて、もうすぐ14年になります。最近、こうしたご相談がじわじわと増えていると感じています。
認知症介護のノウハウがあふれる時代に起きていること
13年前、重度の認知症の祖母と軽度の認知症の母のダブル介護をしていたころ、わたしは認知症との接し方を知りたくて、本を読んだり、講演会に参加したりしていました。
その後は自分でも、本やブログ、音声配信で接し方について発信してきました。それらはすべて意味があることだと今でも思っています。
ただ、14年前と比べると、世の中の状況はずいぶん変わりました。かつては医療系の情報ばかりで、介護の視点で書かれた情報は少なめでした。だからこそわたしも、違う角度から自分で本を書こうと思ったのです。
今は認知症介護のノウハウがたくさんあふれています。皆さん熱心に情報を集め、よく勉強されていると感じます。その一方で、正しい声掛けや接し方を意識しすぎて、かえってストレスを抱えてしまう介護者の方を多く見かけるようになりました。週6日続けている発信への反応や、講演会でいただく質問から、そう実感しています。
もちろん、正しい声掛けや接し方ができれば、認知症の人が不快になることも減り、ケンカも減るでしょう。介護者が罪悪感に苦しむこともなくなりますから、メリットはたくさんあります。
「認知症の親とケンカしたら進行は早まる?」への答え
結論からお伝えすると、私は人間は誰もが老いるもので、認知症も基本的には進んでいくものだと考えています。
もし「正しい声掛けをすれば、認知症の進行が3年遅くなる」というエビデンスがあれば、誰もが必死に取り組むかもしれません。しかし、そのようなエビデンスはありませんし、老いや認知症に抗えるわけでもありません。
ですから、接し方や声掛けを間違えてもいいのです。できる範囲でやればいい、それだけのことだと思っています。こう考えられるようになったのは、介護歴が長くなったからかもしれません。
私自身、これまでいろいろな方法を試してきましたが、劇的に変わるものはありませんでした。その瞬間は「よくなった」と感じても、長い目で見れば老いは進み、認知症も進行していきます。
だからこそ、正しい接し方や声掛けは知識として持っておきつつ、介護者自身がストレスなく介護を続けることを優先したほうがいい。それが私の考えです。間違えたところで誰かに咎められるわけでもありませんし、時には親子ゲンカだってします。
介護する側が倒れてしまったら、そこで介護は終わってしまいます。長く続けられるよう、どうか自分を大切にしてください。私もそうやって過ごしてきたら、いつの間にか14年近くになっていました。
今日もしれっと、しれっと。





























コメントを残す