認知症介護の水回り問題。水道の閉め忘れやお湯の使い方の対処法

だいぶ前に在宅で認知症介護をされている方で、認知症の人が水を出しっぱなしにして、蛇口を閉めないので困っているという話を聞きました。

わが家では、水の出しっぱなしは今のところありませんが、認知症の進行とともに水回りが結構怪しくなってきたので、わが家で実践したことや対処法をまとめました。

台所の蛇口が故障した

3か月前の冬の遠距離介護の際、台所のお湯の出が悪いなと感じていました。

シャワーに切り替えると勢いよく水が出て、周りに飛び散るため恐怖のタオルが大量に発生し、シャワーを解除すると今度は水の出が悪くなり、水を1分流してもお湯にならないのです。

今回帰省した4月下旬の盛岡は朝が寒く、母がお湯ではなく水で顔を洗ってました。また、母の髪を台所で洗っていると急に水が出てしまい、これは帰京前になんとかしないといけないということで、すぐ水道屋を手配しました。

水回り系は高額請求トラブルがニュースになっているので、あえて大手のホームセンターに依頼して、そこから業者を派遣してもらったのです。

やはり水栓自体が壊れていて、すぐ交換。交換時のポイントは、金額より認知症の母がひとり暮らしでも使えること。20年近く経過した水栓は同じものがなく、限りなく近いモデルにし、結局77000円もかけて水栓を新しくしました。

新しくなった台所の水栓

母の様子を何日か見ていますが、シャワーの切り替えはできなくとも、水やお湯は問題なく使えていますし、ノズルが伸びるので金額が高かったのですが、前と同じようにノズルを伸ばしてシンクの掃除もできています。ここからは認知症介護と絡めて、水回りの話をします。

実家の蛇口が壊れた理由

レバーを右にすると水、左がお湯というレバーの蛇口(水栓)を使っていたのですが、おそらく認知症が進行して、母は右に左にガチャガチャするようになって、劣化が早まったと思います。

うちの給湯器は灯油タイプで、よくボイラーと呼んでますがスイッチを押さないとお湯が出ません。その仕組みも理解できなくなってしまったので、最近はスイッチをつけっぱなしにして対処しています。

水道の閉め忘れ、お湯を使えないときの解決策

認知症の人が水道を出しっぱなしにする、蛇口を閉め忘れる問題がありますが、わたしは以前「自動水栓を取り付ければいい」と回答しました。

後から取り付けられる自動水栓もあるので、これで解決と思っていたのですが、認知症が進行した母の動きを見て、人によっては自動水栓で解決しないなと。

自動水栓とは、百貨店のトイレなどにある手をかざすと水が出るタイプです。認知症の人が蛇口を閉め忘れても、自動で水が止まるのでいいのですが、母はその仕組み自体を忘れていました。

診療所の自動水栓を使ったとき、戸惑って水の出し方が分からなかったのです。我々なら、なんとなくセンサーの位置が感覚で分かるのですが、認知症の母にはさっぱりでした。

自動水栓で解決する方は使ったほうがいいですし、長年慣れ親しんだ蛇口にする方法もあります。例えば水とお湯の蛇口をそれぞれ開けて温度調整するタイプは昔からあるので、それなら使えるという方もいます。母はこのタイプは使えます。

実家の洗濯機についている昔ながらの蛇口

あとはレバータイプの水栓に慣れている方、原始的な方法で貼り紙でなんとかする方法もありますが、うちのようにはがしてしまう方もいるので、それぞれにあった工夫が必要になりそうです。

もっとシンプルな対処法を考えてAmazonを見ていたのですが、庭に自動で水撒きをする装置であれば、遠隔で水が止められます。しかし、IoTのこの時代に水栓をリモートで止めるタイプがありません。

水漏れを知らせるスマートセンサーはあるので、この設置場所を工夫して水の出しっぱなしを検知して、電話連絡して水を止めてもらうなどの方法しかなさそうですね。

見守りカメラを設置して、水の流れと音で判断する方法もありますよね。水道のところに認知症の家族が来たら、カメラ動体検知機能でスマホに連絡が来るので、たまに見るだけでも水道料金は変わってくると思います。

最後に対処法をまとめると、

  1. 自動水栓(後付け可能)を取り付ける
  2. 水とお湯が分かれていて、それぞれの蛇口でお湯の温度を調節するタイプにあえて戻す
  3. 貼り紙で水道の注意喚起や、お湯の使い方を知らせる
  4. 漏水のスマートセンサーを活用する
  5. 見守りカメラの動体検知機能で、水回りを観察する

後付けの自動水栓とスマートセンサーはこちらです↓

音声配信voicyの最新回は、認知症介護のお手軽グッズのご紹介パート2です↓

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

6件のコメント

参考になりました!
同居ならともかく離れて暮らしていたら大変ですね

お金を捨てているようなものなので、早く手をうちます!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか