偏りなく認知症の情報を集めたいと思っているのに

2022年は本を書くためのインプットばかりやっていましたが、2023年からは執筆とは関係ない情報のインプットをする時間ができました。講演会も少しずつ復活しているので、改めて認知症についての情報アップデートを行っています。

介護が始まってすぐは偏りなく、たくさんの認知症介護の情報をムシャムシャと食べて吸収できていたのですが、直近では介護の影響でしょうか? どうも情報の好き嫌いが出てきてしまっていて、その理由を探るためにある本を読み始めました。

認知症に関連しない本を読んでいた

わたしが手に取った本は『解像度を上げる』です。web上でスライドを共有できるサービスで最も見られたスライドが本になったと話題です。

この本との出会いは自分の本の書店回りをしたときに、ビジネス書のコーナーにドンと平積みされていた本で、介護とは全く関係ありません。装丁のデザインに違和感があって、記事タイトル下の写真を見て頂くと分かるのですが、中心の解像度は高いのに周りはぼやけています。

そういえば自分は認知症の情報収集をするときに、ストレートに認知症の本を読むのではなく、全く違うジャンルの本を読む人だったなと改めて思い出しました。

講演会で一般的な認知症の情報を話す際には、認知症介護の本は役立ちます。でも本を書くときには内容が被ってしまうので、本を書くときは参考文献にするもの以外は読みません。

認知症介護がバーニングニーズの連続になっている

『解像度を上げる』はまだ読んでいる最中なのですが、情報の好き嫌いの原因が急に分かったのです。本の帯にこう書いてあります。

ふわっとしている
既視感がある
ピンとこない

引用元:解像度を上げる(馬田隆明)

認知症の人の意思を尊重しましょう。その人らしく過ごせるようにしましょう。医師に相談しましょう。介護のプロを頼りましょう。地域で支えましょう。どれも間違いではないのですが、「具体的に言うと、どういうことだろう?」と考えてしまうのです。

自分も介護初期に書いた本や記事は、ふわっとしていたかもしれません。おそらく母の認知症が重度まで進行する中で、求める情報の質が変わっているように思います。それが何かを考えていたら、本の中で見つけた言葉『バーニングニーズ』に引っかかりました。

バーニングニーズの分かりやすい例として、もし自分の髪の毛に火がついたらすぐ火を消しますよね? それくらい強度の高い問題や課題を指すのですが、今の認知症介護はまさにこのバーニングニーズの連続の中に居ると思ったのです。

食器用洗剤の誤飲、190を超える高血圧、昼夜逆転、過食、過剰にグラニュー糖を食べるなど、わたしにとってはバーニングニーズの連続です。すぐ火消しが必要で、答えを早く見つけたい思いが強くあります。

そんな状態では、ふわっとした解像度の低い情報を咀嚼できないようです。介護が終わったらきっとまた好き嫌いなく情報を摂取できるようになると思うのですが、今はクリアな情報を欲している時期です。自己分析できてよかった!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか