帰省中の今こそ!日常生活から探る認知症3つのサイン

認知症 帰省 サイン

ふるさとに帰省し、久々に両親や祖父母に会って、お墓参りをされている方もいると思います。

わたしも母が認知症になる前は、年1、2回の帰省でした。認知症になる前の母の異変は、なんとなくは気づいていたのですが、だからといって何をするわけでもなく、そのまま東京に帰りました。

もっと前に気づいておけば!なんで異変には気づいていたのに、放置したんだろう・・・そんな思いから、認知症のサインの話は何度もコラムやブログで取り扱ってきましたし、取材も相当受けました。改めて、日常生活から探る認知症3つのサインについてまとめてみました。

家の中にある「もの」をチェックする

お盆期間中は、訪問販売業者はほとんど来ません。だから追い払う機会すらないのですが、家の中を見渡してみると、「何、これ?」という高額商品が見つかることもあります。

亡くなった祖母が、30万近い羽毛布団を買って家族で大騒ぎしました。認知症のときなのか、よくある健康食品のお店に通った結果、羽毛布団まで買ったのかは思い出せないのですが、それでも認知症の人が不思議なものを購入していることもあります。

健康なときなら、訪問販売業者を追い払うことができたのに、言いくるめられて妙なものを買ってしまう・・・。家の中にあるものを一通りチェックしてみて、何か異変があるか確認してみてください。見慣れない高額なもの、今までの趣味嗜好とはかけ離れたもの、必要もないのに必要だと言い張るもの、そんなものがないかお盆中にチェックしてみてください。

年齢を質問する

わたしの1作目「医者には書けない!認知症介護を後悔しないための54の心得(廣済堂出版)」の最初の心得に書いたのが、この年齢を聞いてみるという判別法です。三宅貴夫先生は亡くなられてしまったのですが、三宅式簡易認知症テストは、すごく便利で未だに紹介することがあります。

わたしも自分の年齢がいくつか、微妙に分からなくなることがあるのですが、亡くなった認知症の祖母は平気で30歳くらい間違うことがよくありました。90歳なのに60歳と言うので、たまに80歳という時は「調子がいいね~」なんて言って笑ってました。

認知症の母も、自分の年齢はなんとなく70歳くらいで止まっています(現在75歳)。祖母も母も共通していたのは、「生年月日」だけは忘れなかったことです。中には生年月日まで忘れてしまう認知症の方もいるのですが、特に祖母は相当進行していても生年月日は忘れることはありませんでした。

わたしが最近オススメしているのが、1日に何度も年齢を質問してみるという方法です。何度も質問してみて、「あんた!何回も歳を聞くんじゃないよ!」と怒ってくれればいいのですが、何度も質問していることも分からない、年齢も質問するたびにいろんな答えを言うようだと、かなり怪しいかもしれません。

車の傷、車庫の傷をチェックする

祖母と母は車の運転をしない人なので、うちは車の傷や車庫の傷はありませんでした。しかし、これも認知症初期のサインとしては、定番中の定番です。車のバンパーの部分とか、ドアなどに細かい擦り傷がいっぱいあったり、凹みがあったり、あるいは車庫側にも同じようにぶつかった跡があるようなら、要注意です。

実家の車をくまなくチェックする機会はそうはないと思うので、レンタカーを借りるとき、返すときのように車の傷チェックをして、お盆中に異変を察知してみてください。

認知症のサインが見つかったらやっておきたいこと

認知症のサインが見つかったら、すぐ病院へ連れて行きましょう・・・とは絶対に書きません。そんな簡単に病院に連れて行けない時期ですし、家族も認知症であることを認めたくない時期だからです。

わたしがオススメしたいのは、「間隔を空けずに、9月の秋分の日あたりで有給を使って長期で一緒に過ごしてみる」ことです。どこかよそ行きな家族ではなく、より日常に近い状態の家族を9月にもう一度見てみるのです。

なんだかんだ言って、結局次に会うのは正月になってしまいます。その頃には認知症のサインのことも忘れ、年相応のもの忘れだと決めつけてしまいます。仕事が忙しいから、時間が取れないから・・・分かりますが、介護が始まったときの時間の奪われ方は、今の数十倍になります。

このお盆で感じた違和感は、忘れないうちに、思いが冷めないうちに、すぐ実行に移すことが大切です。認知症介護が始まって数年後に思うんです。「あの時、もっときちんと対応しておけば・・・」認知症介護を今している人は、そういう後悔が必ずあるはずです。

お盆というこの貴重な時間を大切に使ってください。次のお正月まで、放置することのないようにお願いします。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか