認知症でひとり暮らしの母が使える炊飯器を探したあとの結論

認知症 炊飯器 おすすめ

本当は今頃、母と静岡に向かっている予定でした。

しかし、2日前の週間天気は「くもり」。富士山が見えないと嫌なので、2日前にキャンセルしました。PM2.5も富士山の視界に大きく影響するそうです。そして今日はいつものとおり、デイサービスへ。来月再チャレンジするから、ちょっと待っててね。

すぐ上の写真を見てください。

20年近く使った炊飯器の内釜は、テフロン加工がはげてボロボロです。ここ最近はテフロンを米に混ぜて食ってるんじゃないかってくらい、ひどい状態です。なので、ここ半年ほど探し続けていたものが「炊飯器」です。

実家の炊飯器の歴史

今まで実家で使ってきた炊飯器は、こうです。

  1. 家族4~5人で使う5.5合炊きの電気炊飯器
  2. ガスで土鍋炊き
  3. 家族2人で使う3合炊きの電気炊飯器

認知症の方が炊飯器を使うときの「あるある」としては、

  1. お米の量と水の量があってない
  2. スイッチを入れ忘れる
  3. 炊飯器をガスレンジにかけてしまう(という人も)
  4. 人数に合った量を炊けない

というのがあって、うちは4番が該当します。

74歳で独居だというのに、必ず3合炊きます。初日はおいしく食べられるのですが、2日目、3日目になっても、当然ご飯は残ってます。カピカピのご飯は、焼きおにぎり(みそ味)、チャーハンにしてなんとか消化しますが、残って廃棄することも多いです。

本当は1合炊きして欲しいのでリクエストするのですが、

1合炊きなんて、おいしくない!

と言います。

「カピカピご飯を食べるほうが、よっぽどおいしくないわ!」というツッコミが正解ですが、どうにも長年の習慣は変えられません。認知症も加わって、今さら習慣を変えるのは困難です。

この件についてある女性と話していたところ、

女性
お母さまは、ご家族全員がいらした頃を思い出しているんじゃないかしら。わたしもずっと3合炊きしてきたから

そっか、母は家族5人で生活していたあの頃のイメージのまま、ひとりでも3合炊きしているのか!と妙に納得しました。

とはいえ、ご飯の廃棄が止まらないうえに、夏場は変な臭いがしたりしますし、テフロンはボロボロ。それで炊飯器自体を変えようとヨドバシカメラや盛岡の電気屋に行き、いろんな炊飯器を見ました。

認知症の人の炊飯器選びのポイント

認知症の母で考えると、やはりボタンの数が少なくて余計な高機能はないほうがいいです。炊飯、保温だけでいいくらいです。

メインで探した炊飯器は、1合炊きができるものでした。1万円もしないんですよね、ひとり暮らしの方が使っているっぽいです。これなら1合しか炊けないわけだし、ボタンもシンプルだし、カピカピご飯が回避できると。

でも冷静に考えると、認知症で長年の習慣がすでに変えられない母は、1合のお釜に3合のお米を入れて炊いてしまうんじゃないかという不安に襲われました。内釜は小さくなりますが、米びつと米を入れるカップはそのままです。無意識のうちに、3合の米を入れちゃうんじゃないかと。

メーカーに「もし3合炊いたら、炊飯器壊れますか?」と質問しようかとも思いました。やっぱり、火災の原因になってしまうのではと。何かいい炊飯器はないだろうかと探した結果、こういう結論になりました。

内釜だけ取り寄せる

3合炊きの新しいタイプは、シンプルなものありましたが、ボタンが少し変わるだけで使えなくなる可能性もあります。それなら、今の炊飯器を使えばいいのか・・・そうか、内釜だけ取り寄せればいいんだ!ということに気づきました。

調べると炊飯器自体は20年くらい前のもので、すでに内釜は生産終了していました。内釜だけAmazon、ヨドバシで調べてもなかったのですが、楽天でやっと見つけました。内釜だけで1万円するので、1合炊きの新しい炊飯器が変えるのですが、それでもその選択をすることにしました。

炊飯器を変えることで一番恐れていたのは、実は火事ではありません。問題は炊飯器が変わって、ご飯を炊くことをやらなくなり、低栄養状態になること。そして料理という最後の砦を失って、一気に認知症が進行してしまうことが怖かったのです。

携帯電話でも、同じことが言えます。いきなりスマホに変えたら、電話をすることを諦めます。なので、今使っているらくらくホン(ガラケー)はサポート対象外になってしまったので、中古品ガラケーショップで買ってストックしておくつもりです。

新しく何かを覚えるのは、かなり厳しくなってきました。一方で、忘れることは加速しているので、今できることは死守しておきたい!そんな思いから、廃版の内釜を入手致しました。

認知症介護しているご家族は、慣れ親しんだ電化製品は生産終了になる前に、もう1台買っておいたり、部品を取り寄せておくといいかもしれません。そうすることで、生活レベルが維持され、認知症の進行もゆっくりになると信じています。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

8件のコメント

くどひろ 様

内ガマだけを買われた選択、ベストo(^o^)oだと思います よく思い付きましたね(^_^)v

3合問題。うちもあります。米びつと炊飯器に『2合でお願いします』と紙に書いて貼ってます。

認知症になった方は、新しいことに順応出来ないから本当に家電を買うときにはよくよく考えないと大変なことになりますよね。

うちは、洗濯機で失敗して一切洗濯が出来なくなりました(泣) だから、去年電気ポットを買うときには押すところが極力同じものを探しました。

病気を発症する前のままの時間が流れてるんですもんね。

奈都さま

Facebookのコメントでも、やはり3合炊いちゃう方がいらっしゃいました。
洗濯機・・・うちもですね、絶対ドラム式には買い替えません。場合によっては、二層式の方がいいかもです(笑)

医療・介護職の方の目線とは違う、こういう発信を今後も意識していきたいと思ってます!

くどひろ様
はじめまして。遠距離介護を始めて5年になります。
炊飯器、うちもです。うちは2合なのでまだましかな。でも、デイサービスに週4日行くので(行った日は昼、夕と食べてきます)、2合でも結構余って、変なにおいがすると、おかゆにして、さらに量が増えるという大変なことになります。「ご飯は1合」って書いて貼ってあるのに、やっぱり2合炊いてしまうのですね。それでも炊けるだけよし!とするしかないですね!!

ごまちゃんさま

コメントありがとうございます、遠距離介護歴ほぼ一緒ですね!

おかゆでさらに量が増えるという・・・というところで、思わず笑ってしまいました、失礼しました。そうなんです、炊けるだけでよし!です。今日は麻婆豆腐を上からかけて麻婆丼にしたら、母が喜んで食べてくれました。丸美屋さん、ありがとう。

ウチの母は5合の炊飯器で1合8尺炊きます。
小分けにして冷蔵庫に入れることはできるので、2合炊いたら?と言っても聞き入れません(笑)
微妙な量を炊けるのが自慢なんだと思います。
冷凍の方がいいと言っても必ず冷蔵庫に入ってます。
出来ることは以前からしてることなんですよね。
いくら良かれと思って提案しても忘れちゃうから無理なんですよね(笑)

kazuminnさま

なるほど、そのパターンもあるんですね!

今回の記事で、わたしと同じ悩みを持つ人がかなりたくさんいることが分かりました。

静岡に住んでいるわけではありませんが、
富士山を見に行くなら空気が澄んでいるからか?秋~冬がいいです。
今からの時期は結構厳しいのではないでしょうか?
夏でも大雨の翌日なら見える可能性が高いかもしれません。
うちも遠距離介護ですが、炊飯器を使うのが面倒だし(というかもう使えない)、
冷凍ごはんがまずいからと、レトルトのごはんをチンしています。高いけど...

Greeneさま

なるほど、ありがとうございます!

でももう1回6月狙いで、チケット予約をしました。PM2.5が悪さするってのが・・・今はライブカメラやツイッターもあって、当日に関してはいろんな情報が入手できますね。

レトルトも正直考えています。まだ炊けるうちは多くなっても炊いてもらおうということで、やってもらっていますが選択肢としてありですよね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか