認知症による過食と食事量の調整の難しさ

1年前の記事で、認知症の母の過食について書きました。

1リットルの牛乳パックの一気飲みに加え、食べたことを忘れてまた食べてしまう過食もあるので、いろいろ工夫を重ねてきました。

例えば1リットルの牛乳パックは購入せずに200mlのミニサイズにするとか、夕食の時間を少し遅くして夜でも満腹感を維持するなどの工夫です。加えて最近は冷蔵庫にベビーガードをつけて、野菜室と冷凍室だけを物理的にロックして、過食と調味料の使い過ぎを防止しました。

こうした工夫の成果もあって、以前よりも過食の頻度は減りました。とはいえ、食べたことを忘れてまた食べてしまうほうは改善されないので、食材を見つけたら食べてしまいます。

わたしの食事量についての考え方

音声配信voicyのほうで話したと思うのですが、わたしは1週間の食事を朝昼夜3回を毎日きっちり取るのではなく、週3回のデイサービスで栄養をしっかりとると割り切っています。

というのも今の遠距離介護の体制や食事環境、母の認知症の状態ではきっちり3食が難しいからです。仮に朝昼夜の分をヘルパーさんが用意したとしても、一気に食べてしまうので夜にはなくなってしまうでしょう。

こうした変則的な食事なので、罪滅ぼしとばかりに、わたしが帰省したときはすき焼きやしゃぶしゃぶなど肉を中心とした鍋料理を、たくさん食べてもらうようにしてました。しかしこれもいい面と悪い面があります。

罪滅ぼしの鍋のあとに待っていた地獄

おいしいお肉に、たくさんの野菜。母も喜んでいたので、わたしの中では罪滅ぼしができていると思っていました。しかし鍋の次の日、決まって大量の便失禁がありました。2年くらいは気づかなかったと思うのですが、原因を考えていたら急に鍋が原因かも!って、なりまして。

以前ご紹介した、杉山孝博先生のこの話が頭をよぎったのです。

過食の時期の認知症の人を観察すると、①動きが非常に活発である②大量の排便をするという点に気が付きます。エネルギーの使い方が多くて、しかも栄養の吸収の効率が悪いと考えれば、大量に食べる食べ方は異常な食べ方ではなく、必要なカロリーを摂取しているにすぎないと考えることができるでしょう。

引用元:https://saiwaicl.jp/outline/pdf/article_40.pdf

良かれと思って用意した鍋は、おそらく栄養の吸収効率が悪く、大量の便につながっていたのかもしれません。そこで罪滅ぼしの中身を、高いお寿司や刺身などをちょっと食べてもらう、大人の食事に変えました。

おいしいものを母に大量に食べてもらって、翌日の大量の便失禁でイライラする巨大ブーメランが続いておりましたが、一応解決しました。それでも鍋もたまにはやったほうがいいと思うので、量を減らしてやろうかなと思います。

電子レンジがきちんと使えて、時間の感覚と満腹感が理解できればいいのですが、完璧は難しいです。これで終わりではなく、さらなる工夫を現在模索中です。

音声配信voicyの最新回は、春の介護についての話です↓

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

3件のコメント

今、自分も過食が気になり始めてます。
うちは毎週末、重い腰を上げて通いますが、
前週に用意して冷凍庫に入れた切り餅(12個)、食パン11枚、炊き込みご飯2杯、焼きそば2玉がデイサービスを除く5日間8回分(朝5、昼1、夜2)の食事でなくなってました。(他に作り置きおかず3品あり)

まさに朝ごはん食べた後、2時間ほど経った9時頃に”朝ごはん何食べる?”と聞いてきたり…

まだ単純な買い物はできるので…
少し冷凍庫内などを減らすつもりです。
色々考えても思いは伝わらず…イライラがつのる
今日でした…

難病で1日中、家にいてることを考えると量が多いとはおもいませんが、内容は片寄っていますね。過食かわかりませんが、まず栄養が足りず血糖スパイクをおこしていたり、自律神経失調症の目眩などで体温調節が難しくとにかく食べることで体温を発生。しかも化学物質過敏や電磁波過敏があるので香害は公害で福祉が使えない無理解差別で孤立化し、『湯気とおしゃべりいう身体エネルギーを発生させる最高の食事』にありつけず、満腹中枢が破壊されている感覚がある。過食は代替行動のひとつ。認知症にかぎらずウロウロするのは身体を暖めたりセロトニンで不安心を落ち着かせたり運動で乳酸が代謝されたり血行がよくなり血糖がへったり、食べることで達成感。しかし急に鍋などを食べるというのは目安がないからお皿にひとりぶんをつぐことが必要で、鍋はポン酢や胡麻ダレの塩分や油で腎臓に負担がかかり熱すぎるものは胃の消化酵素を蛋白変性させたり肉はホルモン剤使用などでは腸内細菌叢が死滅し腐敗し弱ったところに歯が悪くよくかまずに食べた野菜が刺激し悪い合成油のせいで胆嚢すい臓などが痛み下痢や嘔吐となる。飢餓栄養不足状態で急に大量の食事をすると既存の身体ビタミンミネラルが消化にかかわりすぎて足りなくなり死ぬという疾患もあるらしい。
三世代が多数の世帯で商店街の近くで暮らし畑の野菜を分け合う暮らしにもどらないなら、過食問題は続く

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか