NHK EテレのハートネットTVに、映画 『しわ』 の監督であるイグナシオ・フェレーラスさん(41歳)が出演されました。
日本全国でもごくごく少数の映画館でしか上映されていない映画 『しわ』ですが、2人の認知症を抱えるわたしとしては気になる映画だったので、見に行ってきました。その感想を以前ブログで書きました。
その内容ですが、『ぶっちゃけ、よく分からない』というのがわたしの正直な感想です。他の映画へのレビューを見ると、みなさん評価が高かったりするので、見る人によってやっぱり違うんだなぁ~って。ハートネットTVで監督が何を話すかを聞く事で、映画への理解が深まるかなぁ~と思ったので、番組を見ました。これリアルだなぁ~と思った、ハートネットTVの一場面
フェレーラス監督が実際の認知症の方にこの映画を見てもらって、その感想をもらうという番組の内容でした。89分の映画なので、あっという間に映画は終了し、登場人物が描かれたフリップをアナウンサーの方が準備して、認知症の方に意見を聞くという番組の流れです。
ここで、ゲスト出演されていた、”おい、ダンカン、このやろー” (ダンカンさん)がすごくいい質問をしました。(ちなみにダンカンさんは介護の小説を書くために、介護資格をとったとのこと)
『みなさん、そもそも今映画を見た事、覚えてます?』
この質問にわたしは、
『ダンカンさん、認知症のこと分かってるなぁ~、このやろー』
とテレビの前で声に出してしまいました。認知症の方は、直近の記憶を留めるのが一番難しいんです。で、この質問に対する認知症の方の回答はというと、
『ん?認知症の映画?』
『見たような気がする』
『そもそも我々は認知症ですから』
やりますね、NHKさん。これがリアルな回答ですよね、ホント。結局、映画の感想は認知症でない方がしっかり話されてました。もちろん認知症の方も感想を言ってましたが、やはり記憶があいまいなようです。リアルすぎるけど、これが脚色のない事実だよなぁ~そんな一場面でした。
もうひとつ、ダンカンさんはかなりいい事言ってました。若干映画のネタバレになりますが、ミゲルという人が登場人物にいます。この人がウソをついては、同じ施設内の人たちから、金を巻き上げるということを繰り返します。
そのミゲルに対して、
『ミゲルは幸せにするウソをついている。お金をもらってだましているけど、いいウソをついている』
というコメント。急行列車に乗っているという妄想を常にしている婦人からチップをとる(実際はただ施設にいるだけなのに)というのは、確かにいけない事かもしれません。別の角度から考えれば、その妄想にしっかりつきあっているミゲルがいるわけで、お金をとる事はまずいけど、認知症の対応の仕方としては正解。これは確かにいいウソだとわたしも思いました。
たぶん認知症の知識がない人なら、
『ここは施設でしょ!列車なんてどこにも走ってないよ!』
って言っちゃうでしょうね。介護しているわたしですら、たまに訂正したくなります。妄想もずっとつきあうのはつらいものです、人間って本能として正しいものを探してしまうんでしょうね、きっと。ウソってなかなか突き通すことができません、ましてや家族が相手ならばホント難しいです。
イグナシオ・フェレーラス 映画『しわ』へのメッセージ
監督曰く、
1.この映画は認知症に関する映画と、考えていない
2.この映画で一番描きたかった事は、人と人の絆
3.歳をとっても病気になっても人は変わらない 失われるものに重きを置かない 残っているものを大切にしよう
4.認知症になってもその人らしさが残り、変わらない部分が必ずある
なるほど・・・監督、分かりました。映画で行間をつかむことができず、どうもすみません・・・・わたしはアホなんだと思います。特に残っているものを大切にしようという言葉、ホントそうだと思います!認知症が進行すると、失われるものばかりに目がいってしまって、ショックを受けるんですよね・・・でも見るのは、そっちじゃないよと!
監督は41歳で、わたしと同じ歳です。認知症に関わるにはちょっと早い年齢でありながら、こういう題材を扱ったということにただただ脱帽です。
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