新型コロナウイルスの影響で、3か月の遠距離介護中断がありました。
「母は元気でいるだろうか」「認知症は進行していないだろうか」「とりあえず元気でさえいてくれれば、それでいい」 遠く離れた東京の地から、岩手の母を心配しておりました。
6月に県をまたぐ移動自粛が解除され、わたしはホテルでの健康観察を経て、なんとか実家へ帰宅。元気な母の姿を見て、とりあえず一安心しました。
母に会えなかった3か月間、わたしの貯金残高は2,000万円?になりました。もちろんリアルな貯金残高ではなく、母に対する「優しさ貯金」が2,000万円になっていたという意味です。
優しさ貯金残高がどんどん減っていく!
東京で見守りカメラ越しに母を見ていた時期は、母への優しさ貯金はどんどん貯まっていきました。何せ、直接母と絡む機会がほぼないので、優しさ貯金を引き出す必要がありません。
岩手に帰省してからしばらくは、わたしの心はまるで菩薩のようでした。
しかし今は、コロナ禍。岩手に帰ってきて、それほど出歩くこともなく、家にずっといます。母と一緒に居る時間はむしろ、いつもの遠距離介護より長くなってしまいます。
これらの話はここ数か月の話ではなく、5年以上繰り返し聞かされた話です。自分の調子がよくないと、心の中でスイッチがカチッと入ります。それで我慢できないと、「もう!その話、この5分で10回目!」とつい口に出ちゃうこともあります。
認知症の症状と減っていくお金のイメージ
わたしのイメージでは、母に認知症の症状が現れ、ストレスを感じると、優しさ貯金から1回につき3万円が引き落とされます。
同じ話の繰り返しは基本中の基本ですが、尿便の処理、朝4時に起きて朝食の準備を始める、食器を洗わずに食器棚に戻す、メガネを失くし、家中メガネ探し、乾いていない洗濯物を取り込み、干し直すなどなど、いろいろなことが毎日起きます。トラブルごとに、チャリーンっていって1回3万円が消えていきます。
平均すると、1日30回強は何かしらのイベントが発生します。3万×30回強=毎日約100万円ずつ、わたしの優しさ貯金は引き出されていきました。3週間経過した今は、100万円×3週間(21日)=2,100万円。あれ? わたしの優しさ貯金は、ついに底をついてしまいました。
これだけ優しさ貯金を蓄えて、認知症介護に臨んだことはありません。過去最高の残高でしたが、母と過去最高に密だったおかげで、お金の使い方が荒くなってしまいました。
残高ゼロの今は、いつも以上に自分を律し、言い返してしまったあと後悔や虚無感とか、そういう自分の未来を想像して、ガツンと言わずに、軽く指摘する程度で対応しています。
母にとって妄想の世界が正解なので、言い返すことに意味はありません。あくまで、自分のためのガス抜きで、1回指摘しておかないとこっちが爆発するから、たまに指摘しています。
これからどうやって優しさ貯金をしていくかですが、今週から新刊発売というビッグイベントがあります。それに伴い、少しばかり家を空ける時間が増えるので、その間に優しさを貯めて、8月15日までなんとか大ゲンカせずに乗り切ろうと思います。
それに8月に入ると、次はいつ帰省できるのだろう、年内に帰省はできるのだろうか?という不安から、母に対して急に優しくなり、貯金残高は加速度的に増えるはずです。目指せ3000万円!
こうやって優しさ貯金が減ること自体、コロナ禍においては幸せなことかもしれません。病院や施設で面会禁止になっている方は、優しさ残高をしっかり貯金して、来たるべくビッグマッチに向けて準備してくださいね。
今日もしれっと、しれっと。
はじめまして。母親の認知症介護が始まり、行き詰まりを感じて色々とネットを調べていて、くどひろさんのブログに出会いました。役にたつ情報はもちろん、お母さまとのやりとりに思わず笑ってしまい心が軽くなります。優しさ貯金、私も同じ市内に住んでいるとはいえ、離れて暮らしているのでとてもよく分かりました。新刊予約しました。読むのを楽しみにしています。
ちむらさま
コメントありがとうございます!
心が軽くなるというご感想、とてもうれしいです。認知症介護って、毎日いろいろなことがありますよね。そして新刊のご予約、こちらもお役に立てることを願っています。
「優しさ貯金」すごく分かる〜!と、電車の中で読んで思わず笑ってしまいました!コロナでマスクをしているのでセーフでした。
私も遠距離介護で東京から帰省すると母のデイサービス受入がストップするので半年帰れていません。
なので、貯金額はくどひろさんを超えて5000万ですよ〜!
きっと貯めすぎると気が大きくなってあっという間に減りますね。
すごく癒やされました。ありがとうございます。
新刊、購入します!
ビタミンB1さま
あら、そんなに共感して頂けるとは!!笑って頂けて、うれしいです!
わたしは自分の都内での生活にリスクがないことを説明したのですが、ビタミンB1さまもそれで理解してもらえるといいですね。7/31の記事はひょっとしてお役に立てるかもしれません。
新刊購入、ありがとうございます!!!!